忽 - 漢字私註

説文解字

忽
忘也。从聲。
心部

康煕字典

部・劃數
心部四劃

『唐韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤呼骨切、音笏。『說文』忘也。忽忽不省事也。『晏子春秋・齊役者歌』忽忽矣、若之何。

又『廣韻』倏忽也。『爾雅・釋詁』盡也。《註》忽然盡貌。『左傳・文五年』臯陶庭堅、不祀忽諸。

又滅也。『詩・大雅』是絕是忽。《傳》忽、滅也。

又『集韻』輕也。一蠶爲一忽、十忽爲一絲。『劉德曰』忽、蜘蛛網也。

又慢忽也。『後漢・崔駰傳』公愛班固而忽崔駰。

又忽荒、空無著也。『賈誼・服賦』寥廓忽荒兮、與道翱翔。

又姓。明有忽忠、忽明。

又通作。『前漢・揚雄傳』時人皆曶之。《註》與忽同。又仲忽、人名。『前漢・古今人表』作中曶。

亦通作笏。『儀禮・士喪禮』竹笏。《註》今文笏作忽。

亦通作芴。『荀子・正名篇』芴然而粗。《註》與忽同。無根本貌。

又叶火一切、音翕。『前漢・班固敘傳』元元本、木數始於一、產氣黃鍾、造計杪忽。

又叶許月切、音血。『陸機・雲賦』盈八紘以餘憤、雖彌天其未泄。豈假期于遷晷、邁崇朝而倏忽。

『說文』从心勿聲。『長箋』亦書作𢗘。

○按今字、皆从小篆出、止可依『說文』疏解、如忽字、借義通義甚多、而精蕰正譌必援古文大篆、以折今文、則衆義皆可廢矣。說今文之字、惟从今文、駁正經史借用處、則字義已明、不必過爲迂論臆斷也。凡諸部字、不多引精蕰正譌辨駁者、俱倣此。

音訓

コツ(漢) コチ(呉) 〈『廣韻・入聲・没・忽』呼骨切〉
たちまち。ゆるがせにする(輕忽)。わすれる。あなどる。つきる。ほろぶ。

解字

白川

形聲。聲符は。勿に、笏の聲がある。

説文解字に忘るるなりとあり、『漢書・揚雄傳贊』に於時人皆曶之(時に人皆之れをゆるがせにす)のやうに、字を曶とし、曶略の意に用ゐる。曶は祝禱の器であるを濫りに啓く意の字で、忽略の意は、その曶開の意と関聯がある。

「たちまち」と訓ずる倏、溘、乍、奄は、みな狀態をいふ形況の語で、忽もその意が原義。その狀を恍惚といふ。

藤堂

と音符の會意兼形聲。勿は、吹き流しがゆらゆらして、はつきりと見えないさまを描いた象形字。忽は、心がそこに存在せず、はつきりしないまま見過ごしてゐること。

漢字多功能字庫

忽字は晩出で、金文と小篆の形は同じく、形聲字に屬し、僅かに戰國晚期の中山王□鼎吾老賙奔走不聽命、寡懼其忽然不可得、憚憚忄業忄業、恐隕社稷之光。に見える。銘文の「忽然」は「死亡」を指す。『後漢書・趙壹傳』乃今方遇而忽然李賢注謂死也(朱德熙、裘錫圭)。

このほか、先秦經籍にある「忽然」は多く倏忽(急速に、突然の意)、短暫(時間が短い意)の意を有する。『莊子・知北遊』人生天地之閒、若白駒之過郤、忽然而已

屬性

U+5FFD
JIS: 1-25-90
人名用漢字

関聯字

忽聲の字