彊 - 漢字私註
説文解字
説文解字注
弓有力也。引申爲凡有力之稱。又叚爲勥迫之勥。
从弓畺聲。巨良切。十部。
康煕字典
- 部・劃數
- 弓部・十三劃
『唐韻』巨良切『集韻』『韻會』『正韻』渠良切、𠀤音强。『說文』弓有力也。『史記・絳侯世家』材官引彊。《註》能引彊弓官、如今挽彊司馬也。
又『玉篇』堅也。『書・臯陶謨』彊而義。《傳》彊無所屈撓也。
又『廣韻』健也。『易・乾卦』君子以自彊不息。
又『集韻』勝也。『爾雅・釋詁』當也。《註》彊者、好與相當。『史記・商君傳』自勝之謂彊。
又『增韻』壯盛也。『書・洪範』身其康彊。
又力有餘也。『詩・周頌』侯彊侯以。《註》彊、彊力也。《箋》彊力有餘者。
又勢盛也。『左傳・昭五年』羊舌四族皆彊家也。『孟子』天下固畏齊之彊也。
又『爾雅・釋言』暴也。《註》彊梁凌暴。『書・洪範』彊弗友剛克。《傳》彊禦不順、以剛能治之。『詩・大雅』曾是彊禦。《傳》彊梁禦善也。《疏》彊梁者、任威使氣之貌。
又禺彊、彊良、神名。『山海經』北方禺彊。《註》水神也。『又』北極天櫃有神、名曰彊良。
又『廣韻』其兩切『集韻』『正韻』巨兩切、𠀤强上聲。『類篇』勉也。『孟子』彊爲善而已矣。『前漢・董仲舒傳』彊勉學問則聞見、博而知益明。彊勉行道、則德日起、而大有功。又抑之使然曰彊。『孟子』彊而後可。
又『正韻』牽彊、假合也。
又『類篇』其亮切、音弶。『史記・絳侯世家』勃爲人木彊敦厚。
又屈強。『史記・陸賈傳』廼欲以新集未造之越、屈彊於此。『前漢書』作屈強。○按彊與強、平上去三聲經史𠀤通用。互見強字註。
又『廣韻』『集韻』『韻會』𠀤居亮切、音殭。『廣韻』彊屍勁硬。
又『類篇』居良切、音薑。『詩・鄘風』鵲之彊彊。《箋》居有常匹、飛則相隨之貌。
又與疆通。『集韻』疆或作彊。『賈誼・審微篇』昔衞侯朝於天子、周行人問其名、曰辟彊。行人還之曰啓彊。辟彊、天子之號也、諸侯弗敢用。衞侯更名燬。
廣韻
- 卷・韻・小韻
- 下平聲・陽・強
- 反切
- 巨良切⦅一⦆
與強通用。『說文』曰、弓有力也。
- 卷・韻・小韻
- 上聲・養・勥
- 反切
- 其兩切⦅二⦆
『說文』云、弓有力也。或作強。
又姓。前秦録有將軍強求。
又其良切。
- 卷・韻・小韻
- 去聲・漾・彊
- 反切
- 居亮切⦅三⦆
屍勁硬也。居亮切。一。
集韻
- 卷・韻・小韻
- 平聲三・陽第十・彊
- 反切
- 渠良切⦅一⦆
渠良切。
『說文』弓有力也。
或作弜。
一曰勝也。
亦姓。
文十二。
- 卷・韻・小韻
- 上聲下・養第三十六・強
- 反切
- 巨兩切⦅二⦆
巨兩切。
勉也。
或从畺。
文十五。
音訓義
- 音
- キャウ(漢) ガウ(呉)⦅一⦆
- キャウ(漢) ガウ(呉)⦅二⦆
- キャウ(推)⦅三⦆
- キャウ(漢) カウ(呉)⦅四⦆
- 訓
- つよい⦅一⦆
- つとめる⦅二⦆
- しひる⦅二⦆
- 官話
- qiáng⦅一⦆
- qiǎng⦅二⦆
- jiàng⦅三⦆
- jiāng⦅四⦆
- 粤語
- koeng4⦅一⦆
- koeng5⦅二⦆
- goeng6⦅三⦆
- goeng1⦅四⦆
⦅一⦆
- 反切
- 『廣韻・下平聲・陽・強』巨良切〔廣韻1〕
- 『集韻・平聲三・陽第十・彊』渠良切〔集韻1〕
- 官話
- qiáng
- 粤語
- koeng4
- 日本語音
