爿 - 漢字私註
説文解字
説文解字注
反片爲爿。讀若牆。各本無此。按『六書故』云、《唐本》有《爿部》。葢從晁氏以道說也。今不別立一部。依《彳部》終於反彳爲亍之例補焉。說詳《木部》牀下。
- 七・片部
康煕字典
- 部・劃數
- 部首
- 古文
- 𤕪
『篇海』疾羊切。見龍龕。義闕。『說文』牀从木爿聲。《註》徐鍇曰、爿則牀之省。象人衺身有所倚著。至於牆𡉟戕狀之屬、𠀤當从牀省聲。李陽冰言木右爲片、左爲爿。『說文』無爿字、故知其妄。『鄭樵・六書略』爿、殳也。亦判木也。音牆。隷作爿。『周伯琦正譌』爿、疾羊切、判木也。从半木。左半爲爿、右半爲片。『正字通』唐本說文有爿部。張參五經文字亦有之。周鄭二家皆以李說爲然。與徐說相反。然鄭謂殳卽爿、誤也。判木之說近是。○按徐鍇素稱博洽。果唐本『說文』有爿部、鍇卽唐宋閒人、不應云無。且玉篇亦無爿部、類篇爿字偏旁歸幷片部、篇海止有牀部、亦俱無爿部。司馬光曰、傳寫之譌、片或作爿。此皆祖述說文。若據周鄭二家、而廢徐氏之說、亦未爲當、存以俟考。又字彙、蒲閑切、音瓣。爿片未知所據、然爿片二字、今俗音有之。
- 部・劃數
- 爿部(零劃)
『六書略』爿、古作𤕪。註詳上。
音訓
- 音
- シャウ(漢) 〈『篇海』疾羊切、平聲陽韻〉[qiáng]{coeng4}
- [pán]{baan6}
解字
白川
象形。片の反文。版築のとき、左右に當てて中の土を衝き固める板。『六書故』に引く『唐本說文』に反片を爿と爲す。讀みて牆の若くす。
とあり、牆壁を築くとき、土を盛り固める當て木。
卜文に疾の字は多く爿に從ひ、牀几の形に用ゐる。
一形にしてその兩義を持つものであらう。
藤堂
象形。長い板を敷いた寢臺を縱に描いたもの。牀の原字。
將(細長い中指)、牆(細長い塀)のやうに、細長い意を表すのに用ゐられる。
現在はpánと讀む。片と混同した音。片は、爿の反對の形で、木の切れ端を示すのに用ゐる。また、木字を二つに割つた一きれの形であるともいふ。
落合
臺の象形。左に臺の脚がある。甲骨文には、單獨では原義での用例が見られない。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 祭祀名。《合補》6915
貞、爿妣庚、亡大…。
- 地名またはその長。第一期(武丁代)には領主を合文で小臣爿と呼ぶ例がある。
- 《甲骨拼合集》186
己巳卜亘貞、王夢玉、不惟德小臣爿。
- 《合集》36969
…在爿、牧…[⿱屮虎]…方。
- 《甲骨拼合集》186
甲骨文の構成要素としては、供物を載せる臺や寢臺の意味で使はれてゐる。
寢臺の意味については、後代には意符として木を加へた繁文の牀で表されるやうになつた。
漢字多功能字庫
甲骨文は、寢起きするための牀の形に象り、縱にするのは、筆寫のための便法である。爿は牀の初文で、異體を床につくる。本義は牀。甲骨文に左右の區別なく、片の形につくることもある。後世、爿と片は區別される。爿は後には偏旁にばかり用ゐられるやうになつたので、古代の牀は多く木製であつたから、木を意符に加へて牀字をつくり、本義に用ゐる。
甲骨文では牀と釋す。有力な證據として、甲骨文の疒字(疾の初文)がある。疒は、人が爿あるいは片の上に寢そべるさまに象り、病臥し牀にあることを表す。
甲骨文では地名に用ゐる。《合集》36969才(在)爿
。
方言では多く量詞として田地、商店、工廠、旅舍などに用ゐる。『文明小史』第十回一路言來語去、不知不覺、已到了昨日所住的那爿小客棧內。
屬性
- 爿
- U+723F
- JIS: 1-64-13
- 𤕪
- U+2456A
關聯字
爿に從ふ字を漢字私註部別一覽・爿部に蒐める。