疆 - 漢字私註
説文解字
- 畺の重文。
畺或从彊、土。
- 十三・畕部
説文解字注
畺或从土彊聲。今則疆行而畺廢矣。惟『周禮』有畺。
康煕字典
- 部・劃數
- 田部十四劃
『唐韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤居良切、音薑。『說文』本作畺、界也。『易・坤卦』坤厚載物、德合无疆。『書・泰誓』我武惟揚、侵于之疆。『詩・小雅』萬壽無疆。《箋》疆、竟界也。『左傳・桓十七年』夏、及齊師戰於奚、疆事也。《註》爭疆界也。
又『詩・大雅』迺疆迺理。《朱註》疆謂畫其大界。『左傳・宣八年』楚伐舒蓼滅之、楚子疆之。《註》正其界也。
又官名。『周禮・夏官』掌疆。《疏》掌守疆界、亦是禁戒之事。
又『集韻』或作彊。『賈誼・新書』衞侯名辟彊。辟彊、天子之事也。諸侯弗得用、衞侯更名燬。
又或作壃。『史記・晉世家』出壃乃免。
又『正韻』蠶白也。
又『集韻』『正韻』𠀤巨兩切、强上聲。『周禮・地官・草人』疆㯺用蕡。《註》疆㯺、疆堅者。『釋文』疆、其兩反。
又『字彙補』北方謂土焦曰疆。見轉注古音。
- 部・劃數
- 田部十三劃
『集韻』『韻會』𠀤居良切、音姜。界也。
- 部・劃數
- 土部・十三劃
同疆。『史記・晉世家』出壃乃免。
音訓義
- 音
- キャウ(漢) カウ(呉)⦅一⦆
- キャウ(推)⦅二⦆
- キャウ(漢) カウ(呉)⦅三⦆
- 訓
- さかひ⦅一⦆
- かぎり⦅一⦆
- かぎる⦅一⦆
- 官話
- jiāng⦅一⦆
- jiàng⦅二⦆
- 粤語
- goeng1⦅一⦆
⦅一⦆
- 反切
- 『廣韻・下平聲・陽・薑』居良切
- 『集韻・平聲三・陽第十・𧅁』居良切〔集韻1〕
- 『五音集韻・下平聲卷第五・陽第一・見三・薑』居良切
- 聲母
- 見(牙音・全清)
- 等呼
- 三
- 官話
- jiāng
- 粤語
- goeng1
- 日本語音
- キャウ(漢)
- カウ(呉)
- 訓
- さかひ
- かぎり
- かぎる
⦅二⦆
- 反切
- 『集韻・上聲下・養第三十六・強』巨兩切
- 『五音集韻・上聲卷第九・養第一・羣三・勥』其兩切
- 聲母
- 羣(牙音・全濁)
- 等呼
- 三
- 日本語音
- キャウ(推)
- 義
- 『集韻』
堅土也。『周禮〔地官・草人〕』疆㯺用蕡。
⦅三⦆
- 韻
- 上聲養韻
- 官話
- jiàng
- 日本語音
- キャウ(漢)
- カウ(呉)
- 義
- こちこちにかたい。また、かたい土。
- 補註
- 當音義は專ら藤堂に據る。單に⦅二⦆の音を取り違へた可能性はあるが、不詳。
解字
白川
形聲。聲符は畺。畺は田界の象で、疆の初文。
『説文解字』に疆を畺の重文として錄し、畺は界なり
といふ。
金文には、「眉壽無彊」のやうに、彊の字形を疆の意に用ゐることが多く、また土(社)や𨸏(神梯の象)を加へることがある。
字が弓に從ふことについて、吳大澂は『儀禮・鄉射禮』侯道五十弓
の弓は六尺一步で、その單位で疆界を定めたのであらうといふ。
藤堂
土と音符彊の會意兼形聲。彊は弓と音符畺の會意兼形聲字で、かつちりとした弓を示す。疆は、土地にくつきりとかたく區切りをつけたことを示す。
落合
土を意符、強いことを意味する彊を聲符とする疆は古文で作られた。字義が類似してをり、畺の同源語であらう。
漢字多功能字庫
金文は土に從ひ彊聲。彊は弓と畺に從ひ、畺は二田の間に橫劃のある形で、田と田の間の疆界を表し、本義は田界、引伸して疆界を表す。
畕、畺、彊は疆の初文。畺、彊はまた疆の聲符。後に彊を借りて強弱の強となし、故に土を加へて疆字をつくり、疆界、疆土の義を表す。根據は『説文解字』で、疆は畺の異體。
金文での用義は次のとほり。
- 國境、境界を表す。中山王方壺
以請郾(燕)疆
の「燕疆」は燕の國境を表す。 - 界限、止境を表す。敬事天王鐘:「釁(彌)壽無疆」。天壽の限りないことを表す。
屬性
- 疆
- U+7586
- JIS: 1-65-37
- 疅
- U+7585
- JIS X 0212: 45-36
- 壃
- U+58C3
- JIS: 2-5-19