佗 - 漢字私註

説文解字

佗
負何也。从聲。
註に臣鉉等案、『史記〔匈奴傳〕』匈奴奇畜有橐佗、今俗譌誤謂之駱駞、非是。といふ。
人部

説文解字注

佗
負何也。負字葢淺人增之耳。『〔詩〕小雅〔小弁〕』舍彼有罪、予之佗矣。《傳》曰、佗、加也。此佗本義之見於經者也。佗之俗字爲、爲。𥻳變佗爲他。用爲彼之偁。古相問無它乎。衹作它。又『〔詩・鄘風〕君子偕老』委委佗佗。卽『〔詩・召南〕羔羊』之委蛇委蛇也。《傳》云、委委者、行可委曲從迹也。佗佗者、德平易也。羔羊傳云、委蛇者、行可從迹也。語詳略不同。从人它聲。徒何切。十七部。

康煕字典

部・劃數
人部・五劃

『廣韻』託何切『集韻』『韻會』『正韻』湯何切、𠀤妥平聲。與通。『揚子・法言』君子正而不佗。

又姓。漢佗羽。

又『集韻』『韻會』『正韻』𠀤唐何切、音駝。俗謂背負曰佗。

又委佗、雍容自得貌。『詩・鄘風』委委佗佗。《疏》委委、行之美。佗佗、長之美。『荀子・非十二子篇』苐佗其冠。

又『楞嚴經』殷勤請啓、十方如來、得成菩提、妙奢摩佗。《註》楞嚴、大定之名。

又『韻會』『正韻』𠀤吐臥切、音唾。加也。『詩・小雅』舍彼有罪、予之佗矣。

又『集韻』徒可切、音沱。被髮也。『史記・龜筴傳』醮酒佗髮。

又『正韻』延知切、音怡。『後漢・任光邳彤贊』委佗還旅與。『詩』委佗委蛇義同。

又叶湯家切、音他。『盧諶詩』義由恩深、分隨昵加。綢繆委心、自同非佗。

音訓

(1) タ(漢、呉) 〈『廣韻・下平聲・歌・佗』託何切〉[tuō]{to1/taa1}
(2) タ(漢) ダ(呉) 〈『廣韻・下平聲・歌・駝』徒河切〉[tuó]{to4}
(1) ほか。ひく。
(2) になふ
(國訓) わび。わびる。

國訓は侘と誤つたもの。

解字

白川

形聲。聲符は。它は蛇がとぐろを卷く形。そのやうに膨らみのある形のものをいひ、水の溢流して池をなすものを沱、衣の袖を袉、緩く紐を曳くを拕といふ。

『説文解字』に負荷するなりとあり、背に袋などを負ふことをいふ。馬に背負はせるをといひ、俗にまたに作る。

佗佗とは、ゆとりのある、ゆたかな姿。

と通用する。

本邦では侘と誤つて、わぶ、わびのやうに用ゐる。

藤堂

と音符の會意兼形聲。它は、蛇を描いた象形字。蛇の害を受けるやうな變事の意から、變はつた、見慣れないなどの意となり、六朝時代から後、よその人、他人、かれの意となる。它で代用することが多い。

漢字多功能字庫

金文、篆文はに從ひ聲。本義は物を背負ふこと。

金文では人名に用ゐ、楚屈弔佗戈に見える。

璽印文字では人名に用ゐる。『古璽彙編』1175吳佗

古書では本義に用ゐる。『漢書・趙充國傳』以一馬自佗負三十日食。顏師古注凡以畜產載負物者皆為佗

屬性

U+4F57
JIS: 1-48-41