生 - 漢字私註
説文解字
進也。象艸木生出土上。凡生之屬皆从生。所庚切。
- 六・生部
説文解字注
進也。象艸木生出土上。下象土、上象出。此與𡳿出𣎵以類相從。所庚切。十一部。凡生之屬皆从生。
康煕字典
- 部・劃數
- 部首
- 古文
- 𤯓
『唐韻』所庚切『集韻』『韻會』『正韻』師庚切、𠀤音甥。『說文』進也。『玉篇』起也。『莊子・外物篇』凡道不欲壅、壅則哽、哽而不止則跈、跈則衆害生。《註》生、起也。
又『玉篇』產也。『博雅』人十月而生。『穀梁傳・莊二年』獨隂不生、獨陽不生、獨天不生、三合然後生。
又出也。『易・觀卦』上九觀其生、君子無咎。《註》生、猶動出也。
又養也。『周禮・天官・大宰』五曰生以馭其福。《註》生、猶養也。賢臣之老者、王有以養之。『左傳・哀元年』越十年生聚、而十年敎訓。
又『韻會』死之對也。『孟子』生、亦我所欲也。『前漢・文帝紀』世咸嘉生而惡死。
又造也。『公羊傳・桓八年』遂者何、生事也。《註》生、猶造也。專事之詞。
又性也。『書・君𨻰』惟民生厚、因物有遷。《傳》言人自然之性敦厚、因所見所習之物、有遷變之道。
又『左傳・僖二十七年』於是乎出定襄王、入務利民、民懷生矣。《疏》懷生者、謂有懷之心。
又『詩・衞風』旣生旣育、比予于毒。《箋》生、謂財業也。『前漢・高帝紀』不事家人、生產作業。
又『周禮・冬官考工記・矢人』凡相笴、欲生而摶。《註》相猶擇也、生謂無瑕蠹也。摶謂圜也。
又不熟也。『史記・項羽紀』與一生彘肩。
又語辭。『李白・戲杜甫詩』借問別來太瘦生。『歐陽修詩』問向靑州作麼生。
又平生、疇昔也。『阮藉詩』平生少年時、趙李相經過。『杜甫詩』平生爲幽興、未惜馬蹄遙。
又『正字通』凡事所從來曰生。宋高宗朝、孫楙入覲、嘗論公生明。上問何以生公。曰、廉生公。問何以生廉。曰、儉生廉。上稱善。
又所生、祖父也。『詩・小雅』夙興夜寐、毋忝爾所生。《疏》當早起夜臥、行之無辱汝所生之父祖也。
又友生、朋友也。『詩・小雅』矧伊人矣、不求友生。
又先生、師之稱。諸生、弟子之稱。『韓愈・進學解』國子先生晨入太學招諸生。『史記・酈生傳』高祖謂酈食其、以萬戸封生。《註》師古曰、生猶言先生。文穎曰、諸生也。
又先生、父兄也。『論語』有酒食、先生饌。
又『儀禮・士冠禮』遂以摯見於鄕大夫鄕先生。《註》鄕先生、鄕中老人爲卿大夫致仕者。『史記・五帝紀』薦紳先生難言之。
又『詩・商頌』以保我後生。『朱註』我後生、謂後嗣子孫也。
又門生。『裴皡詩』三主禮闈年八十、門生門下見門生。
又蒼生、民也。『晉書・謝安傳』安石不出、其如蒼生何。『張協雜詩』冲氣扇九垠、蒼生衍四垂。
又『前漢・郊祀志』故神降之嘉生。《註》師古曰、嘉生謂衆瑞。
又『楚語』滯則不震、生乃不殖。《註》生、人物也。
又水名。『山海經』北二百二十里曰盂山。生水出焉、而東流注于河。《註》卽奢延水也。水西出奢延縣西南赤沙阜、東北流。
又姓。『正字通』漢生臨、明生甫申。又微生、浩生、俱複姓。
又與牲同。『前漢・昭帝紀』令破烏桓。斬虜獲生有功。《註》獲生口也。
又與狌同。『汲冢周書』郭都生生。
又『廣韻』『正韻』所敬切『集韻』『韻會』所慶切、𠀤音貹。產也。『字彙』俗謂雞生卵。
又『集韻』『韻會』𠀤所景切、音眚。育也。『論語註』四乳生八子。『陸德明・音義』生、所幸反。又如字。
又『正韻』息正切、音性。『周禮・地官・司徒』以土會之灋、辨五土之物生。《註》杜子春讀爲性。
又『韻補』叶師莊切、音商。『傅毅・舞賦』在山峨峨、在水湯湯、與志遷化、容不虛生。
又叶桑經切、音星。『詩・小雅』雖有兄弟、不如友生。叶寧平。『東方朔・七諫』觀天火之炎煬兮、聽大壑之波聲。引八維以自道兮、含沆瀣以長生。
又叶尸連切、音羶。『黃庭經』內養三神可長生、魂欲上天魄入淵、還魂反魄道自然。
- 部・劃數
- 生部(零劃)
『玉篇』古文生字。註詳上。
廣韻
- 四聲・韻・小韻
- 下平聲・庚・生
- 反切
- 所庚切
生長也。『易』曰、天地之大德曰生。
又姓。出『姓苑』。
所庚切,十。
- 四聲・韻・小韻
- 去聲・映・生
- 反切
- 所敬切
所敬切。又所京切。三。
音訓・用義
- 音
- (1) セイ(漢) シャウ(呉) 〈『廣韻・下平聲・庚・生』所庚切〉[shēng]{sang1/saang1}
- (2) 〈『廣韻・去聲・映・生』所敬切〉
- 訓
- (1) はえる。おふ。うむ。うまれる。いきる。なま。
音(2)については、『廣韻』に義を説かず、『康煕字典』に產也
