雷 - 漢字私註
説文解字
陰陽薄動靁雨、生物者也。从雨、畾象回轉形。
- 十一・雨部
古文靁。
古文靁。
籒文。靁閒有回。回、靁聲也。
康煕字典
- 部・劃數
- 雨部・五劃
- 古文
- 𤴐
- 𩂩
- 𩇓
- 𤳳
- 䨓
- 𩄣
- 靁
- 㗊
- 𤴑
『唐韻』魯回切『集韻』『韻會』『正韻』盧回切、𠀤音罍。『說文』本作靁。隂陽薄動靁雨生物者也。从雨畾聲。象回轉形。『易・說卦』震爲雷。『禮・月令』仲春、雷乃發聲。
又『禮・曲禮』毋雷同。《註》雷之發聲、物無不同時應者。人之言當各由已、不當然也。
又『司馬相如・大人賦』左𤣥冥而右黔雷。《註》黔雷、黔嬴也。天上造化神名。
又『周禮・地官・鼓人』以雷鼓鼓神祀。《註》雷鼓、八面鼓也。
又『韻會』雷門、會稽城門、有大鼓、聲聞百里。『前漢・王尊傳』毋持布鼓過雷門。
又『南部新書』胡琴、大曰大忽雷、小曰小忽雷。
又山名。『書・禹貢』壷口雷首。《疏》雷首、在河東蒲坂縣南。
又澤名。『書・禹貢』雷夏旣澤。《傳》雷夏、澤名。
又漢侯國名。在東海。見『史記・建元以來王子侯者年表』。又外國名。『前漢・西域傳』無雷國王冶盧城。
又州名。『韻會』在廣西、其山爲雷所震、水流爲江。唐置雷州。
又姓也。『前漢・淮南王安傳』郞中雷被。
又音纍。『楚辭・九歌』駕龍輈兮乗雷、載雲旗兮委蛇。『晉語』靑陽。方雷氏之甥也。《註》方雷、西陵氏之姓。黃帝娶於西陵氏之子、曰纍祖、實生靑陽。雷纍同。○按晉語註、雷有纍音、非止叶音也。
又『集韻』魯水切、音壘。推石下也。
又『集韻』盧對切、音類。本作礧。或作壘礌檑。『埤蒼』推石自高而下也。『周禮・秋官・職金註』槍雷、椎椁之屬。『釋文』劉音誄。沈云、當爲礌、郞對反。『前漢・鼂錯傳・具藺石註』如淳曰、藺石、城上雷石。師古曰、雷、來內反。
又『正字通』擊鼓曰雷。『古樂府』官家出遊雷大鼓。
- 部・劃數
- 雨部六劃
『玉篇』古文雷宇。註詳五畫。
- 部・劃數
- 雨部六劃
『集韻』雷古作䨓。註詳五畫。『韻會』通志曰、回、古䨓字、後人加雨作䨓。回象雷形、古尊罍多作雲回。
- 部・劃數
- 雨部十劃
『集韻』雷古作𩄣。註詳五畫。
- 部・劃數
- 雨部十五劃
『玉篇』與雷同。『詩・召南』殷其靁。『釋文』靁、亦作雷。『楚辭・九歌』靁塡塡兮雨冥冥。『前漢・中山靖王傳』聚蟁成靁。《註》師古曰、靁、古雷宇。言衆蚊飛聲有若雷也。
又『周禮・春官・大司樂』靁鼓靁鼗。
又地名。『史記・匈奴傳』北益廣田、至胘靁爲塞。《註》胘靁、地名、在烏孫北。
又『周禮・春官・龜人』掌六龜之屬、西龜曰靁屬。『釋文』力胃反、又如字。『爾雅・釋魚』龜左倪不類。《疏》倪、庳也、不發聲也、謂行時頭左邊向下者名類、周禮西龜曰靁屬是也。
又『集韻』力救切、音溜。龜名也。
- 部・劃數
- 雨部三十二劃
『集韻』雷古作𩇓。註詳五畫。
- 部・劃數
- 田部十五劃
『集韻』雷古作𤳳。註詳雨部五畫。
又『集韻』詡鬼切、音虺。人名。仲𤳳、湯左相。或作蘬𤴄。通作虺。○按『史記』本作𤳹〔註1〕。
- 註1: Wikisourceや中國哲學書電子化計劃の『史記・殷本紀』は仲𤳳を中壘につくる。
- 部・劃數
- 田部二十七劃
『玉篇』古文雷字。註詳雨部五畫。
- 部・劃數
- 田部二十八劃
『字彙補』古文雷字。註詳雨部五畫。
音訓
- 音
- ライ(漢、呉) 〈『廣韻・上平聲・灰・雷』魯囘切〉
- 訓
- かみなり。いかづち。
解字
白川
形聲。畾聲。
金文に𤳳につくり、電光の放射する形で、もと象形字。
『淮南子・天文訓』に陰陽相薄、感而為雷
(陰陽相薄り、感じて雷と爲る)とあり、その現象は正確に理解されてゐた。
漢の塼畫に、鼓をうつ雷神の姿があり、また雷鼓といふ。
藤堂
雨と音符畾の會意兼形聲。畾はごろごろと積み重なつたさまを描いた象形字。靁は雨雲の中に陰陽の氣が積み重なつて、ごろごろと音を出すこと。のち雷と略す。
落合
甲骨文は申の異體と田に從ひ、二田を聲符の畾とする形聲字とされる。但し甲骨文に畾は見えない。雷鳴を意味する字だが、甲骨文では地名としての用法しかなく、稻妻の意では電のみが使はれてゐる。
甲骨文では地名を表す。丘雷は雷の近くの丘陵であらう。《合集》24367・後半記時癸未卜行貞、今夕亡禍。在正月、在丘雷卜。
字形は金文の一部に雨を加へた繁文があり、さらに古文で申が省略されて靁の形となつた。隷變以降、畾が田に簡略化された。
漢字多功能字庫
雷の小篆は靁につくり、初文は畾につくる。甲骨文、早期金文は一つから四つの車輪と申に從ひ、申は稻妻を象り、車輪は雷鳴を表す。古人は車輪の走る音をごろごろと雷の鳴る音に喩へた。故に畾字は雷鳴、稻妻が交錯する形を象る。
後期金文は雨を義符に加へるが、雷が鳴り、稻妻が多く出現するのは雷雨の天氣であることによる。
甲骨文では本義に用ゐ、雷鳴を表す。また人名、地名に用ゐる。
金文では人名に用ゐる。
傳統的青銅器には所謂「雷紋」あるいは「雲雷紋」が出現し、それは渦卷き狀の線で、雷鳴を圖象化した符號であり、類似する形が籀文の中にも見え、雷紋の普遍的な使用は、古人の雷に對する崇拜を反映してゐる。雷紋は單獨で器物の上に出現するときもあるが、主には背景の飾りとして用ゐられ、饕餮などの主題を引き立たせる。
屬性
- 雷
- U+96F7
- JIS: 1-45-75
- 當用漢字・常用漢字
- 𩂩
- U+290A9
- 䨓
- U+4A13
- 𩄣
- U+29123
- 靁
- U+9741
- JIS: 2-91-90
- 𩇓
- U+291D3
- 𤳳
- U+24CF3
- 𤴐
- U+24D10
- 𤴑
- U+24D11
関聯字
雷聲の字
- 蕾