慮 - 漢字私註
説文解字
謀思也。从思虍聲。
- 十・思部
説文解字注
謀思也。《心部》曰、念、常思也。惟、凡思也。懷、念思也。想、覬、思也。〔《劦部》〕𢣢、同思之和也。同一思而分別如此。《言部》曰、慮難曰謀。與此爲轉注。《囗部》曰、圖者、畫也。計難也。然則謀慮圖三篆義同。『左傳』曰慮無他〔註1〕。『書』曰無慮〔註2〕。皆謂計畫之纖悉必周。有不周者非慮也。从思虍聲。良據切。五部。
康煕字典
- 部・劃數
- 心部・十一劃
『唐韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤良據切、音鑢。『說文』謀思也。从思、虍聲。思有所圖曰慮、慮、猶縷也。『增韻』憂也、疑也。『書・太甲』弗慮胡獲。《註》欲其謹思之也。『大學』安而后能慮。《朱註》謂處事精詳。
又度也。『揚子・太玄經』立督慮也。《註》督、正也。慮、度也。運以正度也。
又總計曰亡慮。『前漢・書註』舉凡之辭、言不待計慮而知其大凡也。
又軍前所持幡曰慮無。『左傳・宣十二年』前茅慮無。《註》慮有無也。『正義』明爲思慮其所無之事、使知而爲之備也。
又『釋名』慮、旅也、旅、衆也。『易・繫辭』一致而百慮。《註》慮及衆物、以一定之也。
又姓。『左傳』南蒯臣慮癸。
又『廣韻』力居切『集韻』『韻會』『正韻』凌如切、𠀤音閭。『正韻』思慮也。『淮南子・原道訓』恬然無思、澹然無慮。以天爲蓋、以地爲輿。
又木名。『爾雅・釋木』諸慮、山櫐也。
又地名。隆慮、在河內。無慮、在遼東。取慮、在臨淮。且慮、在遼西。昌慮、在海東。隆音林、取音趣、且音苴。
又『古今字考』兩舉切、音呂。『箕山歌』日月運照、靡不記睹。游放其閒、何所却慮。
又『正字通』盧谷切、音錄。『唐書・百官志』大理寺掌折獄詳𠛬、凡繫囚、五日一慮。『前漢・雋不疑傳』每行縣、錄囚徒還。《師古註》錄囚、今云慮囚、本錄聲之去者耳。近俗不曉其意、訛爲思慮之慮、失其源矣。○按師古此言近於識字、而實未通韻。惟未通韻、亦未爲識字之源也。蓋每字原具四聲、如慮字從平聲起韻、閭呂慮錄、則閭字爲慮字之平、呂字爲慮字之上、錄字爲慮字之入也。慮本訓謀思、然兼有詳審之義、故【漢書】錄囚亦卽慮囚也。慮字原具入聲、有錄音、豈必專屬去聲、爲得字之源乎。
又叶郞古切、音魯。『楚辭・九章』惟佳人之獨懷兮、折芳椒以自處。曾歔欷之嗟嗟兮、獨隱伏而思慮。〇按本从思、【說文】【玉篇】都入思部。【字彙】倂入心部、取其便考。
異體字
金文の隸定形。
音訓
- 音
- リョ(漢) ロ(呉) 〈『廣韻・去聲・御・慮』良倨切〉[lǜ]{leoi6}
- 訓
- おもんぱかる
解字
白川
形聲。聲符は𧆨。
『説文解字』に謀思するなり
とあり、謀字條には難を慮るを謀と曰ふ
とする。字を虍聲とするが、盧、虜などと同聲。
『詩・小雅・雨無正』に弗慮弗圖
(慮ること弗く圖ること弗し)とあり、金文の《中山王方鼎》に慮を𪫰に作る。𧆨、呂同聲であることが知られる。漢碑には字を慮に作つてゐる。
藤堂
心と音符盧の略體の形聲。次々と關聯したことを連ねて考へること。
漢字多功能字庫
金文に二種類の字形がある。一つは心に從ひ膚聲。もう一つは心に從ひ呂聲(補註: 揭示作例は𪫰に作る)。本義は思慮。
張世超らは膚は古く盧のやうに讀み、呂と同音とする。按ずるに金文の鄂君啟舟節の「𬉜江」は讀みて「廬江」となす。二種類の字形は慮の聲符を換へた字。秦簡、小篆の字形は下部を誤つて思に作る。心は義符。古人は心臟を思慮の器官と考へた。『孟子・告子上』心之官則思、思則得之、不思則不得也。
金文での用義は三つある。
- 思慮、謀劃を表す。中山王鼎
𢘓(謀)慮皆從
。『爾雅・釋詁』慮、謀也。
『説文解字』慮、謀思也。(後略)
『禮記・大學』安而後能慮
。 - 善慮。般殷鼎
心聖若慮
は、聰明で、また深謀遠慮があることを表す(參: 孫敬明、何琳儀、黃錫全)。 - 憂ふこと。中山王鼎
亡(無)遽惕之慮
。『孫臏兵法・十問』三軍之士皆勇而毋慮。
張震澤注毋慮即無慮、謂無所憂慮。
屬性
- 慮
- U+616E
- JIS: 1-46-24
- 當用漢字・常用漢字
- 𪫰
- U+2AAF0
關聯字
- 虑
- 簡体字に用ゐる。『康煕字典』に示す字音は慮と異なる。