誾 - 漢字私註
説文解字
- 誾
和說而諍也。从言門聲。
- 初句の段注に
『論語・鄉黨・孔注』侃侃、和樂皃。誾誾、中正皃。先進皇侃亦云爾。按侃侃爲和樂者、謂侃侃卽衎衎之假借也。誾誾爲中正者、謂和悦而諍、柔剛得中也。言居門中。亦有中正之意。
といふ。 - 三・言部
康煕字典
- 部・劃數
- 言部八劃
『唐韻』語巾切『集韻』『正韻』魚巾切『韻會』疑巾切、𠀤音銀。『說文』和悅而諍也。『玉篇』和敬貌。『廣韻』中正之貌。『類篇』語也。『論語〔鄉黨〕』朝與上大夫言、誾誾如也。『後漢・張輔傳』前入侍講、屢有諫正、誾誾惻惻、出於誠心。
又姓。『何氏姓苑』今廣平人。
又『集韻』魚斤切、音垠。義同。
- 部・劃數
- 言部三劃
『玉篇』與誾同。
又『字彙』訔訔、爭辯貌。『揚子・法言』何後世之訔訔也。《註》謂爭論是非也。一本作誾誾。
又『集韻』山名。
又人名。『宋史・𨻰炤傳』錢訔追贈龍圖閣待制。
異體字
簡体字。
論語・先進
閔子侍側、誾誾如也。子路、行行如也。冉有、子貢、侃侃如也。子樂。「若由也、不得其死然。」
音訓・用義
- 音
- ギン(漢)
- 訓
- やはらぐ。つつしむ。
誾誾を、白川は和敬のさまとし、『論語・先進』(上揭)を引く。藤堂は一方に偏らず正當なさま、また穩やかに是非を論ずるさまとし、『論語・鄉黨』(上揭)を引く。KO字源は和らぎ悦びて諍ふ、一説に和らぎ敬しむ貌とし、『論語・鄉黨』を引く。
解字
白川
門と言の會意。説文解字に字を門聲とするが音が合はず、もとより會意字である。門は廟門。その廟門に祝詞を收める器を置いて神意を伺ふは問。言は盟誓して祈る意で、神意を待つことを誾といふ。夜中幽暗のとき、そこに聲を發して神意が示されることがあり、その字は誾。『玉篇』に和敬の皃なり
とあり、謹んで神意を待つことをいふ。
藤堂
漢字多功能字庫
金文は言に從ひ門聲。讀んで垠となすと疑はしい。師[某頁]簋才先王既令(命)女(汝)乍(作)𤔲土(徒)、官𤔲汸誾。
「汸誾」は讀んで「方垠」となすと疑はしく、王畿四方の境界を表す(參・陳秉新)。『太玄經・爭・次三』爭射齦齦
司馬光集註范本齦作誾。
の如く、艮聲の字と誾は相通ず。
屬性
- 誾
- U+8ABE
- JIS: 2-88-64
- 訔
- U+8A14
- JIS: 2-88-53
- 訚
- U+8A1A