台 - 漢字私註
説文解字
說也。从口㠯聲。與之切。
- 二・口部
説文解字注
說也。台說者、今之怡悅字。『說文』怡訓和。無悅字。『今文尙書』舜讓于德不台、見『漢書・王莽傳』班固典引。而『〔史記〕五帝本紀』本之作舜讓于德不台懌。『〔同〕自序』曰、唐堯遜位、虞舜不台。惠之早霣、諸吕不台。皆謂不爲百姓所悅也。『古文〔書〕禹貢』袛台德先。《鄭注》敬悅天子之德旣先。从口㠯聲。与之切。一部。按『〔書〕湯誓』『〔同〕高宗彤日』『〔同〕西伯戡黎』皆云如台。『〔史記〕殷本紀』皆作柰何。『〔爾雅〕釋詁』台予同訓我。此皆以雙聲爲用。何予台三字雙聲也。
康煕字典
- 部・劃數
- 口部・二劃
『唐韻』與之切『集韻』『韻會』盈之切『正韻』延知切、𠀤音怡。『爾雅・釋詁』台、我也。『又』予也。『書・禹貢』祇台德先。『湯誓』非台小子、敢行稱亂。
又『說文』悅也。『史記・太史公自序』唐堯遜位、虞舜不台。
又『揚子・方言』養也、晉衞燕魏曰台。又失也、宋魯之閒曰台。
又『唐韻』土來切『集韻』『韻會』湯來切、𠀤音胎。『廣韻』三台星。亦作能。『周禮・春官・大宗伯司中註』司中三能、三階也。《疏》武陵太守星傳云、三台一名天柱、上台司命爲太尉、中台司中爲司徒、下台司祿爲司空、史漢皆作三能。
又姓。北史有台氏。
又天台、山名、在會稽。
又州名。『韻會』本漢冶縣、宋爲赤城郡、唐攺台州。又『春秋・襄十二年』莒人伐我東鄙、圍台。《註》琅邪費縣南有台亭。『釋文』台、敕才反、又音臺、一音翼之反、三音皆可讀。
又『集韻』堂來切、音臺。台背、大老也、通作鮐。『詩・大雅』黃耇台背。《箋》台之言鮐也、大老則背有鮐文。『釋文』台亦讀湯來反。
又縣名。『前漢・地理志』元菟郡上殷台縣。『又』樂浪郡蠶台縣。
又『集韻』台谷、地名。
又『集韻』祥吏切、音寺。嗣古作台。『書・舜典』舜讓于德、弗嗣。『今文尚書』作不台。
音訓
- 音
- (1) イ(漢、呉) 〈『廣韻・上平聲・之・飴』與之切〉[yí]{ji4}
- (2) タイ(漢、呉) 〈『廣韻・上平聲・咍・胎』土來切〉[tái]{toi4}
- 訓
- (1) われ。よろこぶ。やしなふ。
三台星は音(2)に讀む。轉じて、台位、台槐、台鼎など、三公の稱とする。更に轉じて、台顏、台察、台書、台命、台覽など、敬語に用ゐる。
解字
白川
『説文解字』に說ぶなり
とし、字を㠯聲とするが、金文には以の義に用ゐることが多く、《王孫遺者鐘》用て享し、台て孝す
のやうに「用〜台〜」の形式をとることが多い。
厶の原形は㠯、耜の象形。口は祝詞を收める器の形。台は祝詞を奏して耜を清める儀禮を示す字。それより農耕をはじめる意となる。
藤堂
口と音符厶(㠯)の變形)の會意兼形聲。厶は、曲がつた棒で作つた耜のこと。その音を借りて一人稱代名詞に當てた。
あるいは道具を持つて工作する(自主的に行ふその人)との意から、一人稱となつたものか。
漢字多功能字庫
金文は口に從ひ㠯聲。台と㠯(以)は音義が同じ。故に陳夢家は台は以の派生字であり、東周金文で始めて口を增して台と爲した。
と言ふ。
金文では以に用ゐる。王孫鐘用匽台(以)喜
。
金文の台は後世の臺字の簡體とは關係のない、同形字。
台字は春秋金文に初めて見える。金文での台の用法は以に同じ。台の口の形が戰國のときには變形して心に近い形となつた。
『説文解字』は台を怡の本字とし、台の本義を怡悅と釋する。《段注》台說者、今之怡悅字。
屬性
- 台
- U+53F0
- JIS: 1-34-70
關聯字
台に從ふ字
漢字私註部別一覽・㠯部・台枝に蒐める。
其の他
- 臺
- 別字。台を臺の簡体字、新字体に用ゐる。