立 - 漢字私註
説文解字
住也。从大立一之上。臣鉉等曰「大、人也。一、地也。会意。」凡立之屬皆从立。力入切。
- 十・立部
説文解字注
侸也。侸各本作住。今正。《人部》曰、侸者、立也。與此爲互訓。淺人易爲住字。亦許書之所無。从在一之上。在各本作立。今正。鉉曰、大、人也、一、地也、會意。力入切。七部。凡立之屬皆从立。
康煕字典
- 部・劃數
- 部首
『廣韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤力入切、音力。『說文』立、住也。『釋名』立、林也。如林木森然、各駐其所也。『廣韻』立、行立。『禮・曲禮』立必正方。
又成也。『禮・冠義』而後禮義立。
又堅也。『易・大過』君子以獨立不懼。『論語』三十而立。
又樹立也。『易・說卦傳』立天之道、曰隂與陽。立地之道、曰柔與剛。立人之道曰仁與義。『書・伊訓』立愛惟親、立敬惟長。『左傳・襄二十四年』穆叔曰、太上立德、其次立功、其次立言。
又置也、建也。『書・牧誓』立爾矛。『周禮・天官』建其牧、立其監。『左傳・桓二年』師服曰:天子建國、諸侯立家。
又存立也。『論語』己欲立而立人。
又速意也。『史記・平原君傳』錐之處囊中、其末立見。
又直起也。『前漢・五行志』上林苑中、大柳樹斷仆地、一朝起立。又『杜甫・朝獻太淸宮賦』四海之水皆立。『張翥詩』蝃蝀下飮湖水立。又『趙孟頫詩』驥聞秋風雙耳立。
又赤立。『宋史・喬行𥳑傳』百姓多垂罄之寶、州縣多赤立之帑。
又闕立。『張衡・週天大象賦』闕立擬乎兩觀、水府司乎百川。
又立政、尚書篇名、周公作。
又車名。『後漢・輿服志』有立車。
又與粒通。『詩・周頌』立我烝民。《箋》立、當作粒。
又姓。漢有賢人立如子、唐有長興令立述。
又于貴切。同位。『石經春秋』公卽位、作公卽立。『周禮・春官』小宗伯掌神位。《註》故書位作立。鄭司農云、古者立位同字。
- 部・劃數
- 大部(一劃)
『說文』立本字。一在大下曰立。
音訓
- 音
- リツ(慣)
- リフ(漢・呉) 〈『廣韻・入聲・緝・立』力入切〉[lì]{lap6/laap6}
- 訓
- たつ。たてる。おく。おこす。おこる。たちどころに。
解字
白川
大と一の會意。大は人の立つ正面形。一はその立つところの位置を示す。
『説文解字』に住まるなり。大に從ひ、一の上に立つなり。
とあり、一定の位置に定立することをいふ。
金文に「中廷に立つ」、また「立(位)に卽く」のやうに、字を兩義に用ゐる。『周禮・春官・小宗伯』掌建國之神位
(建國の神位を掌る)の《注》に位を故書に立に作る
とあり、また『春官・肆師』用牲于社宗、則為位。
(牲を社(宗)に用ゐ、則ち位を爲す。)の《注》に故書に、位を涖字と爲す
と見え、立、位、涖は一系の字で通用することがあつた。位に涖むといふことから、立法、立制など、すべてものの端緒をなし、創建し、秩序を定め、基調を確立するなどの意に用ゐる。
藤堂
大と一線(地面)の會意で、人が兩足を地につけて立つたさまを示す。兩手兩足を揃へて安定する意を含む。
落合
指示。大の下に地面を表す指示記號の橫線を加へ、手足を擴げた人が地上に立つてゐる姿を表してゐる。
甲骨文での用義は次のとほり。
- たつ。位置する。《合集》27818
王立于上。
- たてる。軍旗などを立てること。《合集》28207
勿其立旗。
- 出立する。派遣する。立使は使者を立てること。《合集》5512
貞、勿立使于南。
- 祖先神を數へる助數詞。示と同じ用法だが用例は僅少。《合集》32786
丁巳卜、侑于十立伊又九。
- 祭祀名。《屯南》4362
己卯卜、于南單立嶽、雨。
- 人名。第一期(武丁代)。羌立とするものがあり、服從した羌の一人であらう。《合集》6385・貢納記錄
己丑、羌立示四屯。嶽。
位は同源字で、古文で分化した。語として同源か否かは説が分かれる。
漢字多功能字庫
立はもと𡗓につくり、大と一に從ふ。一は地。人が腕を開き地上に立つさまに象る。本義は立つこと。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 眞つ直ぐ立てること。立中とは旗を立てることで、用ゐて衆を聚め、あるいは風向きを測る。
- 讀んで蒞(のぞむ)となす。立事とは事に臨むこと。
- 人名、祭名に用ゐる。
金文での用義は次のとほり。
- 立つこと。善夫山鼎
入門、立中廷
。 - 讀んで位となし、立つ處、地位などを表す。
- 弭伯簋
即立(位)
。 - 中山王方壺
臣主易立(位)
。
- 弭伯簋
- 讀んで蒞となし、立事とは、事に臨むこと、事務をつかさどること。
戰國竹簡では通讀して位となす。《上博一・孔子詩論》必敬丌(其)立(位)
。
屬性
- 立
- U+7ACB
- JIS: 1-46-9
- 當用漢字・常用漢字
- 𡗓
- U+215D3
関聯字
立に從ふ字を漢字私註部別一覽・大部・立枝に蒐める。