他 - 漢字私註
康煕字典
- 部・劃數
- 人部・三劃
『廣韻』託何切『正韻』湯何切、𠀤音拖。與佗它通。彼之稱也、此之別也。『左傳・莊二十二年』光遠而自他有耀者也。『詩・鄘風』之死矢靡他。又『小雅』人知其一、莫知其他。
又『玉篇』誰也。
又邪也。『揚子・法言』君子正而不他。
又凡牛馬載物曰負他。
又『集韻』唐佐切、同䭾。亦畜負物也。
又『司馬相如・上林賦』不被創刃、怖而死者、他他藉藉、塡坑滿谷。《註》他音⿰口𠂹。言禽獸僵死交相積也。
又『正字通』方言呼人曰他。讀若塔平聲。
音訓
- 音
- タ(漢、呉) 〈『廣韻・下平聲・歌・佗』託何切〉[tā]{taa1/to1}
- 訓
- ほか
解字
白川
形聲。聲符は也。也はもと它に作り、他をまた佗と記すことがある。他とは他人をいふ。金文に「自也邦」とあり、自他邦の意。
他は不特定の對象であるから、『玉篇』に誰なり
といふ。
經籍には古く也、它の字を用ゐた。『詩・小雅・鶴鳴』它山之石、可以攻玉。
(它山の石、以て玉を攻むべし)のやうにいふ。
漢碑には他が見え、它を用ゐる例はない。
他の從ふ也は、匜の象形、它は蛇の象形で、由るところの異なる字。
藤堂
人と音符也の會意兼形聲。它は、頭の大きい、はぶのやうな蛇を描いた象形字。蛇の原字。昔、蛇の害が酷かつた頃、人の安否を尋ねて「無它乎」(蛇の害は無いか)と言つた。變異の意から轉じて、見慣れぬこと、ほかのことの意となつた。也は、蠍を描いた象形字。它と也とは字體が似てゐるため古くから混用されて、佗を他と書くやうになつた。
漢字多功能字庫
他は甲骨文、金文及び『説文解字』に見えない。本義は代詞に用ゐて「別の」「その他の」を指す。『史記・高祖本紀』於是沛公乃夜引兵從他道還
。また三人稱を表す。唐・杜審言〈戲贈趙使君美人〉羅敷獨向東方去、謾學他家作使君
。他は、三人稱代名詞に用ゐられ、古代、近代には男女及び一切の事物いづれも指し、男性に限定するのは現代漢語で初めて出現した後起の用法。
また「虛指」(不確定の事物を指す)や「誰」を指す意義も有す。
- 前者の例: 宋・辛棄疾『祝英台近』
是他春帶愁來、春歸何處、卻不解、帶將愁去
。 - 後者: 『玉篇・人部』
他、誰也
。
また馱と通ず。『集韻・箇韻』馱、畜負物也、或作他
。
屬性
- 他
- U+4ED6
- JIS: 1-34-30
- 當用漢字・常用漢字