雲 - 漢字私註
説文解字
説文解字注
山川气也。天降時雨。山川出雲。
从雨。云象回轉之形。回上各本有雲字。今刪。古文衹作云。小篆加雨於上。遂爲半體會意、半體象形之字矣。云象回轉形、此釋下古文雲爲象形也。王分切。十三部。
凡雲之屬皆从雲。
古文省雨。古文上無雨。非省也。二葢上字。象自下回轉而上也。『〔詩・小雅〕正月』昏姻孔云。《傳》曰、云、旋也。此其引伸之義也。古多叚云爲曰。如詩云卽詩曰是也。亦叚員爲云。如『〔詩・商頌・玄鳥〕』景員維河《箋》云員古文作云、昏姻孔云本又作員、『〔詩・鄭風・出其東門〕』𦕼樂我員、本亦作云、『尙書』云來衞包以前作員來、小篆妘字籒文作𪔈是。云員古通用。皆叚借風雲字耳。自小篆別爲雲而二形迥判矣。
亦古文雲。此冣初古文。象回轉之形者。其字引而上行。書之所謂觸石而出、膚寸而合也。變之則爲云。
康煕字典
- 部・劃數
- 雨部・四劃
『唐韻』『集韻』王分切『韻會』『正韻』于分切、𠀤音云。〔音1〕『說文』山川气也。从雨云、象雲回轉形。『廣韻』【河圖】曰、雲者、天地之本。『元命包』隂陽聚爲雲。『易・乾卦』雲行雨施。
又『詩・大雅』倬彼雲漢。《傳》雲漢、天河也。
又『爾雅・釋親』仍孫之子爲雲孫。《註》言輕遠如浮雲。
又『周禮・春官・大司樂』舞雲門大卷。《註》周所存六代之樂、黃帝曰雲門大卷。
又『史記・黃帝紀』官名、皆以雲命爲雲師。
又澤名。『書・禹貢』雲土夢作。又『左傳・定四年』楚子涉睢濟江、入于雲中。『爾雅・釋地』楚有雲夢。《疏》此澤跨江南北、亦得單稱雲、單稱夢。『司馬相如・子虛賦』雲夢者、方九百里。
又『拾遺記』蓬萊山、亦名雲來。
又郡縣名。『前漢・地理志』琅邪郡雲縣。又雲中郡。
又姓。『正字通』縉雲氏之後。唐雲洪嗣。明雲衢、雲岫。
又叶于員切。『𨻰琳・馬瑙勒賦』初傷勿用、俟慶雲兮。君子窮達、亦時然兮。
『說文』通作云。
異體字
『集韻』所載。
音訓義
- 音
- ウン(漢)(呉)｟一｠
- 訓
- くも｟一｠
- 官話
- yún｟一｠
- 粤語
- wan4｟一｠
｟一｠
- 反切
- 『廣韻・上平聲・文・雲』王分切
- 『集韻・平聲二・文第二十・雲』王分切
- 『五音集韻・中平聲卷第三・文第三・喻・三雲』王分切
- 聲母
- 云(喉音・次濁)
- 開合
- 合
- 等呼
- 三
- 推定中古音
- ɦʏə̆n
- 官話
- yún
- 粤語
- wan4
- 日本語音
- ウン(漢)(呉)
- 訓
- くも
- 義
- 空氣中の水分が細かい粒となつて空に浮かんでゐるもの。
- 雲のやうなもの。
- 釋
- 『廣韻』
雲: 『說文』云「山川气也。从雨、云象雲回轉形。」『河圖』曰「雲者天地之本」。『傅子』曰「以雲母飾車謂之雲母車、臣不得乗之。」又姓、縉雲氏之後。又『後魏書』「宥連氏、後改爲雲氏。」王分切。二十二。
- 『集韻』
雲
: 王分切。『說文』山川氣也从雨雲像雲回轉形。古作、通作云。文三十六。 - 『康煕字典』上揭。
解字
白川
形聲。聲符は云。云は雲の初文。雲氣の下に龍尾の見える形。
『說文』に山川の气なり
といふ。
藤堂
雨と音符云の會意兼形聲。云は、立ち上る湯氣が一印につかへて、もやもやと籠もつたさまを描いた象形字。雲は、もやもやと立ち籠めた水蒸氣。
落合
初文は云。甲骨文は云に作る。橫線は天空を表し、曲線は雲が卷いてゐる樣子を表してゐる。
甲骨文での用義は次のとほり。
- くも。《合補》3992
癸卯…古貞、茲雲其雨。
- 雲の神格。集合體として五雲、六雲とする例もある。《合補》10639
癸酉卜、侑、燎于六雲五豕、卯五羊。
- 地名。《合補》11236・末尾記時
癸酉卜在雲奠河邑泳貞、王旬亡禍。惟來征人方。
- 帝雲
- 祭祀對象。
- 三嗇雲⿱目矢
- 天候用語。詳細は不明。
後に云を「いふ」の意に使ふやうになつたため、古文で降雨に關する意符として雨を加へ、雲の字體となつた。
漢字多功能字庫
古文は云。『說文』山川气也。(後略)
季旭昇
釋義
山川の气なり。『毛詩・小雅・白華』英英(白貌)白雲、露(濡濕)彼菅茅。天步艱難、之子不猶(圖謀)。
後に假借して言語の云となり、雨を加へて雲を作り初義を保存する。
釋形
甲骨文を于省吾は雲の初文と釋す(『騈三』pp.1-3)。李孝定は、『說文』古文の云と同じ字で、上部(二の形)は雲氣の厚く重なる形に象り、下部(渦卷形)は雲氣の下に垂れる形に象る、とする(『甲骨文字集釋』p.3463)。孫海波は上(𠄞)に從ふとする(『甲骨文編』p.456)。以上の説を綜合すると、上部は𠄞(上)、下部は雲氣に象る。甲骨文の旬字もまた雲氣の象を借りたもので、一橫を加へたものが旬となり、上(𠄞、二橫)を加へたものが云(雲)となつた。
その後、云をまた言語の云に假借し、雨を加へて雲字を作り初義を保存する。『說文』は云を雲の省文とするが、順番が逆さである。
屬性
- 雲
- U+96F2
- JIS: 1-17-32
- 當用漢字・常用漢字
関聯字
- 云
- 初文。
- 云を雲の簡体字として用ゐる。