用 - 漢字私註
説文解字
- 用あるいは𤰃に作る。
可施行也。从卜从中。衞宏說。凡用之屬皆从用。
- 三・用部
古文用。
康煕字典
- 部・劃數
- 部首
- 古文
- 𤰆
- 𠛁
『唐韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤余頌切、容去聲。『說文』可施行也。『易・乾卦』初九、潛龍勿用。《疏》唯宜潛藏、勿可施用。『書・臯陶謨』天討有罪、五𠛬五用哉。
又『廣韻』使也。『左傳・襄二十六年』惟楚有材、晉實用之。『杜甫詩』古來才大難爲用。
又功用。『易・繫辭』顯諸仁、藏諸用。《疏》謂潛藏功用、不使物知、是藏諸用也。『論語』禮之用、和爲貴。
又貨也。『書・大禹謨』正德利用厚生。《疏》謂在上節儉、不爲糜費、以利而用、使財物殷阜。『禮・王制』冢宰制國用、必於歲之杪、五穀皆入、然後制國用。
又以也。『詩・小雅』謀夫孔多、是用不集。『古樂府』何用識夫壻、白馬從驪駒。
又庸也。『論語』則四方之民、襁負其子而至矣、焉用稼。
又『增韻』器用也。『書・微子』今殷民乃攘竊神祇之犧牷牲用以容。《傳》器實曰用。『左傳・襄二十五年』我先王賴其利器用也。
又『廣韻』通也。
又姓。漢有用蚪、爲高唐令。
又『韻補』叶餘封切、音容。『詩・小雅』謀臧不從、不臧覆用。『陸賈新語』大化絕而不通、道德施而不用。『又』立則爲太山衆本之宗、仆則爲萬世之用。
又『六書正譌』周伯琦曰、用、古鏞字、鐘也。古㱁識、商鐘寅簋鐘字皆作用、後人借爲施用字。
- 部・劃數
- 用部三劃
『玉篇』古文用字。註詳部首。
- 部・劃數
- 刀部四劃
『字彙補』古文用字。註見部首。
異體字
或體。
音訓
- 音
- ヨウ(漢) 〈『廣韻・去聲・用・用』余頌切〉[yòng]{jung6}
- 訓
- もちゐる。はたらき(作用)。つひえ(費用)。もつて。
解字
白川
象形。木を組んで作つた柵の形に象る。
『説文解字』に施行すべきなり。卜に從ひ、中に從ふ。
といふ。字を卜と中に分解し、卜して中るとき、それは施すべきものであるとするが、卜文、金文の字形は、木を編んだ木柵の形。中に犧牲を置くので、犧牲にすることを「用ふ」といふ。
『春秋經・僖十九年』邾人執鄫子用之
(邾人、鄫子を執へて之を用ふ)とは、その鼻を撲つて血を取り、牲血として用ゐる意で、古い用義法。卜兆の辭に「茲れを用ひよ」とあるのも、古くは用牲の意であらうが、のち施行の意となつたものと思はれる。
金文の《曾姬無卹壺》に後嗣之を甬ひよ
、また『左傳・隱元年』無庸
(庸ふること無かれ)のやうに庸、甬を用ゐ、みな通用の義。木柵の用に上から土を塗り込んだものが庸、用に持つ所をつけたのが甬で桶の初文。
藤堂
長方形の板と棒の會意。板に棒で穴を開け通すことで、貫き通す働きをいふ。轉じて通用の意となり、力や道具の働きを他の面にまで通し使ふこと。
落合
象形。字源について、柵の形、銿の形、桶の形など諸説あるが、甲骨文には用によつて土盛りを作る形の字があり、桶と考へるのが妥當であらう。
甲骨文での用義は次のとほり。すべて假借の用法。
- もちゐる。主に家畜や奴隸を祭祀犧牲に用ゐる意。《合補》5512
貞、用羌于祖乙、正。
- もちゐらる。用ゐられること。一種の驗辭で、命辭の内容が採用された(行はれた)ことを指す。茲用とするものが多い。用ゐられなかつた場合は茲不用や不用と記される。
