矩 - 漢字私註
説文解字
- 巨の重文第一。
巨或从木矢。矢者、其中正也。
- 五・工部
説文解字注
巨或从木矢。矢者其中正也。《矢部〔短字條〕》曰、有所長短、以矢爲正。按今字作矩省木。
康煕字典
- 部・劃數
- 矢部・五劃
『廣韻』俱雨切『集韻』『韻會』果羽切、𠀤音踽。正方之則也。『爾雅・釋詁』常也。《疏》度方有常也。『玉篇』圓曰規、方曰矩。『禮・經解』規矩誠設、不可欺以方圓。『前漢・律歷志』矩者、所以矩方器械、令不失其形也。『管子・輕重已篇』心生規、規生矩、矩生方。
又『爾雅・釋詁』法也。『論語』不踰矩。『前漢・敘傳』濞之受吳、疆土踰矩。《註》矩、法制也。
又『增韻』儀也、廉隅也。
又『周禮・冬官考工記・輸人』凡斬轂之道、必矩其隂陽。《註》矩、謂刻識之也。
又『揚子・太玄經』天道成規、地道成矩、規動周營、矩靜安物。『陸倕石闕銘』製模下矩。《註》地也。
又『周𩩙算經』智出於句、句出於矩。《註》矩、謂之表、表不移亦爲句、爲句將正、故曰句出於矩焉。
又規矩、戎名。『汲冢周書』規矩以麟者、獸也。
又通作萭。『周禮・冬官考工記』輪人爲輪、可規可萭。
又通作句。『莊子・田子方』履句屨者知地形。
『說文』本作巨、从工、象手持之形。重文作榘、从木矢。矢者、其中正也。『六書正譌』巨从工、中象方形、亦會意。
- 部・劃數
- 木部・十劃
『唐韻』『集韻』『韻會』𠀤同矩。『屈原・離騷』求榘矱之所同。『宋玉・九辨』滅規榘而改鑿。
音訓
- 音
- ク(漢、呉) 〈『廣韻・上聲・麌・矩』俱雨切〉[jǔ]{geoi2}
- 訓
- さしがね。のり。
解字
白川
形聲。聲符は巨。巨は矩の初文で、指矩の形。
『説文解字』に巨をその正字とし、或いは木、矢に從ふ。矢なる者は其の中正なり。
とする。
その矢の部分は、金文では巨を持つ人の形に作る。
規矩と連用し、規は圓を作るぶんまはしをいふ字であるが、今は定規にやうに用ゐる。
藤堂
矢(昔は物の長さを矢で測つた)と音符巨の會意兼形聲。巨は、鉤型の定規に把手のついたさまを描いた象形字。矩は、角度や長さを測る鉤型の定規。
漢字多功能字庫
金文は大と工に從ひ、あるいは大ではなく夫に從ふ。大、夫、いづれも人の形に象り、全字で人が腕を伸ばし、片方に工を持つ形に象る。工は曲尺つまり方形を描く工具の形に象る(楊樹達)。本義は矩尺(曲尺)。引伸して規矩(規則、手本)となす。
後に大と工を切り離し、大の手の部分と工が繫がり、巨の字形を成した。故に巨は矩字から大を除いた殘りの手と工の形。大や夫の形は小篆に至つて矢に訛變した。
金文では人名や國名に用ゐる。白矩鬲匽侯易(賜)白(伯)矩貝。
屬性
- 矩
- U+77E9
- JIS: 1-22-75
- 人名用漢字
- 榘
- U+6998
- JIS: 2-15-22
- JIS X 0212: 36-57
關聯字
矩に從ふ字を漢字私註部別一覽・巨部・矩枝に蒐める。