頓 - 漢字私註
説文解字
下首也。从頁屯聲。
- 九・頁部
説文解字注
下首也。按當作「頓首也」。三字爲句。『周禮・太祝』九𢷎、一曰䭬首、二曰頓首、三曰空首。三者分別劃然。不當頓䭫二字皆訓之曰下首、明矣。鄭曰、稽首、拜頭至地也。頓首、拜頭叩地也。空手、拜頭至手。所謂拜手也。吉拜、拜而後稽顙。謂齊衰不杖以下者。凶拜、稽顙而後拜。謂三年服者。玉裁按、九拜、以前三者爲體。後六者爲用。如六書以指事、象形、形聲、會意四者爲體。轉注、假借二者爲用也。凡經言拜手、言拜皆『周禮』之空首。《手部》𢷎字下曰首至手、何注『公羊傳』曰頭至手曰拜手、皆與『周禮』空首注合。凡經言稽首、小篆作䭫。古文作𩑋。經傳無異偁。何注『公羊』云頭至地曰稽首、與『周禮』注合。凡經傳言頓首、言稽顙或單言顙皆九拜之頓首。何注『公羊』曰顙猶今叩頭、『〔禮記〕檀弓』稽顙注曰觸地無容、皆與『周禮』頓首注合。頭至手者拱手而頭至於手。頭與手俱齊心不至地。故曰空首。若稽首、頓首則拱手皆下至地。頭亦皆至地。而稽首尙稽遲。頓首尙急遽。頓首主於以顙叩觸。故謂之稽顙。或謂之顙。『周禮』之九拜不盡知。而稽首者、吉禮也。頓首者、凶禮也。空首者、吉凶所同之禮也。經傳立文。凡單言拜及下屬稽首稽顙。言拜、言拜手者、皆空首也。言拜手稽首者、空首而稽首也。言拜而後稽顙者、空首而頓首也。言稽顙而後拜者、頓首而空首也。言稽顙而不拜者頓首而不空首也。經於吉、賓嘉曰稽首。未有言頓首者也。於喪曰稽顙。亦未有言頓首者也。然則稽顙之卽頓首無疑矣。有非喪而言頓首者、非常事也。類乎凶事也。如申包胥之九頓首而坐。以國破君亡。穆嬴頓首於宣子。以太子不立。與季平子稽顙於叔孫昭子以君亡、昭公子家駒再拜顙於齊侯以失國、正同也。若陳無宇稽顙於欒施以排患釋難。禮之過也。無宇之詐也。沿至秦漢以頓首爲請罪之辭。『〔戰國策〕中山策』司馬喜之頓首、別於陰姬公之稽首。漢人文字存者。蔡邕『戍邊上章』云、朔方髡鉗徙臣邕稽首再拜上書皇帝陛下。末云、臣頓首死罪稽首再拜以聞。蔡質所記立宋皇后儀首云、尙書令臣嚻等稽首言。末云、臣囂等誠惶誠恐頓首死罪稽首再拜以聞。許沖進『說文解字』首云、召陵萬歲里公乘臣沖䭫首再拜上書皇帝陛下。末云、臣沖誠惶誠恐頓首頓首死辠死辠䭫首再拜以聞皇帝陛下。皆頓首與稽首分別。稽首爲對敭之辭。从𩑋。首叩地、故从𩑋。屯聲。都困切。十三部。凡言供頓、頓宿、皆取屯聚意。而假頓爲之。又多假頓爲鈍。
康煕字典
- 部・劃數
- 頁部・四劃
『唐韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤都困切、敦去聲。『說文』下首也。『周禮・春官・大祝』辨九𢷎、二曰頓首。《註》頓首、拜頭叩地也。
又『博雅』頓、僵也。
又『揚子・方言』頓愍、惛也。江湘之閒謂之頓愍。南楚飮毒藥懣亦謂之頓愍、猶中齊言眠眩也。
又『增韻』貯也、宿食所也。『隋書・煬帝紀』每之一所、輒數道置頓。
又『增韻』次也。又食一次也。『世說新語』襄陽羅友、嘗伺人祠乞食。往太蚤、主人問何得在此。答曰、聞卿祠、欲乞一頓食耳。『杜甫詩』頓頓食黃魚。
又陡頓、遽也。『列子・天瑞篇』一氣不頓盡、一形不頓虧。
又壞也。『左傳・襄四年』甲兵不頓。《註》頓、壞也。正義曰、頓、謂挫傷折壞、今俗語委頓是也。
又止也。『史記・王翦傳』三日三夜不頓舍。
又捨也。『曹植・七啟』頓網縱綱。《註》頓、捨也。縱、緩也。
