夾 - 漢字私註
説文解字
持也。从大俠二人。
- 十・大部
説文解字注
持也。从大㚒二人。
康煕字典
- 部・劃數
- 大部四劃
『廣韻』『集韻』『正韻』古狎切『韻會』訖洽切、𠀤音甲。左右持也。『書・多方』爾曷不夾介乂我周王。『左傳・僖二十六年』夾輔成王。
又近也。『書・梓材』懷爲夾。《註》懷遠爲近也。
又兼也。『呂温狄仁傑頌』潛授五龍、夾日以飛。
又梵夾。『通鑑』唐懿宗於禁中設講、自唱經、手錄梵夾。
又鉗夾、巧言膠固也。『柳宗元・乞巧文』膠如鉗夾。
又『集韻』『韻會』吉協切『正韻』古協切、𠀤音頰。傍也、把也。夾弓、見『周禮・夏官註』。往體多、來體寡曰夾。
又劒夾。『陶弘景・刀劒錄』商孔甲採牛首山鐵、鑄一劒、銘曰夾。
又『集韻』檄頰切、音協。『說文』俜也。
又姓。『前漢・藝文志』有夾氏春秋。
又同狹。『後漢・東夷傳』東沃沮、其地東西夾、南北長。
『六書正譌』从二人、从𡗕省。二人對輔于肘𡗕之下、會夾意。
第八項『說文』俜也。
は、俠の訓。
異體字
簡体字。
音訓
- 音
- (1) ケフ(呉) カフ(漢) 〈『廣韻・入聲・洽・夾』古洽切〉
- (2) ケフ
- 訓
- (1) はさむ。さしはさむ。たすける。ちかい。
- (2) せまい
音義(2)は狹との通用による。
解字
白川
大と人と人の會意。人の正面形である大と、その兩脇にそれぞれ人を挾む形で、挾の初文。
『説文解字』に持するなり
とし二人を俠む
といふ。
『書・多方』爾曷不夾介乂我周王享天之命。
(爾曷ぞ夾介して我が周王を乂め、天の命を享けざる。)のやうに、輔弼の意に用ゐる。
藤堂
會意。小さな人が大きな人を兩脇から挾んださまを示す。
落合
會意。中央の人(正面形の大)を兩側の人が挾む形。人を一つにした異體もある。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 地名。第一期(武丁代)には殷に敵對して夾方と呼ばれてをり、第二期(祖庚祖甲代)には支配下の地名として見える。《合補》1760
…允有來[女壴]。自西插告曰、…頁、夾方相四邑。十三月。
- 動詞。目的語を記した例がなく、意義不明。夾は後代には「たすける」や「ちかづく」の字義があり、その意味とする説もある。《合集》4665
丁卯卜、角其夾。
後代には轉じて挾み持つことを意味する用法が出現してをり、手を加へた繁文が挾。
漢字多功能字庫
甲骨文、金文は、大と二人に從ふ。一説に一人が腋の下に二人を挾む形に象るといふ(『説文解字』、黃錫全)。一説に二人が相向かひて一人を挾む形に象るといふ(林義光、高鴻縉)。二説とも本義を挾み持つ意とする。轉じて扶持、輔佐を表す。後に手を加へて挾字をつくる。
甲骨文はあるいは省略して腋下に一人を挾む形に作る。
金文では輔佐を表す。
- 大盂鼎
迺詔夾死(尸)𤔲戎
。 - 禹鼎
克夾詔先王奠四方
。 - 《左傳・僖公二十六年》
昔周公、太公股肱周室、夾輔成王。
屬性
- 夾
- U+593E
- JIS: 1-52-83
- 夹
- U+5939
關聯字
夾聲の字
- 莢
- 唊
- 䩡
- 䀹
- 翜
- 梜
- 郟
- 㾜
- 俠
- 頰
- 𠩘
- 㤲
- 浹
- 挾
- 㛍
- 匧
- 綊
- 蛺
- 䵌
- 鋏
- 陜
- 狹