巾 - 漢字私註
説文解字
佩巾也。从冂、丨象糸也。凡巾之屬皆从巾。居銀切。
- 七・巾部
説文解字注
佩巾也。帶下云、佩必有巾。佩巾、禮之紛帨也。鄭曰、紛帨、𢂑物之佩巾也。按以巾拭物曰巾。如以帨拭手曰帨。『周禮〔春官〕』巾車之官。《鄭注》巾猶衣也。然『吳都賦』吳王乃巾玉路。陶淵明文曰、或巾柴車、或櫂孤舟。皆謂拂拭用之。不同鄭說也。陶句見『文𨕖・江淹・雜體詩・注』。今本作或命巾車。不可通矣。『玉篇』曰、本以拭物、後人著之於頭。从冖。巾可覆物。故从冖。『周禮〔天官〕幂人・注』以巾覆物曰幂。丨象系也。有系而後佩於帶。居銀切。十二部。凡巾之屬皆从巾。
康煕字典
- 部・劃數
- 部首
『集韻』『韻會』『正韻』𠀤居銀切、音䘜。『說文』佩巾也。『禮・內則』盥卒授巾。《註》巾以帨手。
又『正韻』蒙首衣也。『玉篇』佩巾、本以拭物、後人著之於頭。『急就篇註』巾者、一幅之巾、所以裹頭也。『揚子・方言』覆結、謂之幘巾。『釋名』巾、謹也。二十成人、士冠庶人巾、當自謹修於四敎也。
又『正韻』羃也。『周語』靜其巾羃。《註》巾羃、所以覆尊彝。
又被巾。『揚子・方言』帍裱謂之被巾。《註》婦人領巾也。
又『類篇』衣也。『周禮・春官』巾車。《註》巾猶衣也。《疏》謂玉金象革衣飾其車、故訓巾猶衣也。
又『正韻』帉也。『說文』楚謂大巾曰𢁥。
又『揚子・方言』蔽厀、魏宋南楚之閒謂之巨巾。
又『急就篇註』巾、一曰裹足之巾、若今裒足布也。
又巾車、官名。『周禮・春官・巾車註』巾車、車官之長。
又『五音集韻』姜螼切、音巹、飾也。
又『集韻』『類篇』𠀤香靳切、音焮。義同。
音訓・用義
- 音
- キン(漢) 〈『廣韻・上平聲・眞・巾』居銀切〉[jīn]{gan1}
- 訓
- きれ
- (國訓) はば
本邦では幅の略字として用ゐる。
解字
垂れ下がる布の形に象る。
白川
象形。佩巾の形に象る。腰に帶びる巾で、儀禮の際に用ゐる蔽膝(膝掛)の類。
金文の賜與に、《㸓壺》赤巿幽黃(衞、玉器)
、《師兌𣪘》女に乃の祖の巾(巿)〜を賜ふ
のやうに、巾を巿の意に用ゐてをり、巾がもと巿(蔽膝)を意味する字であつた。のち巿、芾、黻の字を用ゐ、巾は布巾、衣巾の字として區別されるやうになつた。
『説文解字』に佩巾なり
とあり、その佩巾を以て物を拭ふことを㕞といふ。
『玉篇』に本以て物を拭ふ。後人之を頭に著く。
とあり、頭巾をいふ。
もと禮裝に用ゐた蔽膝の類が、時代とともに變化して、後には布帛をいふ字となつた。
藤堂
象形。三すぢ垂れ下がつた布きれを描いたもの。布を表す記號に用ゐる。
落合
布の象形。
甲骨文では會意字の要素としてのみ見える。
漢字多功能字庫
甲骨文、金文は、佩巾の垂れ下がる形に象る。
甲骨文での用義は不詳。
金文は巿の省文で、古代、裳の上に著けた服飾のこと。
- 曶壺
赤巾(巿)
。 - 元年師兌簋
易(賜)女(汝)乃且(祖)巾(巿)
。
屬性
- 巾
- U+5DFE
- JIS: 1-22-50
- 常用漢字(平成22年追加)
関聯字
巾に從ふ字を漢字私註部別一覽・巾部に蒐める。