夊 - 漢字私註

説文解字

夊
行遲曳夊夊、象人兩脛有所躧也。凡夊之屬皆从夊。楚危切。
夊部

説文解字注

夊
行遟曳夊夊也。也字今補。『〔禮記〕曲禮』曰、行不舉足、車輪曳踵。『〔同〕玉藻』曰、圈豚行不舉足、齊如流。《注》云、孔子執圭、足縮縮如有循是也。『玉篇』曰、【詩】云、雄狐夊夊。今作象人㒳脛有所躧也。『通俗文』履不箸跟曰屣。屣同躧。躧屣古今字也。行遟者、如有所拕曳然、故象之。楚危切。『玉篇』思隹切。十五部。凡夊之屬皆从夊。

康煕字典

部・劃數
部首

『唐韻』息遺切『集韻』山垂切、𠀤音衰。行遲貌。『說文』夊夊、象人兩脛有所躧也。『精薀』安行也。

又『廣韻』楚危切『集韻』初危切、𠀤音吹。義同。

又『玉篇』古文字。註詳糸部七畫。

音訓

スイ(漢、呉) 〈『廣韻・上平聲』楚危切〉
スイ(漢、呉) 〈『廣韻・上平聲・脂・綏』息遺切〉[suī]{seoi1}
おそい

KO字源はまたシの音を示すが、支韻(楚危切)の音か。藤堂は夊の音をスイとするが、の音はシとする。

解字

白川

の倒文。『説文解字』のいふ兩脛の形ではない。向かうから來る、また上から降りてくる形。

左右の夊を重ねると夅となり、降の意。

『玉篇』に『詩・衞風・有狐有狐綏綏の句を引いて「夊夊」につくる。夊夊は忍び足で近附くことをいふ。

藤堂

象形。足を引き摺るさまを描いたもの。

は別字だが、のち混同した。

漢字多功能字庫

甲骨文はの倒寫。止は足が上を向く形なのに對して、夊は足が下を向く形を象る。止と夊は古文字の要素として、區別されないときもあり、均しく足を表す。また足の向く方向によつて意義に區別のあるときもある。陟は二止が上を向く形に從ひ、登山を表し、降は二止が下を向く形に從ひ、下山を表す。夊は下を向く足を表す。『玉篇・夊部』夊、思隹切、行遲貌。『詩』云、雄狐夊夊。夊夊を、今本『詩經・齊風・南山』は「綏綏」につくる。

屬性

U+590A
JIS: 1-52-74

関聯字

夊に從ふ字を漢字私註部別一覽・止部・夊枝に蒐める。