夭 - 漢字私註
説文解字
屈也。从大、象形。凡夭之屬皆从夭。
- 十・夭部
康煕字典
- 部・劃數
- 大部(一劃)
『廣韻』於嬌切『集韻』『韻會』於喬切『正韻』伊堯切、𠀤音妖。色愉貌。『論語』夭夭如也。
又草盛貌。『書・禹貢』厥草惟夭。
又少好貌。『詩・周南』桃之夭夭。
又災也。『詩・小雅』天夭是椓。
又閎夭、人名。文王四友之一、武十亂之一。
又栢夭、馬名、見『列子』。
又『廣韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤烏皓切、音襖。未壯也。『禮・月令』孟春毋殺胎夭。『王制』不殺胎、不殀夭。《註》未生者曰胎、方生者曰夭。
又『廣韻』『集韻』『韻會』於兆切『正韻』伊鳥切。𠀤同𣧕。『說文』屈也。《徐曰》夭矯其頭頸也。一曰短折也。『博雅』不盡天年謂之夭。
又『集韻』烏酷切、音沃。『山海經』軒轅國有諸夭之野。
又苦緺切、音歪。『白樂天詩』錢塘蘇小小、人道最夭斜。『自註』夭音歪、收入九佳。
又叶於糾切、音黝。『韓愈・韋夫人墓銘』歸逢其良、夫夫婦婦。獨不與年、而卒以夭。婦音阜。『歐陽修・蔡君山墓銘』退之有言、死孰爲夭。子墓予銘、其傳不朽。
別作芺叐关。
- 部・劃數
- 歹部四劃
『字彙補』夭本字。詳大部夭字註。
音訓義
⦅一⦆
- 反切
- 『廣韻・下平聲・宵・妖』於喬切
- 官話
- yāo
- 粤語
- jiu1
- 日本語音
- エウ(漢、呉)
- 訓
- わかい
⦅二⦆
- 反切
- 『廣韻・上聲・小・夭』於兆切
- 官話
- yāo
- yǎo
- 粤語
- jiu2
- 日本語音
- エウ(漢、呉)
- 訓
- わかじにする: 夭折
⦅三⦆
- 反切
- 『廣韻・上聲・晧・襖』烏晧切
- 官話
- ǎo
- 粤語
- ou2
- 日本語音
- アウ(漢、呉)
- 義
- 生じたばかりの動植物を指す。
- 物の生じて未だ壯んならざるさまをいふ。
解字
白川
象形。人が頭を傾け、身をくねらせて舞ふ形に象る。夭屈の姿勢をいふ。
『説文解字』に屈するなり。大に從ふ。象形。
とし、《繫傳》に其の頭頸を夭嬌するなり
といふ。
若い巫女が手を擧げ、髮を亂して舞ふ形は芺で、笑の初文。その前に祝詞の器を置く形は若、故に夭若の意がある。その祝詞を捧げて舞ふ形は吳、神を娯しませることをいふ。芺、吳には笑ひ娯しむ意がある。もと神を娯しませる意であつた。
また早折を夭といひ、災ひを殀といふ。その鬱屈の象をとるものであらう。
藤堂
象形。人間のしなやかな姿を描いたもの。
落合
甲骨文は、人が腕を振つて走る樣子を表した象形字。走の初文。
東周〜秦代に首を曲げた形になり、更に字義も轉じて「わかい」や「わかじに」の意味に當てて用ゐられたため、多くの誤解を生じた。
漢字多功能字庫
長沙子彈庫《楚帛書》の字の上は鏃の形に從ひ、下は人の走り回る形に從ひ、構形初義不明。夭亡の義に用ゐる。《楚帛書》乙2卉木亡(無)尚(常)是謂夭
は、花木の久しからざるを夭亡といふ、の意。
古くは走の初文を誤つて夭と釋し、これは走の初文と夭の形が近く混同したためで、古文字の走、奔は夭には從はない。
按ずるに『説文解字』の小篆の字形は必ずしも正確ではなく、夨字と混同してゐる可能性があり、屈也
の釋は本義ではない。
屬性
- 夭
- U+592D
- JIS: 1-52-80
- 𣧕
- U+239D5
関聯字
夭に從ふ字を漢字私註部別一覽・大部・夭枝に蒐める。