久 - 漢字私註

説文解字

久

以後灸之、象人兩脛後有距也。『周禮〔考工記〕』曰、久諸牆以觀其橈。凡久之屬皆从久。舉友切。

久部

説文解字注

久

從後灸之也。也字今補。久灸㬪韵。《火部》曰、、灼也。、灸也。灸有迫箸之義。故以灸訓久。『〔儀禮〕士喪禮』鬲幎用疏布久之。鄭曰、久讀爲灸。謂以葢塞鬲口也。『〔同〕旣夕』苞、筲、𦉥、甒、皆木桁久之。鄭曰、久讀爲灸。謂以葢案塞其口。此經二久字、本不必改讀。葢久本義訓從後歫之。引伸之則凡歫塞皆曰久。鄭以久多訓長久。故易爲灸以釋其義。『〔周禮〕考工記』灸諸牆以眡其橈之均。鄭曰、灸猶柱也。以柱㒳牆之閒。許所偁作久、與禮經用字正同。許葢因經義以推造字之意。因造字之意以推經義。無不合也。相歫則其𠊱必遟。故又引伸爲遟久。遟久之義行而本義廢矣。

象人㒳脛後有歫也。各本作距。今正。歫、止也。距、雞距也。舉友切。古音在一部。

『周禮』曰、久諸牆以觀其橈。凡久之屬皆从久。

康煕字典

部・劃數
丿部・二劃

『唐韻』『正韻』舉有切『集韻』『韻會』已有切、𠀤音九。暫之反也。『易・繫辭』恆久也。『中庸』不息則久。《註》久、常於中也。『老子・道德經』天乃道、道乃久。

又待也。『左傳・昭二十四年』士伯曰、寡君以爲盟主之故、是以久子。

又『說文』久、从後灸之、象人兩脛、後有距也。引【周禮】久諸牆以觀其橈。○按今『考工記・廬人』作灸諸牆以眡其橈。【註】灸、猶柱也。【釋文】音救。

又『儀禮・士喪禮』夏祝鬻餘飯用二鬲、于西牆不羃用疏布久之。《註》久讀爲灸。《疏》灸、塞義、謂直用麤布蓋鬲口爲塞也。

又『韻補』叶舉里切、音几。『詩・邶風』何其久也、必有以也。久叶以。『小雅』來歸自鎬、我行永久。叶喜祉。『楚辭・招䰟』層冰峩峩、飛雪千里。歸來歸來、不可以久。

部・劃數
丿部・二劃

『正字通』俗字。

音訓・用義

キウ(漢) ク(呉) 〈『廣韻・上聲・有・久』舉有切〉[jiǔ]{gau2}
ひさしい

解字

白川

象形。屍體を後ろから木で支へてゐる形に象る。

『説文解字』に後より之れを灸する。人の兩脛の後に距有るに象るなり。とし、後ろにものを詰める意とする。

『儀禮・士喪禮』(補註: 『同・旣夕禮』の誤りか)に木桁もて之れを久すといふやうに、木桁で支へることもあり、久とはその象であらう。これを櫃中に收めるときには匛、柩といふ。

『説文解字』柩字條に棺なりとあり、棺とは屍をつつんで納める意。籀文の字形は𠥬に作る。

久、舊は聲義近く、通用する。久は屍を支へる形、舊は鳥の足を繫いで係留する意で、ともに久遠の意において通ずる。久を久遠とするのは、顚死者の象である眞を、永遠に實在するものの意に轉化するのと、相似た思辨の結果である。

藤堂

會意。背の曲がつた老人と、その背の所に、引つ張つた印の乀印を加へたもので、曲がつて長いの意を含む。

落合

「灸を据ゑる樣子」など、上部を人體の表現とする説があるが、必ずしも人の形とはいへず、秦代の簡牘文字は更に形が異なる。

また、厥の初文の氒と同源字とする説があるが、字形は近いものの、字源は明らかではない。また推定上古音の韻母に相違がある。(補註: 久は見紐之部、氒は見紐月部。)

久は戰國末期に秦で急速に弘まつたもので、他字との關係を分析することが難しい。

漢字多功能字庫

一説には脛の間の距離に象り、時間の長いことを表す。『説文解字』从後灸之。象人兩脛後有距也。(後略)『詩・邶風・旄丘』何其久也、必有以也。

耐久、持久を表す。『周禮・考工記・輈人』軸有三理、一者以為媺也、二者以為久也、三者以為利也。鄭玄注久、堅刃也。

久はの古字で、灸療、灸灼を表す。睡虎地秦簡《封診式・賊死》男子丁壯、析色、長七尺一寸、髮長二尺、其腹有久故瘢二所。

屬性

U+4E45
JIS: 1-21-55
當用漢字・常用漢字
U+4E46

關聯字

久に從ふ字を漢字私註部別一覽・久部に蒐める。