已 - 漢字私註

康煕字典

部・劃數
己部(零劃)

『廣韻』羊己切『集韻』『韻會』『正韻』養里切、𠀤音以。『玉篇』止也、畢也、訖也。『廣韻』成也。『集韻』卒事之辭。『易・損卦』已事遄往。

又『玉篇』退也。『廣韻』去也、棄也。『書・堯典』試可乃已。『論語』三已之。

又太也。『廣韻』已、甚也。『孟子』仲尼不爲已甚者。《註》不欲爲已甚、太過也。

又『廣韻』過事語辭。『史記・灌夫傳』已然諾。《註》索隱曰、謂已許諾、必使副其前言也。

又『類篇』語已也。『增韻』語終辭。『前漢・梅福傳』亦無及已。

又踰時曰已而。『史記・高帝紀』已而有娠。

又與通。『荀子・非相篇』人之所以爲人者、何已也。曰、以其有辨也。『前漢・張良傳』殷事以畢。

又『廣韻』『集韻』𠀤羊吏切、音異。義同。

音訓

イ(漢、呉) 〈『廣韻・上聲』羊己切〉[yǐ]{ji5}
やむ。やめる。をはる。すでに。はなはだ。のみ。

解字

白川

已、はもと同字。すき(耜)の形を象る。㠯は耜の初文で、のち耜の字にその義を存してゐる。

耜、はその本音(シ)に從ふ。

また矣、の聲(イ)がある。

卜文、金文の字形は、またと釋することがある。

已、矣は終助詞として通用し、またその聲は感動詞に用ゐることがある。

本義には耜字を用ゐ、他の訓は全て假借。

藤堂

象形。古代人が耜に使つた曲がつた木を描いたもの。のち、已、乚(以)の三つの字形に分かれ、耜(すき)、、㠯(工具で仕事をする)、已(やめる)などの用法に分化した。

已字のやめるの意は、(とまる)、俟(とまつて待つ)に當てた用法。

また以に當てて用ゐる。

漢字多功能字庫

古文字では已とは同一字(吳大澂など參照)。已はみな巳の形につくる。故に王輝は已は巳から分化した字とする。《郭店楚簡・尊德義》治民非還生而已也。《睡虎地秦簡・語書》今法律令已具矣、而吏民莫用。《馬王堆・老子乙本卷前古佚書》天地已成、黔首乃生。後に已を借りて虛詞となし、終止、完了を表し、更には肯定、感歎などの意を表す。

屬性

U+5DF2
JIS: 1-54-65
人名用漢字