短 - 漢字私註
説文解字
有所長短、以矢爲正。从矢豆聲。都管切。
- 五・矢部
説文解字注
有所長短、㠯矢爲正。从矢。按此上當補不長也三字乃合。有所長短、以矢爲正。說从矢之意也。榘字下曰、矢者、其中正也。正直爲正。必正直如矢而刻識之。而後可裁其長短。故『詩〔小雅・大東〕』曰、其直如矢。『韓詩』曰、如矢斯朸。豆聲。按『〔周禮〕考工記』曰、豆中縣。謂縣繩正豆之柄也。然則豆聲當作从豆。从豆之意與从矢同也。都管切。十四部。
康煕字典
- 部・劃數
- 矢部・七劃
『唐韻』『正韻』都管切『集韻』『韻會』覩緩切、𠀤端上聲。『說文』有所長短、以矢爲正。《徐曰》若以弓爲度也。『廣韻』促也、不長也。『書・堯典』日短星昴、以正仲冬。『禮・月令』度有長短。
又長短術。『史記・六國年表』謀詐用、而縱橫長短之說起。《註》長短術興於六國時、行長入短、其語隱謬、用相激怒。
又短功。『唐書・百官志』凡工匠、十月至正月爲短功。
又短人。『史記・孔子世家』僬僥三尺、短之至也。『荀子・非相篇』帝堯長、帝舜短。文王長、周公短。仲尼長、子弓短。『張華・博物志』伊尹黑而短。
又凡指人過失曰短。『史記・屈原傳』上官大夫短屈原於頃襄王。『前漢・蕭望之傳』鄭朋數稱述望之、短車騎將軍。《師古註》短謂毀其短惡也。
又叶多卷切、音近亶。『陸機・思親賦』天步悠長、人道短矣。異途同歸、無早晚矣。
又叶都眷切、音近玷。『蘇轍・夷中詩』江流日益深、民語漸已變。峰巒古崖石、草木條榦短。
『集韻』或作𢭃。
- 部・劃數
- 手部・七劃
『唐韻』都管切『集韻』覩緩切、𠀤與短同。
又『集韻』大透切、音豆。四匊曰𢭃。
音訓
- 音
- タン(漢、呉) 〈『廣韻・上聲・緩・短』都管切〉[duǎn]{dyun2}
- 訓
- みじかい。そしる。
解字
白川
形聲。聲符は豆。豆は頸部の短い器。
『説文解字』に長短する所有るときは、矢を以て正と爲す。
とあり、矢で長短をはかる意とする。
短は短い矢。それより短小の意となり、また優劣の意に用ゐる。
動詞として、人の短所をそしることをいふ。
藤堂
矢(短い直線)と豆(高坏)の會意で、矢と高坏のやうに、比較的短い寸法の物を合はせて、短いことを示した。
落合
諸説ある。
- 矢を意符、豆を聲符とする形聲字で、矢で長短を測ることを原義とする説。
- 同じく形聲字とするが、原義を「短い矢」と解釋する説。
- 豆亦聲とする説。
- 會意とする説。上古音は、短は端紐元部(tuɑn、tuanなどと復元)、豆は定紐侯部(dɔなどと復元)と推定されてをり、韻母の違ひが大きい。
いづれも明確な矛盾はないが、篆文以前の用例がないため、「みじかい」が原義であることすら確實ではなく、正否を明らかにすることは難しい。
漢字多功能字庫
矢に從ひ豆聲。本義は空間や物體の兩端の距離が小さいこと。短は、甲骨文、金文に見えない。『説文解字』短、有所長短、以矢爲正。
『玉篇・矢部』短、不長也。
先秦典籍に本義に用ゐる。『莊子・駢拇』鳧脛雖短、續之則憂。
唐詩にまた本義に用ゐる。白居易〈山陰道〉缣絲不足女工苦、疏織短截充匹數。
引伸して時間の長からざることを表す。
- 『書・堯典』
日短星仰、以正仲冬。
- 『古詩十九首』之十五
晝短苦夜長、何不秉燭遊。
また引伸して缺少(缺乏、不足)、不足を表す。
- 先秦典籍の例: 『楚辭・卜居』
夫尺有所短、寸有所長。
- 近代白話文小説の例: 『紅樓夢』第63回
今日我還東、短一個也使不得。
また過失、缺點を表す。
- 簡帛文字: 《睡虎地秦簡・為吏之道》15-5
聽有方、辯短長
。 - 宋詩: 王安石〈寓言〉
不求攻爾短、欲議世之失。
- この義を基に、動詞に用ゐて、他人の過失を表す。『史記・屈原賈生列傳』
卒使上官大夫短屈原於頃襄王。
屬性
- 短
- U+77ED
- JIS: 1-35-27
- 當用漢字・常用漢字
- 𢭃
- U+22B43