饒 - 漢字私註
説文解字
飽也。从食堯聲。如昭切。
- 五・食部
説文解字注
飽也。饒者、甚飽之䛐也。引以爲凡甚之偁。漢謠曰、今年尙可後年饒。謂後年更甚也。近人索饒、討饒之語。皆謂已甚而求巳也。从𠊊堯聲。如昭切。二部。
康煕字典
- 部・劃數
- 食部・十二劃
『廣韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤如招切、音蕘。『玉篇』多也、飽也、豐也、厚也、餘也。又益也、賸也。『禮・曲禮』大饗不問卜、不饒富。《註》富之言備也。備而已、勿多於禮也。『前漢・𨻰平傳』平娶張氏、資用益饒。又對漢王曰、大王能饒人以爵邑。
又俗謂寬恕曰饒。『杜甫・立秋後詩』日月不相饒、節序昨夜隔。
又國名。『前漢・地理志』北海郡縣饒侯國。
又縣名。『前漢・地理志』屬西河郡。莽曰饒衍。『後漢・郡國志』安平國饒陽、故名饒。
又州名。本楚番邑、吳置鄱陽郡、隋攺饒州、以物產富饒也。
又姓。『風俗通』漢有饒武、爲漁陽太守。
又『廣韻』『集韻』『韻會』人要切『正韻』實照切、𠀤音邵。義同。
異體字
簡体字。
音訓
- 反切
- 『廣韻・下平聲・宵・饒』如招切
- 官話
- ráo
- 粤語
- jiu4
- 日本語音
- ゼウ(漢)
- ネウ(呉)
- 訓
- ゆたか
- おほい
- にぎはふ
- ゆるす
解字
白川
形聲。聲符は堯。堯に遶、蕘の聲がある。堯は多くの土器を積み上げて燒成するときのさまをいひ、饒多の意がある。
『説文解字』に飽くなり
とし、『玉篇』に豐なり、厚なり、餘なり
とあつて、ものの豐かなことをいふ。
藤堂
食と音符堯(大きく撓む)の會意兼形聲。食糧の事情が差し迫らず、遠回しでゆとりがあること。
漢字多功能字庫
食に從ひ堯聲。本義は飽き足りること。《段注》饒者、甚飽之䛐也。
引伸して豐足(豐か、滿ち足りる)、充裕(ゆとりがある、餘裕がある)を表す。『玉篇・食部』饒、豐也。
- 『墨子・備城門』
不然、山林草澤之饒足利。
- 『史記・西南夷列傳』
誠以漢之彊、巴蜀之饒、通夜郎道、為置吏、易甚。
- 『文選・王仲宣・從軍詩』
軍人多飫饒、人馬皆溢肥。徒行兼乘還、空出有餘資。
また土地の肥沃を表す。
- 『左傳・成公六年』
必居郇、瑕氏之地、沃饒而近盬、國利君樂、不可失也。
- 『管子・八觀』
夫山澤廣大、則草木易多也。壤地肥饒、則桑麻易殖也。薦草多衍、則六畜易繁也。
また厚贈、增益せしむることを表す。『廣雅・釋詁一』饒、益也。
- 『戰國策・趙策三』
中山聽之、是我以王因饒中山而取地也。
- 『史記・陳丞相世家』
今大王慢而少禮、士廉節者不來。然大王能饒人以爵邑、士之頑鈍嗜利無恥者亦多歸漢。
寬恕、饒恕を表す。『正字通・食部』饒、俗謂寬恕曰饒。
- 唐・杜牧〈送隱者〉
公道世間唯白髮、貴人頭上不曾饒。
- 『西遊記』第19回
你有甚麼本事、實實供來、饒你性命。
- 『紅樓夢』第44回
那小丫頭子已經嚇的魂飛魄散、哭著、只管碰頭求饒。
退讓(讓る、讓歩する)、謙遜を表す。
- 唐・李白〈上皇西巡南京歌〉
柳色未饒秦地綠、花光不減上陽紅。
- 北宋・陸游〈秋聲〉
弦開雁落詩亦成、筆力未饒弓力勁。
- 元・王實甫〈集賢賓・退隱〉
退一步乾坤大、饒一著萬慮休。
連詞(接續詞)となし、「儘管」(〜ではあるが)、「任憑」(誰であれ、何であれ、たとへ〜であつても)に相當する。朱駿聲『說文通訓定聲』饒、又借為任、為由、為如、唐人所用饒他、假饒字、皆一聲之轉。
- 唐・杜牧〈猿〉
三聲欲斷疑腸斷、饒是少年今白頭。
- 北宋・張先〈山亭宴〉
饒他此後更思量、總莫似、當筵情緒。
- 清・李漁〈奈何天・崖略〉
紅顏薄命有成律、不怕閨人生四翼。饒伊百計奈何天、究意奈何天不得。
姓氏に用ゐる。『風俗通義・姓氏』饒氏、漢有饒斌、為漁陽太守。
歷代の著名人は、南宋の學者の饒延年、元の書法家の饒介、當代の國學大師の饒宗頤など。
屬性
- 饒
- U+9952
- JIS: 1-81-33
- 饶
- U+9976