龠 - 漢字私註

説文解字

樂之竹管、三孔、以和眾聲也。从侖。侖、理也。凡龠之屬皆从龠。
龠部

康煕字典

部・劃數
部首

『唐韻』以灼切『集韻』『韻會』『正韻』弋灼切、𠀤音藥。『說文』樂之竹管、三孔、以和衆聲也。从品侖。侖、理也。『博雅』龠謂之笛、有七孔。『詩・邶風』左手執龠。

又作籥。『爾雅・釋樂』大籥謂之產、其中謂之仲、小者謂之箹。『春秋・宣八年』壬午猶繹、萬入去籥。《註》籥、管也。

又『正韻』量名。器狀似爵、以康爵祿。『前漢・律歷志』龠者、黃鍾律之實、躍微動氣而生物也。容千二百黍、合龠爲合、十合爲升、十升爲斗、十斗爲斛。『字彙』樂之竹管𠀤謂之龠、惟黃鍾之管、實以黍米、積之而成五量之名。說文、樂龠字、本作龠。別作籥字、註、書僮竹笘也。謂編竹習書也。今以龠爲龠合字、以籥爲樂籥字、後世遂因之、字从品从侖。俗省作二口。

音訓・用義

ヤク(漢、呉) 〈『廣韻・入聲・藥・藥』以灼切〉[yuè]{joek6}
ふえ

樂器の名前。

また、容積の單位。一合の十分の一(一勺に同じ)とも、二分の一ともいふ。

解字

白川

象形。三孔のある笛の形に象り、籥の初文。

『説文解字』に會意に解するが、上の三口は吹き口、下は竹簡を竝べてくくつた形で、全體が象形。籥はその繁文で形聲字。

もと神を降ろす樂器で、本邦では今も神事に用ゐる。『周禮・春官・籥師』に、祭祀、賓客、大喪のときに、また『周禮・春官・籥章』に、農事や祭蜡の樂舞に用ゐるといふ。

藤堂

(穴)三つと侖(揃へて合はせる)の會意。何本かの竹簡を揃へて合はせた笛を表す。

落合

音階の異なる竹笛を束ねた樂器の象形。甲骨文は上部のを除いた形(⿱𠱠𠕁)。

甲骨文では祭名に用ゐる。《殷墟小屯中村南甲骨》3禦龠。

金文で亼の形が加へられたが、その意義は不詳。

後代に下部がに同化した。

漢字多功能字庫

甲骨文は、と、管を竝べた樂器の象形に從ふ。頂の口の形あるいは圓形は管の端の圓孔に象り、簡を編んだの形とは區別がある。亼は倒口の形で、樂器を吹奏する一人のあることを示す。徐中舒は、龠は樂器の笙の初形であるとする。

金文は亼と口と冊に從ふ。冊は管を竝べた樂器の形が變形したもので、簡冊とは關係ない。

甲骨文、金文では祭名に用ゐ、後にはを加へて禴につくる。臣辰卣王大龠(禴)于宗周『詩・小雅・天保』禴祠烝嘗、于公先王毛傳春曰祠、夏曰禴、秋曰嘗、冬曰烝。また人名に用ゐる。

屬性

U+9FA0
JIS: 1-83-94

関聯字

龠に從ふ字を漢字私註部別一覽・龠部に蒐める。