とする。
解字
白川
象形。草の生え出る形に象る。
『説文解字』に進むなり
と、生、進の音を以て解するが、聲義の關係はない。
卜辭の多生は多姓、金文の百生は百姓で、姓の意に用ゐる。また《𦅫鎛》に用て考命彌生ならんことを求む
とあるやうに、生命の義に用ゐる。
《㸓鼎》の「旣生霸」の生を眚の形につくり、目の部分は種の形で、種の發芽の狀を示す。
生は發芽生成の象を示す字。すべて新しい生命のおこることをいふ。
藤堂
若芽の形と土の會意。地上に若芽の生えたさまを示す。生き生きとして新しい意を含む。
落合
指示。草の象形の屮に地面を表す指示記號の橫線を加へ、草が生えてくる樣子を表した字。轉じて「うまれる」の意に用ゐられてゐる。
甲骨文では假借して甥の意でも用ゐられてゐる。甥の字形は篆文に初出。甥ではなく姓の初文とする説もあるが、甲骨文には婚姻制度としての姓は見られない。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 新しく生まれる生命。また生まれたばかりの生命。《合補》10446・末尾記時
…貞、其求生于妣庚妣丙。在祖乙宗卜。
- 祭祀名。《合集》14529
勿生匚于河。
- 親族呼稱。この場合は借りて甥の意と推定される。《合集》27650
叀多甥饗。
- 吉凶を表す語。他動詞として用ゐられてゐるが、吉か凶かは不明。《合集》34525
叀生王、[⿷匸㔾]王。
- 生月
- 翌月の意。「生幾月」として月次を表示する用法もある。古代には月の滿ち缺けが生死で表現されてをり、「新しく生まれてくる月」の意味であらう。金文の記時にも「旣生霸」(月が滿ちてゆく期間)や「旣死霸」(月が缺けてゆく期間)が見られる。《甲骨綴合集》302
庚辰卜㱿貞、生七月、王入于商。
- 生雛鳥
- 生まれたばかりの鳥であらう。《合集》116
呼取生雛鳥。
字形は金文で草の莖の部分に丸印がつけられてをり、現用字の二番目の橫劃に當たる。
漢字多功能字庫
甲骨文は屮と一に從ふ。屮の下の一は地面に象る。全字で草(屮)が地面の下から生え出て來る意と解く。本義は生出、生長。
早期金文は甲骨文の構形を承け、後に屮の下に點を飾筆に加へ、後にまた點が橫劃に變はり、屮の下の一が土に變じた。小篆の構形取義は大體同じで、屮が地面の上に生え出る意は失はれてゐない。『説文解字』の進也
の訓は引伸義に當たる。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 出産を表す。《合集》34078
其𠦪(禱)生于高匕(妣)丙
は、高妣丙に對して出産を祈求することを指す。 - 「生月」の語があり、「茲月」と相對し、次の月を指す。《合集》8648正
生月多雨。
- 形容詞に用ゐ、生きてゐる、生き生きとしてゐる、新鮮であることを指す。
- 《合集》116正
乎(呼)取生芻鳥。
- 《合集》10270
其隻(獲)生鹿。
- 《合集》116正
- 「多生」の語があり、讀んで「多姓」となし、經典に所謂「百姓」に同じ。一説に「多生」は「多甥」と讀むべきで、周室の宗子を指すとする。
金文での用義は次のとほり。
- 出産を指す。叔尸鐘
而𬲐公之女、𩁹(粵)生弔(叔)尸
の「粵」は發語詞。全句で𬲐公の女が叔尸を生んだことをいふ。 - 發生を指す。中山王方壺
隹(唯)逆生禍、隹(唯)順生福。
- 生きてゐることを指す。
- 中方鼎
王乎(呼)歸(饋)生鳳于王
は、王が人に生きてゐる鳳を獻ずるやう命ずることをいふ。 - 『孟子・萬章上』
昔者有饋生魚於子產、子產使人畜之池。
- 中方鼎
- 月相名に用ゐる。豐卣
隹(唯)六月既生霸乙卯。
- 生命を指す。蔡姞簋
彌氒(厥)生霝(令)冬(終)
。「彌生」は文獻に「彌性」につくり、圓滿な生命を有すること、「令終」は善く終はるの意。全句で圓滿な生命を祈求する語。 - 讀んで姓となす。兮甲盤
其隹(唯)我者(諸)侯百生(姓)。
戰國文字での用義は次のとほり。
- 生育を指す。《清華簡二・繫年》
十又四年、厲王生宣王、宣王即位。
- 生存を指し、死と相對す。《上博竹書一・緇衣》簡19
此㠯(以)生不可奪志、死不可奪名。
屬性
- 生
- U+751F
- JIS: 1-32-24
- 當用漢字・常用漢字
- 𤯓
- U+24BD3
關聯字
生に從ふ字を漢字私註部別一覽・屮部・生枝に蒐める。