- キャウ(漢)
- ガウ(呉)
- 訓
- つよい
- 義
- 強壯、強盛、強弱の強と通用する。
⦅二⦆
- 反切
- 『廣韻・上聲・養・勥』其兩切〔廣韻2〕
- 『集韻・上聲下・養第三十六・強』巨兩切〔集韻2〕
- 『五音集韻・上聲卷第九・養第一・羣三・勥』其兩切
- 聲母
- 羣(牙音・全濁)
- 等呼
- 三
- 官話
- qiǎng
- 粤語
- koeng5
- 日本語音
- キャウ(漢)
- ガウ(呉)
- 訓
- つとめる
- しひる
- 義
- 強迫、勉強の強と通用する。
⦅三⦆
- 反切
- 『廣韻・去聲・漾・彊』居亮切〔廣韻3〕
- 『集韻・去聲下・漾・畺』居亮切〔集韻4〕
- 『五音集韻・去聲卷第十二・漾第一・見・三彊』居亮切
- 聲母
- 見(牙音・全清)
- 等呼
- 三
- 官話
- jiàng
- 粤語
- goeng6
- 日本語音
- キャウ(推)
- 義
- 硬く強ばるさま。また頑ななさま。倔強(強情)の強と通用する。
- 『廣韻』
屍勁硬也。
『集韻』死不朽也。
⦅四⦆
- 反切
- 『集韻・平聲三・陽第十・𧅁』居良切〔集韻1〕
- 官話
- jiāng
- 粤語
- goeng1
- 日本語音
- キャウ(漢)
- カウ(呉)
- 義
- 疆と通用する。
解字
白川
形聲。聲符は畺。
『説文解字』に弓に力有るなり
と強弓の意とする。虫部に強字があり、蚚なり
とするが、強は弓弦の形である弘に從ふ字であるから、強が強弓の本字。
彊はもと田界を示す字で、これを強の義に用ゐるのは假借。彊の金文の字形に、土(社)や𨸏(神梯の象)を加へる字がある。弓は「侯道五十弓」のやうに距離を測るのに用ゐた。今も五尺を以て一弓とする。金文には彊を疆の意に用ゐ、「眉壽無彊」のやうにいふ。彊、疆はもと一字であつた。
藤堂
弓と音符畺の會意兼形聲。畺は、田の間にくつきりと一線で境界をつけることを示し、かたく張つてけぢめの明らかな意を含む。彊は、もと弓がかたく張つたこと。轉じて廣く、丈夫でかたい意に用ゐる。
漢字多功能字庫
甲骨文、金文は、弓に從ひ畺亦聲。畺は二田に從ひ、あるいは二から三の橫劃を加へ、田と田の界の意と解し、田間の橫劃は田界を表し(季旭昇)、本義は田界。疆界の意を派生する。畺、彊は疆の初文。後に彊を借りて強弱の強となし、ゆゑに土を加へた疆字をつくり、疆界の義を表す。
彊が弓に從ふことについて、張世超らは、弓矢を以て疆域(國土)を守る意と解し、或が戈を以て城邑を守るさまに象るのと相似る、とする。吳大澂は、古人は弓を以て土地を測り、ゆゑに彊は弓に從ふ、とする。『儀禮・鄉射禮』侯道五十弓
賈公彥《疏》六尺為步、弓之下制六尺、與步相應。
後期金文ではあるいは弓を省いて畺に作る。
金文での用義は次のとほり。
- 田界を表す。五祀衛鼎
厥東彊眔散田、厥南彊眔散田
は、田の東邊と南邊のいづれもばらばらな地?の田と境を接することを表す。 - 界限(けぢめ、境、限界、限度)、止境(とどまるところ)を表し、典籍に疆に作る。梁其鐘
其萬年無彊
。『詩・豳風・七月』萬壽無疆。
- 疆土(領土)、國土を表す。大盂鼎
受民、受彊土
。
屬性
- 彊
- U+5F4A
- JIS: 1-22-16
關聯字
彊に從ふ字
- 疆
- 𠣃
彊聲の字
- 䕬
- 𧖑