又地名。『詩・衞風』送子涉淇、至于頓丘。《傳》丘一成爲頓丘。『前漢・地理志』頓丘縣屬東郡。《師古註》以丘名縣也。丘一成爲頓丘、謂一頓而成也。
又國名。『春秋・僖二十五年』楚人圍𨻰、納頓子于頓。『前漢・地理志』南頓縣屬汝南郡。《註》故頓子國。頓迫於𨻰、其後南徙、故號南頓。
又姓。『魏志・華陀傳』有頓子獻。
又『集韻』徒困切『正韻』杜困切、𠀤音鈍。『集韻』不利也。『前漢・賈誼傳』芒刃不頓。《註》頓、讀曰鈍。
又『韻會』『正韻』𠀤當沒切、音咄。『前漢・匈奴傳』單于太子曰冒頓。《註》冒、音墨。頓、音毒。
異體字
簡体字。
音訓・用義
- 音
- (1) トン(漢、呉) 〈『廣韻・去聲・慁・頓』都困切〉[dùn]{deon6}
- (2) トツ 〈『韻會』『正韻』當沒切、音咄〉[dú]{duk6}
- 訓
- (1) ぬかづく(頓首)。とどまる(停頓)。とどめる。つまづく。くるしむ。つかれる。とみに。にはかに(頓死)。
冒頓は匈奴の單于の名で、音(2)に讀む。
解字
白川
形聲。聲符は屯。屯は織物の緣飾り、すなはち純の初文。絲の端を束ね結ぶ形で、行き止まりの意がある。
『説文解字』に首を下るるなり
とあり、頓首の禮をいふ。
『周禮・春官・大祝』の九拜のうちに「頓首」があり、坐して頭を地に著ける禮。『左傳・定四年』に九頓首而坐
(九たび頓首して坐す)と見える。
頓首の禮はもと死喪、降伏の禮。吉禮のときには金文に「拜手䭫(稽)首」「拜䭫首」「䭫首」といふ。
頓挫、頓仆、また急頓の意に用ゐる。
鈍と通じ、鈍愚の意に用ゐる。
藤堂
頁(頭)と音符屯の會意兼形聲。屯は、草の芽が出ようとして、ずつしりと地中に根を張るさま。頓は、ずしんと重く頭を地に著けること。
漢字多功能字庫
頁に從ひ屯聲。本義は首を以て地を叩くこと。『説文解字』下首也。(後略)
『周禮・春官・大祝』一曰稽首、二曰頓首。
足踏みすることを表す。南朝宋・鮑照〈舞鶴賦〉引員亢之纖婉、頓脩趾之洪姱。
また叩くことを表す。晉・王嘉『拾遺記・魏』時南越獻白象子在帝前、彰(曹彰)手頓其鼻、象伏不動。
頓仆、跌倒(つまづいてひつくり返ること)を表す。漢・陸賈『新語・資質』仆於嵬崔之山、頓於窅冥之溪。
また毀壞、敗落(壞れること)を表す。『國語・周語上』其無及廢先王之訓而王幾頓乎。
韋昭注頓、敗也。
また撤除(撤廢、撤去)、捨棄(放棄)を表す。『文選・曹植・七啟』於是駴鍾鳴鼓、收旌弛旆、頓綱縱網、罷獠回邁。
李善注頓、猶捨也。
また抖動(搖れる、搖らす、震へる、震はす)、振動を表す。晉・陸機〈應嘉賦〉仰群軌以遙企、頓駿羽以婆娑。
また整頓を指す。『後漢書・馬融傳』然後舉天網、頓八紘、揫歛九藪之動物、繯橐四野之飛征。
停頓、停止もまた頓を用ゐて表す。『文選・傅毅・舞賦』擊不致筴、蹈不頓趾。
李善注蹈鼓而足趾不頓、言輕且疾也。
また宿食之所、館舍を表す。『宋書・鮮卑吐谷渾傳』於是擁馬西行、日移一頓、頓八十里。
また同時、一下子(たちまち、たちどころに)を表す。晉・張華『博物志』卷十人以冷水自漬至膝、可頓啖數十枚瓜。
また量詞に用ゐ、次數を表す。南朝宋・劉義慶『世說新語・任誕』聞卿祠、欲乞一頓食耳。
屬性
- 頓
- U+9813
- JIS: 1-38-60
- 常用漢字(平成22年追加)
- 顿
- U+987F