噩 - 漢字私註
康煕字典
- 部・劃數
- 口部十三劃
『廣韻』五各切『集韻』魚各切『韻會』『正韻』逆各切、𠀤音萼。『玉篇』驚也。『周禮・春官・占夢』六夢、二曰噩夢。《註》杜子春云、噩、當爲驚愕之愕、謂驚愕而夢。『釋文』噩、愕同。
又『韻會』嚴肅貌。『揚子・法言』周書噩噩爾。
音訓
- 音
- ガク(漢、呉) 〈『廣韻・入聲・鐸・咢』五各切〉[è]{ngok6}
- 訓
- おどろく
解字
白川
㗊と犬の會意。口は祝禱の器。犬は獸牲。器と同構の字であるが、器は祓禳を加へる意で、その清めた祭器をいひ、噩は祝告する意で、やかましく祈りたてることをいふ。祈りたてて神靈を驚かす意。
『説文解字』に字を㖾に作り、屰聲。のち咢の字形で行はれる。
金文に噩に作り、噩がその初形。
藤堂
口四つと亏の變形の會意。反對方向に逆行する意を含み、意表に逆らつたことが生じて、がくんと驚くこと。咢と同じ。
漢字多功能字庫
金文は四口と記號に從ふ。聞一多、李孝定、高明俱は、噩と喪は古く同じ字で、金文に至つて兩字の分別が始まり、亡聲を加へたのが喪字、亡聲を加へてゐないのが噩字であるとする。
金文での用義は次のとほり。
- 國名に用ゐ、典籍に鄂に作る。禹鼎
敦伐噩、休隻(獲)厥君馭方
。 - 人名に用ゐる。弔噩父簋
弔(叔)噩父
。
噩と咢は古く同じ字。
- 『史記・楚世家』にある「熊咢」について、『史記索隱』は
咢亦作噩
と曰ひ、『十二諸侯年表』は「鄂」に作る。 - 『爾雅・釋樂』の『經典釋文』に
咢、本作鄂
とあり、故に容庚は、咢は即ち噩、また派生して鄂となす、と云ふ。(補註: 『爾雅・釋樂』徒擊鼓謂之咢。
)
後世、噩をまた愕に作り、噩夢、噩耗(訃報、凶報)など、驚恐を表す。『玉篇』噩、驚也。
(參: 漢語大字典)
屬性
- 噩
- U+5669
- JIS X 0212: 22-46