畺 - 漢字私註
説文解字
説文解字注
界也。『〔詩・豳風〕七月』萬壽無疆。《傳》曰、疆、竟也。《田部》曰、界、竟也。然則畺界義同。竟境正俗字。『〔詩・小雅〕信南山』我疆我理。《傳》曰、疆、畫經界也。理、分地理也。緜曰、乃疆乃理。江漢曰、于疆于理。其義皆同。經界出於人爲。地理必因地阞。二者必相因而至。不知地阞則水不行。
从畕。三其介畫也。介各本作界。今正。介、畫也。畫、介也。二字義同。居良切。十部。
畺或从土彊聲。今則疆行而畺廢矣。惟『周禮』有畺。
康煕字典
- 部・劃數
- 田部八劃
『唐韻』『集韻』『正韻』𠀤居良切、音𧅁。『說文』界也。从畕、三、其界畫也。『博雅』畺、竟也。『周禮・地官・載師』以大都之田任畺地。《註》畺五百里、王畿界也。『周語』畺有寓望。《註》畺、境也。
又『集韻』丘亮切、音唴。死不朽也。或从弓。
集韻
- 卷・韻・小韻
- 平聲三・陽第十・𧅁
- 反切
- 居良切
『說文』界也。從畕。三、其界畫也。
- 卷・韻・小韻
- 去聲下・漾第四十一・畺
- 反切
- 居亮切
居亮切。
死不朽也。
或从弓〔彊〕。
文二。
音訓義
- 音
- キャウ(漢) カウ(呉)⦅一⦆
- キャウ(推)⦅二⦆
- 訓
- さかひ⦅一⦆
- かぎり⦅一⦆
- 官話
- jiāng⦅一⦆
- jiàng⦅二⦆
- 粤語
- goeng1⦅一⦆
⦅一⦆
- 反切
- 『廣韻・下平聲・陽・薑』居良切
- 『集韻・平聲三・陽第十・𧅁』居良切〔集韻1〕
- 『五音集韻・下平聲卷第五・陽第一・見三・薑』居良切
- 聲母
- 見(牙音・全清)
- 等呼
- 三
- 官話
- jiāng
- 粤語
- goeng1
- 日本語音
- キャウ(漢)
- カウ(呉)
- 訓
- さかひ
- かぎり
- 義
- 田畑の境。また土地や國の境。また限度、限界。あるいは疆に作る。
⦅二⦆
- 反切
- 『集韻・去聲下・漾第四十一・畺』居亮切〔集韻2〕
- 『五音集韻・去聲卷第十二・漾第一・見・三彊』居亮切
- 聲母
- 見(牙音・全清)
- 等呼
- 三
- 官話
- jiàng
- 日本語音
- キャウ(推)
- 義
- 『集韻』
死不朽也。
『五音集韻』屍勁硬也。
あるいは彊に作る。
解字
白川
畺は田界の象で、疆の初文。
『説文解字』に疆を畺の重文として錄し、畺は界なり
といふ。
『説文解字』は畺を《畕部》に屬する。畕は比田なり
とあつて、田が連なること。畺はそれに田界を施した形。
藤堂
田二つと三本線の會意字で、くつきりと田畑を區切ること。
落合
畺は指示字。田と區切りを表す指示記號の橫線から成り、耕作地の境界を示す。
甲骨文での用義は不明。《合集》27879翌日…畺小臣…。
字形は金文で田、一を增し加へて畺の形になつた。楷書では、更に田を加へた疅や、土を加へた壃も作られてゐる。
土を意符、強いことを意味する彊を聲符とする疆は古文で作られ、字義が類似してをり、同源語であらう。
漢字多功能字庫
甲骨文は二田に從ふ。金文は甲骨文と同形、あるいは田の上下に橫劃を加へ、田と田の間の疆界を表す。畕、畺は疆の初文。本義は田界。引伸して疆界を表す。
【補註】漢字多功能字庫が畺の甲骨文として擧げる形を、落合は畕の甲骨文として擧げる。落合が畺とするのは⿳一田一の形。
甲骨文では地名に用ゐる。
金文では界限(けぢめ、境、限界、限度)、止境(とどまるところ)を表し、後世に疆に作る。
- 奚子宿車鼎
子孫永寶、萬年無畺。
- 田季加匜
萬年無畺、子子孫孫永寶用亯。
萬年限りなく、永く盡きるところなし、の意を表す。
屬性
- 畺
- U+757A
- JIS: 2-81-32
- JIS X 0212: 45-30
關聯字
畺聲の字
- 㹔
- 橿
- 僵
- 麠
- 䲔
- 彊
- 繮