靜 - 漢字私註

説文解字

靜
審也。从聲。
註に徐鍇曰、丹青、明審也。といふ。
靑部

説文解字注

靜
宷也。『上林賦』靚糚。《張揖注》曰、謂粉白黛黑也。按靚者、靜字之假借。采色詳宷得其宐謂之靜。『〔周禮〕考工記』言畫繢之事、是也。分佈五色、疏密有章、則雖絢爛之極、而無淟涊不鮮、是曰靜。人心宷度得宐、一言一事必求理義之必然、則雖緐勞之極而無紛亂、亦曰靜。引伸假借之義也。安靜本字當从『立部』之竫。从靑爭聲。疾郢切。十一部。

康煕字典

部・劃數
青部八劃
古文

『唐韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤疾郢切、音穽。『說文』審也。从靑、爭聲。《註》徐鍇曰、丹靑明審也。

又『增韻』動之對也。『易・坤卦』至靜而德方。

又『書・堯典』靜言庸違。《傳》靜、謀也。

又『詩・邶風』靜言思之。《傳》靜、安也。又『鄭風』琴瑟在御、莫不靜好。

又『詩・邶風』靜女其姝。《傳》靜、貞靜也。

又『廣韻』息也。『禮・月令』百官靜事毋𠛬。

又『韻會』澄也。

又『廣韻』和也。

又『韻會』通作靖。亦通作靚。亦通作竫。

又『韻會』『正韻』𠀤疾正切、音淨。義同。『前漢・揚雄傳』京師爲之語曰、維寂寞自投閣、爰淸靜作符命。

又『詩・大雅』籩豆靜嘉。《箋》潔淸而美。『釋文』淸、如字、又才性反。淸靜皆可讀去聲。○按【玉篇】【廣韻】【集韻】【類篇】靜字皆無去聲。【韻會】始收入敬韻、【正韻】因之。考【大雅】【釋文】及【揚雄傳】京師語、靜字本可讀去聲、但【韻會】引解嘲爰淸爰靜句、云、顏註合韻、音才性切、則謬甚。解嘲云、爰淸爰靜、游神之庭。卽音才性切、如何與庭叶、是必因爰淸靜句而誤記也。【正韻】仍其失、今特辨之。

又叶千廷切、音淸。『六韜』秋道斂、萬物盈。冬道藏、萬物靜。

部・劃數
彡部・九劃

『字彙補』古文字。見古尚書。註詳靑部八畫。

異體字

簡体字。

いはゆる新字体。

音訓

セイ(漢) ジャウ(呉) 〈『廣韻・上聲・靜・靜』疾郢切〉[jìng]{zing6}
しづか。やすらか。しづまる。しづめる。

解字

白川

の會意。靑は靑丹、爭は(耒耜の形。すき。)を上下より持つ形。爭奪の爭と同じではない。耜を清めて蟲害を祓ふ儀禮。

『説文解字』に審らかにするなり、《繫傳》に丹靑明審するなりと采色を施す意とするが、耜を修祓する儀禮。これによつて耕作の寧靜を得ることができるとされたのであらう。

周初の金文《班𣪘》に東或(國)をやすんず、後期の《毛公鼎》に大いにみだれてやすらかならずと見え、寧靜の意に用ゐる。本來は農耕儀禮として農器を修祓する儀禮であつた。

粢盛(補註: 神に供へる穀物のこと)の清らかなことを『詩・大雅・旣醉』に籩豆靜嘉といひ、も字形中にすきの形を含み、鼓聲を加へ、祝禱して祓ふ農耕儀禮をいふ字であつた。靜嘉と合はせて、粢盛の明潔の意とする。

竫、靖、瀞には通用の義がある。齊器の《國差𦉜》にて旨酒をみたさん。旨からしめきよからしめんとあるのは、瀞の意。

藤堂

(取り合ひ)と音符の會意兼形聲。靑は、澄み切つた意を含み、取り合ひを止めて、しんと澄み渡つた雜音のない狀態になること。

漢字多功能字庫

金文はに從ふ。青、爭いづれも聲符。青、爭、靜は古韻が同じ。劉洪濤は、靜は耕の初文で、本義は耦耕、つまり二人竝んで耕すことであるとする。張世超は、爭は義符で、靜は爭ひなく安らかなることとする。

金文では、人名に用ゐるほか、用法が二つある。

金文ではあるいはただ青に作る。

戰國から漢に至る簡帛書では、通じて爭と讀む。

このほか、靜と竫は同じく、靜字を汗簡古文に竫に作り、秦公鎛「靜公」を『史記・秦本紀』に「竫公」に作る。

段注に安靜本字當从立部之竫。といふ。

屬性

U+975C
JIS: 1-80-48
人名用漢字
U+38CF
U+9759
JIS: 1-32-37
當用漢字・常用漢字

關聯字

靜聲の字