蝮 - 漢字私註
説文解字
説文解字注
虫也。是曰轉注。考老之例也。『〔楚辭〕招䰟』曰、蝮蛇蓁蓁。
从虫𡕨聲。芳目切。三部。玉裁按虫蝮二篆說解、葢有疑焉。許它下解云「虫也。从虫而長。象冤曲𠂹尾形。」虫篆下說云「象其臥形」。然則虫乃不𠂹尾之它。它乃𠂹尾之虫。二篆實一字也。乃解虫爲蝮。援『爾雅〔釋魚〕』「博三寸、頭大如擘」以實之。依『爾雅』之形、則頭廣一寸身廣三寸必四足之它乃有此形。而許所云象其臥、象其冤曲𠂹尾者、必無足之它。而非四足之它也。無足爲它之常形。故其臥曰虫。舒之曰它。而龜𪓑篆从它篆之上體、亦未嘗非虫篆之上體也。然則以蝮訓虫似非許意矣。況『爾雅』蝮虫在『釋魚』。陸云今作虺。尋其形皃非無足之它。諸書皆云至毒。則卽『字林』所謂𧌍聽之類。故景純亦云今俗細頸大頭之蝮它。非『爾雅』之蝮它。許書以雖虺蜥蝘蜓蚖六篆同四足者類記。葢許意虫爲無足它。虺爲四足它。各不相涉。『爾雅』古本作蝮虫、乃是借虫以爲虺。「博三寸首大如擘」者、乃虺之形、非虫之形。許書虫篆下作「它也、象其臥形」。而無「蝮、虫也、从虫复聲」之云。則文從字順矣。蝮字恐古『爾雅』衹作復。故知許不當有。
康煕字典
- 部・劃數
- 虫部・九劃
『唐韻』芳福切『集韻』『韻會』『正韻』芳六切、𠀤音覆。〔音1〕『說文』虫也。『爾雅・釋魚』蝮虺、博三寸、首大如擘。《註》身廣三寸、頭大如人擘指、此自一種蛇、名爲蝮虺。『楚辭・招魂』蝮蛇蓁蓁。《註》蝮、大蛇也。『前漢・田儋傳』蝮蠚手則斬手、蠚足則斬足。《師古註》蝮出南方。『博物志』蝮蛇、秋月毒甚、無所蜇螫、齧草木以泄其氣、草木卽死。人樵採爲草木所傷刺者、亦殺人。『本草』蝮蛇、形不長、頭扁口尖、身赤文斑、亦有靑黑色者。人犯之、頭足貼著。『韓愈詩』蝮蛇生子時、坼裂腸無肝。
又『爾雅・釋蟲』蝝、蝮蜪。《註》蝗子未有翅者。
又蝮蜟、蟬未蛻者。見『論衡』。
又姓。『通志・氏族略』唐乾封元年、攺武惟良爲蝮氏。
又『集韻』房六切、音伏。〔音2〕義同。
又蝮蜪之蝮亦音匐、鼻墨切。〔音3〕
音訓義
- 音
- フク(漢)(呉)⦅一⦆
- フク(推)⦅二⦆
- ホク(推)⦅三⦆
- ホク(推)⦅四⦆
- 訓
- まむし⦅一⦆⦅二⦆
- 官話
- fù⦅一⦆
- 粤語
- fuk1⦅一⦆
⦅一⦆
- 反切
- 『廣韻・入聲・屋・蝮』芳福切
- 『集韻・入聲上・屋第一・蝮』芳六切
- 『五音集韻・入聲卷第十三・屋第一・敷切三蝮』芳福切
- 聲母
- 敷(輕脣音・次清)
- 等呼
- 三
- 官話
- fù
- 粤語
- fuk1
- 日本語音
- フク(漢)(呉)
- 訓
- まむし
- 義
- 鎖蛇科蝮亞科の毒蛇の汎稱。本邦では一般に日本蝮を指す。
- 蝮蜟は、蟬の幼蟲、あるいは脱け殼(蛻)のこと。
- 蝮蜪あるいは蝝は、蝗の幼蟲のこと。
- 釋
- 『廣韻』
蝮: 蝮蛇。又姓。乾封元年、改武惟良爲蝮氏。芳福切。八。
- 『集韻』
蝮: 芳六切。『說文』虫也。『爾雅』謂之蝝。一曰、虺、博三寸、首大如擘。文十七。
- 『康煕字典』上揭。
⦅二⦆
- 反切
- 『集韻・入聲上・屋第一・伏』房六切
- 『五音集韻・入聲卷第十三・屋第一・奉切三伏』房六切
- 聲母
- 奉(輕脣音・全濁)
- 等呼
- 三
- 日本語音
- フク(推)
- 訓
- まむし
- 義
- ⦅一⦆の異音。
- 釋
- 『集韻』
蝮: 蛇名。廣三寸、色如綬、鼻有針、一名反鼻、大者百斤。一曰、蝮蜟、蛻也。
- 『康煕字典』上揭。
⦅三⦆
- 反切
- 『集韻・入聲下・德第二十五・菔』鼻墨切
- 『五音集韻・入聲卷第十五・德第七・並一菔』蒲北切
- 聲母
- 並(重脣音・全濁)
- 等呼
- 一
- 日本語音
- ホク(推)
- 義
- 蝮蜪(蝗の幼蟲)をあるいは本音に讀む。
- 釋
- 『集韻』
蝮: 蝮蜪、蟲名、蝝也。
- 『康煕字典』上揭。
⦅四⦆
- 反切
- 『集韻・入聲上・𣵽第二・僕』蒲沃切
- 『五音集韻・入聲卷第十三・沃第二・並一僕』蒲沃切
- 聲母
- 並(重脣音・全濁)
- 等呼
- 一
- 日本語音
- ホク(推)
- 義
- 蛇。まむし。
- 蝮蜪(蝗の幼蟲)をあるいは本音に讀む。
- 釋
蝮: 蟲名。蛇也。『爾雅』「蝝、蝮蜪」、郭璞讀。
解字
白川
形聲。聲符は复。
『説文解字』に虫なり
、虫字條に一に蝮と名づく。博さ三寸、首大なること擘指(親指)の如し。其の臥したる形に象る。
といふ。虫を蝮の象形字、蝮をその形聲字とするのは、『爾雅・釋魚』に蝮を虺とする解を採るものであらう。
『詩・小雅・斯干』の《疏》に引く《舍人注》に、江北では虺、江南では蝮と呼ぶとあり、方言の異名。
藤堂
屬性
- 蝮
- U+876E
- JIS: 1-73-93