复 - 漢字私註

説文解字

𡕨
行故道也。从省聲。
夊部

康煕字典

部・劃數
夊部六劃
古文
𠰞

『廣韻』『集韻』𠀤房六切、音伏。『說文』行故道也。

部・劃數
夊部八劃

『玉篇』與同。今通作復。

部・劃數
口部五劃

『集韻』古作𠰞。註詳攵部六畫。

廣韻

四聲・韻・小韻
入聲・伏
反切
房六切

行故道也。『說文』作𡕨

音訓

フク(漢) 〈『廣韻・入聲・伏』房六切〉[fù]{fuk6}
かへす。かへる。

解字

白川

量器の形との會意。卜文、金文は、量器の形である良に從ふ。これを反復して、器中の糧穀を整へるのであらう。

『説文解字』に故道を行くなりといふのは往復の復、復の初文とするものであらう。また畗の省聲とするが、卜文、金文はに從ふ形ではない。

藤堂

と音符(腹の膨れたほとぎ)の會意兼形聲。重なる、膨れる意を含む。

落合

酒樽の象形のと足の形を下向きにしたの會意。復の初文。夂が復路を表すことは明らかであるが、酉については意義が不明。或は神への供物を下げることが原義かも知れない。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. 歸ること。來復ともいふ。《合集》7076貞、勿曰雀來復。
  2. また。ふたたび。派生義の副詞。《合補》1245乙酉卜賓貞、呼延復有行。十月。
  3. 地名またはその長。《甲骨拼合集》313丁未卜爭貞、勿復先以歳改。在涂。

一二間期(祖己代)には上部をやその略體に變へた異體字が使はれてをり、これが金文以降に退として分化した。(補註: 漢字多功能字庫は酉あるいは皀とに從ふ字を退に當てる。)

金文で意符として進行を象徵するを加へ復につくる。

古文にはに從ふ字形も見えるが、篆文以降には繼承されてゐない。

漢字多功能字庫

复字の甲骨文は、地室の形と(足)に從ふ。上部は古人の居住する𥨍室(すなはち土室)を象り、足がその下にあり、往來進出(陳永正、季旭昇)、回來(戻つてくる)の意。復の初文。下向きの足を夊と隸定する。戰國竹簡では上部の土室の象を聲符に變へて聲とする。

甲骨文での用義は次のとほり。

金文では地名に用ゐる。

春秋玉石文字では腹の通假字とする。侯馬盟書1:5复(腹)心は、至誠の心を表す(王輝)。

戰國竹簡では輹の通假字となし、車箱の底板と車軸を結び附ける繩あるいは部品を表す。《上博竹書三・周易》簡22車敓(脫)复(輹)は、車は車輹を外す、の意。

屬性

U+3686
𠰞
U+20C1E
𡕨
U+21568
U+590D
JIS: 2-5-27

関聯字

复に從ふ字を漢字私註部別一覽・止部・复枝に蒐める。