戕 - 漢字私註
説文解字
説文解字注
槍也。槍者、歫也。歫謂相抵爲害。『〔詩〕小雅〔十月之交〕』曰予不戕。《傳》曰、戕、殘也。此戕之正義。下又稱左氏例、爲別一義。它國臣來弑君曰戕。『春秋・宣十八年』邾人戕鄫子於鄫。《左氏傳》曰、凡自虐其君曰弑。《唐石經》作凡自內非自外曰戕。《賈注》邾使大夫往殘賊之。按『襄卅一年・左傳』曰、閽戕戴吳。閽、越俘也。戴吳、吳餘祭也。故亦曰戕。
从戈爿聲。在良切。十部。
康煕字典
- 部・劃數
- 戈部・四劃
『廣韻』在良切『集韻』『韻會』『正韻』慈良切、𠀤音牆。『說文』槍也。『春秋・宣十八年』邾人戕鄫子于鄫。《左傳・杜註》戕者、卒暴之名。
又『集韻』財干切、音殘。義同。
又資良切、音將。戕𢦪、橛也。
又『廣韻』則郎切『集韻』兹郎切、𠀤音臧。『博雅』戕戙、𣏾也。
又戕牁、郡名。亦作牂。
又『集韻』慈盈切、音情。殺也。
音訓
- 音
- シャウ(漢) 〈『廣韻・下平聲・陽・牆』在良切〉[qiāng]{coeng4}
- 訓
- ころす。そこなふ。
解字
白川
形聲。聲符は爿。
『説文解字』に槍なり。它國の臣、來りて君を弑するを戕と曰ふ。
とあり、槍で刺殺することをいふ。
『左傳・宣十八年』凡自虐其君曰弒、自外曰戕。
(凡そ自ら君を虐すを弒と曰ひ、外よりするを戕と曰ふ。)と見える。
戈矛の類で殺傷することをいふ。
藤堂
落合
武器の戈を意符、爿を聲符とする形聲字。後代には殺傷する意味で用ゐられてをり、甲骨文に記された祭祀儀禮も戈で犧牲を殺す意味であらう。寢臺に寢てゐる人を戈で刺す形の異體もある。
甲骨文での用法は、祭祀名か。《合集》35301…其遣戕。
漢字多功能字庫
甲骨文、金文は、爿と戈に從ふ。爿は牀の初文で、戕の聲符。戈は武器で、用ゐて人を傷附ける。本義は殺害。『説文解字』戕、搶也。他國臣來弒君曰戕。
段玉裁は搶を槍に改め、注して「槍者、歫也。歫謂相抵爲害。『小雅』曰子不戕。《傳》曰、戕、殘也。此戕之正義。
といふ。段氏は、殘殺が戕の本義で、古書ではまた他國の臣が本國の君主を刺殺(あるいは暗殺の意)することを表すとする。
甲骨文では疑ふらくは殺害を表す。《合集》35301其遣戕
は、人を遣つて刺殺することを表す。
金文では通假して壯となし、勇武強大を表す。配兒鉤鑃戕(壯)于[戎攻]
。「戎攻」は古書に「戎工」に作り、軍事を指す。全句で軍事力が強く盛んの意。意味の近い言ひ方に「武于戎攻」がある。嘉賓鐘武于戎攻
。壯が勇武を表す證とならう。
屬性
- 戕
- U+6215
- JIS: 2-12-83
- JIS X 0212: 31-9