片 - 漢字私註
説文解字
判木也。从半木。凡片之屬皆从片。
- 七・片部
説文解字注
判木也。謂一分爲二之木。片判以曡韵爲訓。判者、分也。『周禮〔地官〕媒氏』掌萬民之判。『喪服・傳』曰、夫妻牉合也。牉當作片。片卽『媒氏』判字。鄭注『周禮』云、判、半也。得耦爲合。主合其半成夫婦也。按夫婦各半而合。故取象於合𧯷。『漢書〔李廣蘇建傳〕』一半冰。亦叚半爲片字。从半木。木字之半也。匹見切。十四部。凡片之屬皆从片。
康煕字典
- 部・劃數
- 部首
『唐韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤匹見切、偏去聲。『說文』判木也。从半木。『廣韻』析木也。『玉篇』半也、判也、開坼也。『論語』片言可以折獄者、其由也與。《註》孔曰、片、猶偏也。聽獄必須兩辭、以定是非。偏信一言以折獄者、惟子路可。《朱註》片言、半言也。
『增韻』瓣也。
又茶亦以片計。《白居易・詩》綠芽十片火前春。『蘇軾詩』建茶三十片。
又『集韻』『類篇』𠀤普半切、音泮。『集韻』本作牉。『莊子・則陽篇』雌雄片合。詳牉字註。
音訓
- 音
- (1) ヘン(漢、呉) 〈『廣韻・去聲・霰・片』普麵切〉[piàn]{baan2}
- (2) ハン(漢、呉) 〈『集韻』普半切、音泮、去聲〉
- 訓
- (1) かた。かけ。きれ。ひら。
- (國訓) ペンス
音(2)は牉に通ず。
解字
白川
象形。城壁などを築くときの、版築に用ゐる當て木の形に象る。片を兩邊に立て、中に土を盛り、これを擣き堅めて土壁とする。その方法を版築といふ。
『説文解字』に判木なり。半木に從ふ。
とあり、自然木の枝のついたままのものを兩半したものと解するが、片の旁出するものは當て木として立てるためのもので、これを平面に置けば牀となる。
片方の意味よりして、ものの一偏をいひ、僅少、一部分の意となる。片雲、雪片、花片のやうに形あるもののほか、片言、片志のやうに形のないものにもいふ。
藤堂
象形。爿(寢臺の細長い板)の逆の形であるともいひ、また木字を半分に切つたその右側の部分であるともいふ。
いづれにせよ木の切れ端を描いたもの。薄く平らな切れ端のこと。
漢字多功能字庫
片は木の右半の字形を取つて成り、木を切り開いて兩半に分けることを表す。『說文』片、判木也。从半木。
段注謂一分為二之木。
戰國文字に單獨で使用される片は見えず、偏旁に用ゐるときは木と意味が同じ。中山王方壺の策は竹に從ひ𣂔聲に作る。𣂔は析に同じ。片に從ふのと木に從ふのと義は同じ(參: 于豪亮)。
轉じて一半、偏を表す。
- 『論語・顏淵』
片言可以析獄者、其由也與?
何晏『集解』引孔安國片、猶偏也。聽訟必須兩辭以定是非、偏信一言以折獄者,唯子路可。
- 唐・法振〈月夜泛舟〉
西塞長雲盡,南湖片月斜。
また單、單個(片方)を表す。『廣雅・釋言』片、禪也。
王念孫疏證禪與單通。
- 『文選・左思・吳都賦』
雙則比目、片則王餘。
劉良注雙行者為比目、隻行者為王餘。片、隻也。
- 北宋・蘇軾〈望湖亭〉
西風片帆急、暮靄一山孤。
片々、ばらばら、斷片的であることを表す。
- 『文選・陸士衡・謝平原內史表』
片言隻字、不關其間、事蹤筆跡、皆可推校、而一朝翻然、更以為罪。
- 唐・白居易〈泛渭賦〉
雖片藝而必收兮、故不棄予之小才。
平たく薄いものを表す。
- 『南史・齊武陵昭王曄傳』
(曄)少時又無棋局、乃破荻為片、從橫以為棋局。
- 唐・杜甫〈寄楊五桂州譚〉
梅花萬里外、雪片一冬深。
量詞とし、平たく薄いものに用ゐる。
- 南朝梁・吳均『續齊諧記』
堂前一株紫荊樹、共議欲破三片。
また量詞として續けて一纏めに起きる景象(樣子、光景)に用ゐる。
- 北周・庾信〈鏡詩〉
光如一片水、影照兩邊人。
また量詞として氣象、聲音などに用ゐる。
- 北宋・陸游〈舍北行飯書觸目〉
意行舍北三叉路、閑着橋西一片秋。
- 『醒世恒言・錢秀才錯占鳳凰儔』
贊叫樂人住了吹打、聽時、一片風聲、吹得怪響。
屬性
- 片
- U+7247
- JIS: 1-42-50
- 當用漢字・常用漢字
關聯字
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