郭 - 漢字私註
説文解字
齊之郭氏虚。善善不能進、惡惡不能退、是以亡國也。从邑𩫏聲。
- 六・邑部
説文解字注
齊之郭氏虛。謂此篆乃齊郭氏虚之字也。郭本國名。虛墟古今字。郭國旣亡謂之郭氏虛。如『左傳』言少昊之虛、昆吾之虛、大曍之虛、祝融之虛也。郭氏虛在齊境內。善善不能進、惡惡不能退、是㠯亡國也。郭何以爲虛。職是故也。事見『韓詩外傳』。『新序』『風俗通』皆同。亦有取此說『春秋』者。按『莊二十四年經』云、赤歸于曹。郭公。『公羊傳』曰、赤者何。曹無赤者。葢郭公也。郭公者何。失地之君也。『榖梁傳』曰、赤葢郭公也。何爲名也。禮、諸矦無外歸之義。外歸、非正也。『左』無傳。郭今以爲城𩫏字。又以爲恢郭字。又『左傳』虢國字、『公羊』作郭。从邑𩫖聲。古博切。五部。
康煕字典
- 部・劃數
- 邑部・八劃
- 古文
- 𨟍
『唐韻』『正韻』古博切『集韻』『韻會』光鑊切、𠀤音椁。『廣韻』內城外郭。『釋名』郭、廓也。廓落在城外也。『白虎通』所以必立城郭者、示有固守也。
又『正韻』國名。『春秋・莊二十四年』赤歸于曹郭公。『公羊傳』赤者何、蓋郭公也。
又姓。『玉篇』王季之後、亦曰虢叔之後。『正字通』郭之有虢音者、周文王季第封于虢、或稱郭公、因爲氏。『春秋傳』攻虢則虞救之。『公羊』作郭、『左』『穀』『孟子』作虢、異字轉音相近也。
又『五音集韻』苦郭切。與廓同。
- 部・劃數
- 邑部・十六劃
『集韻』郭古作𨟍。註詳八畫。
音訓
- 音
- クヮク(漢、呉) 〈『廣韻・入聲・鐸・郭』古博切〉[guō]{gwok3}
- 訓
- くるわ
解字
白川
形聲。字の初文は𩫖に從ひ、𩫖聲。𩫖は城郭の象形で、その平面形。南北に望樓のある形。郭はその省略形に從ひ、城郭をいふ。
藤堂
邑(まち)と𩫖の會意𩫖は墉の原字で、眞ん中に□印の城があり、その南北に城門の相對するさまを描いた象形字。郭は、外壁で圍んだ町を表す。
落合
甲骨文は、城壁を意味する丁の上下に建築物の象形を加へ、多くの建物(望樓とする説もある)がある都市を表してゐる。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 施設名。都市あるいは城壁。《合集》13514
辛卯卜㱿貞、基方作郭、其祟。
- 地名またはその長。《殷墟小屯中村南甲骨》239
戊申貞、王令郭以族⿸㫃尹、涉河東⿰氵北。
- 郭兮
- 時間を表す語。午後の時間帶。單に郭と呼ばれることもある。《東京大學東洋文化研究所藏甲骨文字・圖版篇》1177
郭兮、其雨。
初文は享の部分(補註: 𩫖に相當)であるが、後に祭祀に關聯して用ゐられた(補註: 享の字義)ため、原義については古文で意符として邑を加へた形が作られた。後代の享の義に當たる字は、甲骨文では亯に作る。
甲骨文は城郭を意味する墉と釋されることもある。但し墉の初出は篆文。
漢字多功能字庫
初文は𩫏に作る。後に墉と郭に分化した。小篆は𩫏と邑に從ふ。隸書は簡便を求めて形狀が近く筆劃が少なく比較的よくみる享旁に改めた(裘錫圭)。郭は外城を表す。古代、内城の外周にもう一つ城牆(城壁)を築き、内城、外城を分けた。内城、外城の居住者は身分の上でも異なる。『釋名・釋宮室』郭、廓也、廓落在城外也。
- 『孟子・公孫丑下』
三里之城、七里之郭、環而攻之而不勝。
- 『禮記・禮運』
城郭溝池以為固、禮義以為紀。
孔穎達疏城、內城。郭、外城也。
また、古い國の名。『説文解字』郭、齊之郭氏虛、善善不能進、惡惡不能退、是以亡國也。
- 『春秋公羊傳・莊公二十四年』
赤歸于曹郭公。赤者何? 曹無赤者、蓋郭公也。郭公者何? 失地之君也。
また、物體の外周、周圍を表す。
- 『史記・平準書』
有司言三銖錢輕、易姦詐、乃更請諸郡國鑄五銖錢、周郭其下、令不可磨取鋊焉。
- 『漢書・酷吏傳』
(尹)賞至、修治長安獄、穿地方深各數丈、致令辟為郭、以大石覆其口、名為虎穴。
屬性
- 郭
- U+90ED
- JIS: 1-19-52
- 當用漢字・常用漢字
- 𨟍
- U+287CD