䜭 - 漢字私註
説文解字
深通川也。从谷从𣦵。𣦵、殘地。阬坎意也。『〔書〕虞書〔益稷〕』曰、䜭畎澮距川。
- 十一・谷部
䜭或从水。
- 別條に揭出する。
古文䜭。
- 別條に揭出する。
説文解字注
深通川也。深之使通也。䜭與叡睿音義皆相近。故今文『〔書〕洪範』曰、思心曰䜭、䜭作聖。古文曰、思曰睿、睿作聖。从𣦵谷。會意。私閏切。十三部。𣦵、殘也。殘猶穿也。谷、阬坎意也。𣦵謂穿之。谷取阬坎之意。阬坎、深意也。已上十一字依『韵會』本。『虞書』曰、䜭畎澮歫川。《川部》旣偁『咎䌛謨』〔註1〕濬𡿨巜歫川矣。此又偁而字異、何也。葢前爲古文尙書。此爲今文也。以濬𡿨皆倉頡古文知之。
䜭或从水。
古文䜭。从水从睿。睿古文叡也。叡、深明也、通也。
- 註1: 『咎䌛謨』は『皋陶謨』、『書』の篇名。僞古文尚書は今文尚書の『皋陶謨』を『皋陶謨』と『益稷』に分ける。
康煕字典
- 部・劃數
- 谷部・五劃
『唐韻』私閏切『集韻』須閏切、𠀤音迅。『說文』深通川也。从谷从𣦵。𣦵、殘地阬坎意也。『書・益稷』䜭畎澮距川。今本作濬。或作𣽊。
又『集韻』逵員切、音權。義同。
又『類篇』兪芮切、音銳。『字彙補』古文叡字。『前漢・五行志』思曰䜭、䜭作聖。餘詳又部十四畫。
音訓・用義
- 音
- (1) シュン 〈『集韻』須閏切、音迅、去聲〉[jùn]{zeon3}
- (2) エイ(漢) 〈『類篇』兪芮切、音銳、去聲〉[ruì]{jeoi6/haai6}
音(1)は濬、浚と通用。
音(2)は叡と通用。
解字
白川
字の上部は面を蔽うてゐる帽飾。䜭はその下部に神容を示す谷を記す。(『字通』睿字條)
㕣は八と口の會意。八は神氣の彷彿として下る形。口は祝詞を收める器の形。神氣を二重に示す形は谷。その廟中に現れるものは容。『説文解字』に載せる㕣の古文の形は、深く面帽でその容を隱す意で、目を加へた形は睿。(『字通』㕣字條)
【補註】『説文解字』に㕣の古文として錄される字は𧮲。『字通』は㕣の異體字として𧮲でなく䜭を擧げ、篆文についても𧮲ではなく䜭の形を示してゐる。
藤堂
𣦵(歹。骨を切り取る、削り取る。)と谷の會意。土砂などを削り取つて谷を深くするさま。壑(たに)に含まれる。
漢字多功能字庫
濬字條に言及がある。
屬性
- 䜭
- U+472D