猗 - 漢字私註
説文解字
犗犬也。从犬奇聲。於离切。
- 十・犬部
説文解字注
犗犬也。犬曰猗、如馬曰騬、牛曰犗、羊曰羠。言之不妨通互耳。有用爲歎䛐者。『〔詩〕齊風〔猗嗟〕傳』曰、猗嗟歎辭、『〔詩〕商頌〔那〕傳』曰、猗歎辭、是也。『〔詩〕衞風〔淇奧〕傳』曰、猗猗、美盛皃。『〔詩〕檜風〔隰有萇楚〕傳』曰、猗儺、柔順也。『〔詩・小雅〕節南山・傳』曰、猗、長也。皆以音叚借也。有叚爲兮字者。『〔詩〕魏風〔伐檀〕』淸且漣猗、淸且直猗、淸且淪猗、是也。有叚爲加字者。『〔詩〕小雅〔巷伯〕』猗于𤱔丘、是也。有叚爲倚字者。『〔詩〕小雅〔節南山〕』有實其猗、是也。从犬奇聲。於离切。古音在十七部。
康煕字典
- 部・劃數
- 犬部・八劃
『唐韻』於离切『集韻』『韻會』『正韻』於宜切、𠀤音漪。『說文』犗犬也。从犬奇聲。
又『玉篇』歎辭也。『詩・周頌』猗與漆沮。《箋》猗與、歎美之言也。又『商頌』猗與那與。『晉語』猗兮違兮。『呂氏春秋』塗山女歌曰:侯人兮猗。實始作爲南音。又『廣韻』長也、倚也。『詩・小雅』有實其猗。《傳》猗、長也。《箋》猗、倚也。
又『詩・衞風』綠竹猗猗。《傳》猗猗、美盛貌。『班固・西都賦』曄曄猗猗。
又『玉篇』猗氏、縣名。『史記・貨殖傳』猗頓用盬鹽起。《註》以興富於猗氏。故曰猗頓。
又與漪通。『詩・魏風』河水淸且漣猗。『釋文』本亦作漪。
又與兮通。『書・秦誓』斷斷猗無他伎。《疏》猗者、足句之辭、不爲義也。『禮・大學』引此作斷斷兮。猗是兮之類。
又與欹通。『詩・齊風』猗嗟昌兮。《傳》猗嗟、歎辭。『釋文』或作欹。
又與依同。『前漢・孔光傳』猗違者連歲。
又『廣韻』於綺切『集韻』『韻會』『正韻』隱綺切、𠀤音倚。『廣韻』猗狔、猶窈窕也。『集韻』猗狔、弱貌。
又『詩・衞風〔淇奧〕』寬兮綽兮、猗重較兮。『釋文』猗、於綺反。依也。
又『詩・豳風〔七月〕』猗彼女桑。《傳》角而束之曰猗。『釋文』於綺反。徐音於宜反。
又『詩・小雅』楊園之道、猗于畞丘。《傳》猗、加也。
又『集韻』倚可切『正韻』烏可切、𠀤音妸。『集韻』桑貌。『詩・檜風〔隰有萇楚〕』隰有萇楚、猗儺其枝。《傳》猗儺。柔順也。『釋文』猗、於可反。『集韻』或作阿。
又『集韻』於義切、音輢。相附著也。『詩・小雅』兩驂不猗。《疏》不相依倚。『釋文』猗、於害反。又於綺反。
又『韻會』於記切、音意。義同。
又叶於何反、音窩。『詩・衞風〔淇奧〕』瞻彼淇奧、綠竹猗猗。有斐君子、如切如磋、如琢如磨。
音訓・用義
- 音
- (1) イ(漢、呉) 〈『廣韻・上平聲・支・漪』於離切〉[yī]{ji1}
- (2) イ(漢、呉) 〈『廣韻・上聲・紙・倚』於綺切〉[yǐ]
- (3) ア(漢、呉) 〈『集韻』倚可切、音妸、上聲哿韻〉[ē]{o2/ngo2/ngo5}
- 訓
- (1) ああ。うるはしい。
- (2) よる
『詩・豳風・七月』彼の女桑を猗す
は音(2)に讀む。藤堂は「しごく」と訓じ、しごいて取る意とする。漢典は束而采之。
とする。
音(3)は、猗儺など、しなやか、やはらか、なよやかの意に用ゐる。
解字
白川
形聲。聲符は奇。奇に倚、椅の聲がある。
『説文解字』に犗犬なり
とあり、去勢された犬とする。牛に犍、犗、馬に騋(補註: 騋は『説文解字』に馬七尺爲騋
とするので、騬の誤りか。)、羊に羠といひ、家畜を去勢することがあるが、犬を去勢することもあつたのであらう。
ただその義の用例を見ず、猗は『詩』に「ああ」といふ感動詞に用ゐる。
藤堂
屬性
- 猗
- U+7317
- JIS: 1-64-40