合 - 漢字私註
説文解字
合口也。从亼从口。
- 五・亼部
説文解字注
亼口也。各本亼作合。誤。此以其形釋其義也。三口相同是爲合。十口相傳是爲古。引伸爲几會合之偁。『〔爾雅〕釋詁』曰、㪉郃盍翕仇偶妃匹會、合也。妃合會對也。从亼口。侯閤切。七部。
康煕字典
- 部・劃數
- 口部三劃
『唐韻』𠋫閤切『集韻』『韻會』曷閤切『正韻』胡閣切、𠀤音盒。『說文』合口也。
又『玉篇』同也。『易・乾卦』保合太和。『詩・小雅』妻子好合。
又配也。『詩・大雅』天作之合。『前漢・貨殖傳』蘗麴鹽豉千合。《註》師古曰、蘗麴以斤石稱之、輕重齊則爲合。鹽豉以斗斛量之、多少等亦爲合。合者、相配耦之言耳。
又會也。『禮・王制』不能五十里者、不合于天子。《註》合、會也。
又聚也。『論語』始有曰、苟合矣。《註》合、聚也。
又答也。『左傳・宣二年』旣合而來奔。《註》合、答也。
又閉也。『前漢・兒寬傳』封禪告成、合祛于天地神明。《註》李奇曰、祛、開散。合、閉也。
又六合。『莊子・齊物論』六合之外、聖人存而不論。『梁元帝・纂要』天地四方曰六合。
又黍名。『禮・曲禮』黍曰薌合。
又『文中子・問易篇』黃帝有合宮之聽。
又合黎、地名。『書・禹貢』導弱水、至于合黎、餘波入于流沙。
又州名。『廣韻』秦爲巴郡、宋爲宕渠郡、後魏置合州、蓋涪漢二水合流之處、因以名之。又參合、代地。『史記・韓王信傳』入居參合。又鉅合在平原、合騎在高城、𠀤漢侯國。見『史記・建元以來王子侯者年表』。又重合縣屬勃海郡、合鄕縣屬東海郡。又合浦、郡名。𠀤見『前漢・地理志』。
又『廣韻』器名。『正韻』合子、盛物器。
又『廣韻』姓也。『左傳』宋大夫合左師。
又子合、西域國名。『前漢・西域傳』西夜國王、號子合王。『後漢・西域傳』子合國、去疏勒千里。
又通作闔。『戰國策』意者、臣愚而不闔於王心耶。《註》闔合同。
又與郃通。『史記・魏世家』築雒隂合陽。《註》郃水之北。又『高祖功臣侯表』高祖兄仲廢爲合陽侯。
又『唐韻』『正韻』古沓切『集韻』『韻會』葛合切、𠀤音閤。『廣韻』合、集也。又『集韻』兩龠爲合。『前漢・律歷志』量者、龠合升斗斛也、所以量多少也。又合龠爲合、十合爲升。《註》合龠一作十龠、又合者、合龠之量也。
又叶許及切、音翕。『張衡・思玄賦』何孤行之焭焭兮、孑不羣而介立。感鸞鷖之特棲兮、悲淑人之希合。
音訓・用義
- 音
- (1) ガフ、ガツ(慣) ゴフ(呉) カフ(漢) 〈『廣韻・入聲・合・合』侯閤切〉[hé]{hap6}
- (2) ガフ(慣) カフ(漢) コフ(呉) 〈『廣韻・入聲・合・閤』古沓切〉[gě]{gap3}
- 訓
- (1) あふ。あはせる。あつまる(集合)。あつめる。こたへる。
再讀して「まさに〜すべし」と訓ず。
音(2)は容積の單位に用ゐる。升の十分の一。
解字
白川
象形。祝禱を收める器である口の上に、深く蓋をしてゐる形に象る。盟誓などの書をその器中に收めて、合意の成ることをいふ字。
『説文解字』に口を合はせるなり
とし、上を亼にして集、衆口を集める意とするが、そのやうな造字の法はない。
盟誓などの書をその器中に收めて、合意の成ることをいふ字で、金文の《琱生𣪘》に來たりて事を合す
とは祭事の協議が成立すること。そのやうな會合に參加することを「䢔ふ」といふ。
鄕射のことを金文に「𫧻射」といふのもその意。𫧻は合を中にして二人對坐する形。卿は食膳を挾んで二人對坐する形で、饗の初文。合議のため會するときは、𫧻がその字義にあふ。
合意のことをまた答といひ、金文に厥の德に合(答)揚す
(白文下揭: 陳侯因𬁼敦)のやうに用ゐ、『左傳・宣二年』にも既合而來奔
(旣に合へて來り奔る)のやうな例がある。
藤堂
亼(被せる)と口(穴)の會意。穴に蓋を被せてぴたりと合はせることを示す。
落合
會意。甲骨文は、器物の象形である口に蓋である今を合はせたさま。
甲骨文の異體に、今を冃に替へたものや、口を凵に替へたものなどもある。
甲骨文での用義は次のとほり。
- あはせる。統合する。《屯南》2350(下揭)
- 祭祀名。《殷墟小屯中村南甲骨》474
辛卜、毋侑歳、合七羊四豕。
- 地名。《合集》24366・後半記時
壬午卜王。在合卜。
漢字多功能字庫
甲骨文、金文は、𠓛と口に從ひ、容れ物と蓋が合はさる形に象る。轉じて會合、聚合の意。甲骨文には、𠓛と口の間に、短い横劃を加へるもの、日字を加へるものがあり、あたかも箱の中に物を收めるが如くである。戰國文字では下部の口が甘に變化してゐるものがある。
構形の解釋には多くの説がある。林義光、徐中舒は、合は二物の相合ふ形を象るといひ、徐氏はまた盒の初文、それより會合の義を派生する、といふ。
特に注意すべきことは、合の上部は𠓛で、倒口に象る亼ではないことである。もし二者を混同すれば、合は二口が應答してゐることを指し、答の初文である、との主張(高鴻縉)を得るだらう。
甲骨文では會合を表す。《屯南》2350王其以眾合右旅
は、商王は民衆をして右旅に會合せしめることをいふ。
金文での用義は次のとほり。
- 符合(ぴつたり合ふこと)を表す。秦公鐘
卲(昭)合皇天
は、即ち配合皇天、三公の德を皇天に相配し、それが天命に合ふことをいふ。 - 通假して會となす。五年琱生簋
隹(唯)五年正月己丑、琱生又(有)事、召來合(會)事
は、五年正月の己丑の日、琱生に獄訟の事が發生し、召伯虎がこのことを處理する、といふ。 - 通假して答となす。陳侯因𬁼敦
合(答)揚厥德
(訓讀文上揭)。
戰國竹簡での用義は次のとほり。
- 會合を表す。《郭店簡・老子甲》簡19
天地相合也、以逾(降)甘露。
(補註: 『老子・第三十二章』に天地相合、以降甘露
とある。) - 通假して答となし、回答、對答を表す。《上博竹書二・民之父母》簡1
孔子合(答)曰
。
屬性
- 合
- U+5408
- JIS: 1-25-71
- 當用漢字・常用漢字
関聯字
合に從ふ字を漢字私註部別一覽・亼部・合枝に蒐める。