濬 - 漢字私註

説文解字

𣽊
の重文第一。
䜭或从
十一谷部
濬
の重文第二。
古文䜭。

説文解字注

𣽊
䜭或从水。
濬
古文䜭。从水从睿。睿古文叡也。叡、深明也、通也。

康煕字典

部・劃數
水部・十四劃
古文
𣽊

『唐韻』私閏切『集韻』『韻會』『正韻』須閏切、𠀤音浚。『說文』深通川也。『書・舜典』封十有二山濬川。

又凡深皆曰濬。『爾雅・釋言』濬、幽深也。『詩・商頌』濬哲惟商。

又州名。『廣輿記』大名府濬縣、古衞邑、漢黎陽、五代濬州。

『玉篇』同浚。

部・劃數
水部・十二劃

『玉篇』古文字。註詳十四畫。

音訓・用義

シュン(漢、呉) 〈『廣韻・去聲・稕・𡺲』私閠切〉[jùn]{zeon3}
さらふ。ふかい。

解字

白川

形聲。聲符は睿。

爾雅・釋言』に幽深なりとするが、水の深いことを心意の上に及ぼしていふ。

浚と通用する。

藤堂

と音符睿の會意兼形聲。睿の原字の𣦵(虛ろな穴)とから成り、深い谷や深くするの意を表す。

漢字多功能字庫

金文は𣦼とと圓の初文に從ふ。圓の初文は聲符。𣦼は手に鏟鑿(シャベルあるいは鑿)の類を持ち土を掘るさま。そのやうにして河川を疏通させるので川に從ふ(裘錫圭)。濬の本義は土を掘つて川底を深くして川が滯りなく流れるやうにすること。

『説文解字』䜭、深通川也。从谷从𣦵。𣦵、殘地。阬坎意也。『虞書』曰、䜭畎澮距川。𣽊、䜭或从水。濬、古文䜭。段玉裁は「殘地」を「殘也」に改め、「阬坎意也」の前に谷字を加へる。按ずるに䜭字が𣦵(歺)に從ふのは掘り穿つの意。に從ふのは金文が川に從ふのと相近く、䜭字は谷で以て河谷を表す。䜭字は掘り穿つて河谷を疏通させるの意に象る。䜭字の小篆はあるいはに從つて𣽊に作り、疏通させる對象が河水であることを明らかにする。楷書に用ゐる濬字は『説文解字』の古文を承ける。この字と叡の進展變形は相近い。

甲骨文に濬は見えず。金文には一例のみ見える。豳公盨天令(命)禹尃(敷)土、墮山、濬川。裘錫圭は全句で天は禹に息壤で洪水を埋め、高い山を削つて水流を塞ぎ、川を浚つて流れを良くすることを命ずるの意とする。傳世文獻にも「濬川」の語がある。『尚書・堯典』封十有二山、濬川。孔安國傳有流川、則深之使通利。

また河川を浚渫すべく川底を深く掘ることから、濬には深いの意がある。『爾雅・釋言』濬、深也。

屬性

U+6FEC
JIS: 1-63-29
𣽊
U+23F4A