- 行用
- 軍事行動に關する語。詳細不明。
甬は桶の把手を強調した同源字。桶は甬に意符として木を加へた繁文。
漢字多功能字庫
甲骨文は桶の形に象る。左邊は桶身に象り、右邊は把手に象る。字形は《合集》19762、21405を參照のこと。本義は桶。後に假借して施行、使用を表す(于省吾、楊樹達、裘錫圭)。用と同は一字の分化。
甲骨文では施行を表す。「用」「不用」は命辭の後に出現し、命辭の内容の施行の是非を表す。
- 《合集》1616
乙子(巳)卜、叀(惠)二牛且(祖)乙。用。
- 《花東》459
癸丑卜、叀(惠)二牢于且(祖)甲。不用。
金文での用義は次のとほり。
- 動詞に用ゐ、使用を表す。召仲鬲
其子子孫孫永寶用。
- 介詞に用ゐ、以に相當する。虢季子白盤
王睗(賜)乘馬、是用左(佐)王。
- 連詞に用ゐ、相承關係を表し、因而(それゆゑに)に相當する。守宮盤
守宮對揚周師釐、用乍(作)且(祖)乙[⻖尊](尊)。
- 因果關係を表し、因為(〜なので)に相當する。禹鼎
用天降大喪于二或(國)、亦唯噩侯馭方率南淮尸(夷)、東尸(夷)、廣伐南或(國)、東或(國)、至于歷內。
は、上天が災難を降下させたので、噩侯や馭方が周朝の南國や東國を攻め、歷內に至つた、と述べる。 - 「用事」の語があり、職務の執行を表す。善鼎
易(賜)女(汝)乃且(祖)旂、用事。
は、職務執行に用ゐる祖先の旗を給ふ賞賜を表す。
戰國秦簡では用を本義に用ゐる例がある。《睡虎地秦簡・秦律十八種》簡100縣及工室聽官為正衡石贏(纍)、斗用(桶)升、毋過歲壺〈壹〉。
用を讀みて桶となす。整理者注斗桶、見『呂氏春秋・仲春紀』及『史記・商君列傳』、秦漢時以十斗為桶、一說六斗為桶。
全句で、縣と工室は、關係する官府によつて、はかりの重り(分銅)、斗桶や升を校正し、少なくとも毎年一回校正すべきである、の意。
運用を表す。
- 『論語・學而』
禮之用、和為貴。
採用を表す。
- 『史記・秦始皇本紀』
韓非使秦、秦用李斯謀、留非、非死雲陽。
特に飲食を指す。
- 『韓非子・外儲說左下』
孔子御坐於魯哀公、哀公賜之桃與黍。哀公曰、請用。
任用を表す。
- 『左傳・僖公三十年』
吾不能早用子、今急而求子、是寡人之過也。
- 『孟子・梁惠王下』
國人皆曰賢、然後察之。見賢焉、然後用之。
效用、作用、用途を表す。
- 『莊子・逍遙遊』
今子有大樹、患其無用。
- 『韓非子・五蠹』
賞其功、必禁無用、故民盡死力以從其上。
また用具を表す。
- 『國語・周語上』
先王之於民也、懋正其德而厚其性、阜其財求而利其器用。
韋昭注用、耒耜之屬也。
財用、費用を表す。
- 『論語・顏淵』
年饑、用不足、如之何。
- 『墨子・辭過』
故節於身、誨於民、是以天下之民可得而治、財用可得而足。
統治、治理を表す。
- 『荀子・富國』
仁人之用國、將脩志意、正身行、伉隆高、致忠信、期文理。
- 『韓非子・內儲說上・七術』
我死後、子必用鄭、必以嚴莅人。
屬性
- 用
- U+7528
- JIS: 1-45-49
- 當用漢字・常用漢字
- 𤰆
- U+24C06
- 𠛁
- U+206C1
- 𤰃
- U+24C03
關聯字
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