示 - 漢字私註
説文解字
天垂象、見吉凶、所以示人也。从𠄞。三垂、日月星也。觀乎天文、以察時變。示、神事也。凡示之屬皆从示。神至切。
- 一・示部
古文示。
説文解字注
天𠂹象、見吉凶。見『周易・𣪠辭』。所㠯示人也。从𠄞。古文上。三𠂹、謂川。日月星也。觀乎天文㠯察時變。見『周易・賁・彖傳』。示、神事也。言天縣象箸明以示人。聖人因以神道設敎。凡示之屬皆从示。神至切。古音第十五部。『〔禮記〕中庸』『〔詩〕小雅』以示爲寘。
古文示。所謂古文諸丄字皆从一也。
康煕字典
- 部・劃數
- 部首
- 古文
- 𥘅
『廣韻』巨支切『集韻』翹移切『正韻』渠宜切、𠀤音岐。同祇。『周禮・春官』大宗伯掌天神人鬼地示之禮。『釋文』示或作祇。
又姓。『史記・晉世家』示眯明。『左傳』作提彌明。
又地名。『前漢・地理志』越嶲郡有蘇示縣。
又『唐韻』『集韻』『韻會』𠀤神至切、音侍。垂示也。『說文』天垂象、見吉凶、所以示人也。从二、三垂、日月星也。觀乎天文、以察時變。示神事也。『徐曰』二、古上字。左畫爲日、右爲月、中爲星。畫縱者取其光下垂也。示、神事也。故凡宗廟社神祇皆从示。『玉篇』示者、語也。以事告人曰示也。『易・繫辭』夫乾確然示人易矣、夫坤隤然示人𥳑矣。『禮・檀弓』國奢則示之以儉、國儉則示之以禮。『書・武成』示天下弗服。
又與視通。『詩・小雅』視民不恌。《箋》以目視物、以物示人、同作視字。『禮・曲禮』幼子常視毋誑。《疏》示視古字通。『前漢・高帝紀』視項羽無東意。《師古註》漢書多以視爲示。
又姓。明宣德中賢良示容。
- 部・劃數
- 示部(零劃)
『集韻』示古作𥘅。註詳部首。
集韻
別條に揭出する。
- 四聲・韻・小韻
- 去聲上・至第六・示
- 反切
- 神至切
神至切。
『說文』天垂象、見吉凶、所以示人也。从𠄞、古文上字、三垂、日月星也。觀乎天文、以察時變。示、神事也。
古作𥘅。
文十一。
音訓
- 音
- (1) ジ(呉) シ(漢) 〈『廣韻・去聲・至・示』神至切〉[shì]{si6}
- (2) ギ(呉) キ(漢) 〈『廣韻・上平聲・支・祇』巨支切〉[qí]{kei4}
- 訓
- (1) しめす。しめし。みる。
- (2) くにつかみ
解字
白川
象形。神を祀る祭卓の形を象る。卜文の字形は祭卓の象。卜文にはこの上に鳥牲を置く形があり、金文の祭は、この上に肉を置く形。
卜文に殷の祖神を五示、十示のやうに呼び、神靈の意とする。
示の大なるものは下に締脚を加へて帝といふ。また祭卓を廟中に置く形は宗。
示は寘と通用し、寘は顚死者(行き倒れ)を葬ること。
また音を以て視と通用する。
藤堂
象形。神靈の降下してくる祭壇を描いたもの。そこに神々の心が示されるので、しめすの意となつた。
落合
神を祀る机の象形。供物を載せた形もある。異體字に加へられた小點は、祭祀で注がれた酒とも、祭肉から滴る血液とも言はれる。字源は嚴密には、坐つた人が示を手に持つ形の[⿰示丮]から、手に持つて揭げられるやうな小さな机であると推定される。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 祖先神を表す。祭祀用具からの引伸義か。先王の呼び名に示壬、示癸がある。また先王の分類として大示や元示などがある。
- 《殷墟花園莊東地甲骨》228
戊子卜、吉牛于示。
- 《懷特氏等所藏甲骨文集》898
貞、三元示五牛、它示三牛。
- 《殷墟花園莊東地甲骨》228
- 祖先神を數へる助數詞。《屯南》275
甲寅卜、其求于四示。
- 貢納すること。占卜に用ゐる龜甲や牛骨について記されることが多い。《合集補編》1247・貢納記錄
己酉、巖示十屯。
- 祭祀名。《殷墟甲骨輯佚》572
己卯卜、其示于中己、叀牛。
- 地名またはその長。《懷特氏等所藏甲骨文集》1644
癸亥、示先羌、入。
- 示𬛶
- 地名。地方領主の支配地として一例のみ見える。《合集》6057
自西微友角告曰、𢀛方出、侵我示𬛶七十人五。
甲骨文の要素としては、祭祀儀禮に関聯して使はれることが多いが、揭げて用ゐることから上昇の象徵としても使はれ、例へば昜(補註: 甲骨文は⿱日示に作る)は太陽が昇ることを表してゐる。
漢字多功能字庫
示字の形を釋する説は甚だ多いが、定論はない。
- 一説に杆(さを)を設けて天を祭り、神祇の象徵とするといふ(丁山)。
- 一説に神主(位牌)の形を象るといふ。徐中舒は「木表や石柱を神主と爲すを象る」とする。示字の下の點は祭祀拜禱のときに酒を灌ぐさまを象るといふ(姚孝遂)。點のない示と主はもと同字で、後に分化し、甲骨文は神主を表し、また祭名に用ゐる。
金文では人名、族氏名に用ゐる。
簡帛文獻では示は多く視と書かれ、顯示を表す。《馬王堆・老子甲本》邦利器不可以視人
を、《老子乙本》は邦利器不可以示人
につくる。視と示は古韻が同じで、『漢書』もまた多く視を以て示となし、古く字は通用する。
屬性
- 示
- U+793A
- JIS: 1-28-8
- 當用漢字・常用漢字
- 𥘅
- U+25605
関聯字
示に從ふ字を漢字私註部別一覽・示部に蒐める。