芻 - 漢字私註
説文解字
刈艸也。象包束艸之形。
- 一・艸部
康煕字典
- 部・劃數
- 艸部・四劃
『唐韻』側愚切『正韻』楚徂切、𠀤音初。『說文』刈草也。『詩・大雅』詢于芻蕘。《疏》芻者飼牛馬之草。『孟子』猶芻豢之悅我口。『趙註』草食曰芻。『韻會』羊曰芻、犬曰豢、皆以所食得名。
又『禮・祭統』士執芻。《註》藁也。『詩・小雅』生芻一束。《箋》苽草刈取以用曰芻、故曰生芻。
又草名。『小雅』終朝采綠。《箋》綠、王芻也。
又梵語謂僧曰苾芻。
又芻尼。『許彥周詩話』嘗作七夕詩、押潘尼字、難于屬和、後讀『藏經』、有呼喜鵲爲芻尼。
又姓。見『何氏姓苑』。
又『集韻』葘尤切、音鄒。『韓愈・駑驥詩』力小若易制、價微良易酬。渴飮一斗水、饑食一束芻。
- 部・劃數
- 艸部八劃
『篇海』楚俱切。『集韻』芻俗作𦱪。
- 部・劃數
- 艸部十劃
『六書正譌』芻俗作蒭。
異體字
或體。
簡体字。
音訓
- 音
- スウ(慣)
- ス(漢) 〈『廣韻・上平聲・虞・芻』測隅切〉
- 訓
- まぐさ。くさかり。わら。まこも。
解字
白川
象形。卜文の字形は、又中に兩屮を挾む形。兩手にまぐさを持ち、まぐさかふことを示す。
説文解字に刈りたる艸なり。草を包束するの形に象る。
とするが、草を手中に持つ形。
『詩・小雅・白駒』に生芻一束
とあり、これを神に薦めた。
束茅の類で人の形を作るものを芻靈といふ。『禮記・檀弓下』塗車芻靈、自古有之、明器之道也。
(塗車芻靈、古より之れ有り、明器の道なり。)と見え、お祓ひの形代とした。
芻蕘とは、采草、采薪の人をいふ。
字はまた蒭に作る。
藤堂
會意。屮は草、勹は包んで縛ることを示す。芻は、二[⿹勹屮]で、ぐつと縮め束ねた草を表す。
落合
會意。甲骨文は草の象形の屮や木と、手の象形の又から成り、手で植物を採集する形。甲骨文では植物の採集だけでなく、動物や人の捕獲の意にも用ゐられてゐる。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 植物を採集すること。狩獵や戰爭で動物や人を捕獲する場合も含まれるかも知れない。
- 《合集》108
…取竹、芻于丘。
- 《合集》152
貞、朕芻于鬪。
- 《合集》108
- 採集または捕獲したもの。《合集》94・驗辭
旬又二日乙卯、允有來、自光以羌芻五十。
- 牧場。《合集》148
呼牧于朕芻。
- 祭祀名。《合集》11407
貞、芻于雲。
- 祖先神が王に與へるもの。厄災か祐助かは不明。《合集》222
貞、父乙芻于王。
- 生芻(雛)鳥
- 生まれたばかりの鳥であらう。この場合には繁文は雛。
字形は古文〜篆文で又が變形して二勹となつた。
漢字多功能字庫
甲骨文、金文は手と艸に從ふ。甲骨文は或は二木に從ふ。手を用ゐて草を採る形と解ける。羅振玉從手持斷草是芻也。
本義は草を採ること、刈ること。後に飼育する牛馬のまぐさを芻と呼ぶ。
趙誠則は手を以て草を折り斷つの形に象るとする。
甲骨文では牲畜に與へる草を表し、また草を食べる牲畜を表す。
金文では地名に用ゐ、また牲畜のまぐさを表す。公芻權公芻半石
。
屬性
- 芻
- U+82BB
- JIS: 1-71-77
- 𦱪
- U+26C6A
- 蒭
- U+84AD
- JIS: 1-72-58
- 𦷝
- U+26DDD
- 刍
- U+520D
関聯字
芻に從ふ字を漢字私註部別一覽・屮部・芻枝に蒐める。