賁 - 漢字私註
説文解字
説文解字注
飾也。『易・象傳』曰、山下有火賁。『序卦傳』曰、賁、飾也。按古假賁爲奔。
从貝芔聲。彼義切。十五部。按亦音墳。亦音肥。文與微合韵冣近。
康煕字典
- 部・劃數
- 貝部・五劃
『唐韻』『集韻』『韻會』彼義切『正韻』必轡切、𠀤音臂。『說文』飾也。『易・賁卦』山下有火、賁。『釋文』鄭云、變也。文飾之貌。王肅云、有文飾、黃白色。又『序卦』賁、飾也。又『雜卦傳』賁、無色也。『書・湯誥』賁若草木。《註》賁、飾也。『詩・小雅』賁然來思。
又『集韻』逋還切、音班。『易・賁卦・釋文』傅氏云、賁、古班字。文章貌。
又『集韻』符分切、音焚。『書・盤庚』用宏兹賁。《傳》宏、賁、皆大也。『詩・大雅』賁鼓維鏞。《傳》賁、大鼓也。
又『爾雅・釋魚』龜三足、賁。《疏》龜之三足者名賁。
又『廣韻』博昆切『集韻』『韻會』『正韻』逋昆切、𠀤音奔。『書・立政』綴衣虎賁。《傳》虎賁以勇力事王。『周禮・夏官・虎賁氏』掌先後王、而趨以卒伍。又『旅賁氏』掌執戈盾、夾王車而趨。『孟子』若是、則夫子過孟賁遠矣。《趙註》賁、勇士也。
又『集韻』父吻切。與憤同。『禮・樂記』粗厲、猛起、奮末、廣賁、之音作、而民剛毅。《註》賁、讀爲憤。憤、怒氣充實也。
又沸也。『穀梁傳・僖十年』覆酒於地而地賁。《註》賁、沸起也。『釋文』與瀵同。
又地名。『穀梁傳・昭五年』叔弓帥師、敗莒師于賁泉。《註》賁泉、魯地。扶粉反。
又『集韻』方問切、音糞。『禮・射義』賁軍之將。《註》賁讀爲僨、猶覆敗也。
又『集韻』力竹切、音六。賁渾、地名。『公羊傳・宣三年』楚子伐賁渾之戎。『釋文』賁、舊音六。『左傳』『穀梁傳』作陸。
又『廣韻』『集韻』『韻會』𠀤符非切、音肥。姓也。『前漢・英布傳』中大夫賁赫。『後漢・光武紀』董憲將賁休。《註》前書賁赫、音肥、今姓音奔。
又『集韻』孚袁切、音翻。番禺『山海經』作賁禺。
異體字
簡体字。
音訓義
- 音
- ヒ(漢)(呉)⦅一⦆
- フン(漢) ブン(呉)⦅二⦆
- ホン(漢)(呉)⦅三⦆
- フン(漢) ブン(呉)⦅四⦆
- フン⦅五⦆
- ヒ(推)⦅六⦆
- フン(推)⦅七⦆
- ハン(推)⦅八⦆
- ハン(推)⦅九⦆
- リク(推)⦅十⦆
- 訓
- かざる⦅一⦆
- かざり⦅一⦆
- おほきい⦅二⦆
- いさむ⦅三⦆
- はしる⦅三⦆
- いかる⦅四⦆
- 官話
- bì⦅一⦆
- fén⦅二⦆
- bēn⦅三⦆
- fèn⦅四⦆
- fèn⦅五⦆
- féi⦅六⦆
- bān⦅九⦆
- lù⦅十⦆
- 粤語
- bei3⦅一⦆
- fan4⦅二⦆
- ban1⦅三⦆
- fan5⦅四⦆
- fan5⦅五⦆
⦅一⦆
- 反切
- 『廣韻・去聲・寘・賁』彼義切
- 『集韻・去聲上・寘第五・賁』彼義切
- 『五音集韻・去聲卷第十・至第五・幫三賁』彼義切
- 聲母
- 幫(重脣音・全清)
- 等呼
- 三
- 官話
- bì
- 粤語
- bei3
- 日本語音
- ヒ(漢)(呉)
- 訓
- かざる
- かざり
- 義
- 飾り。文飾。
- 華やか。きらびやか。
- 貴賓の來駕の形容。賁臨。
- 六十四卦(jawp)の一。離下艮上。
⦅二⦆
- 反切
- 『廣韻・上平聲・文・汾』符分切
- 『集韻・平聲二・文第二十・汾』符分切
- 『五音集韻・中平聲卷第三・文第三・奉三汾』符分切
- 聲母
- 奉(輕脣音・全濁)
- 等呼
- 三
- 官話
- fén
- 粤語
- fan4
- 日本語音
- フン(漢)
- ブン(呉)
- 訓
- おほきい
- 義
- 『集韻』
大也。
- 三足の龜。『爾雅・釋魚』
鱉三足、能。龜三足、賁。
⦅三⦆
- 反切
- 『廣韻・上平聲・䰟・奔』博昆切
- 『集韻・平聲二・䰟第二十三・𢍃』逋昆切
- 『五音集韻・中平聲卷第三・魂第六・幫一奔』愽昆切
- 聲母
- 幫(重脣音・全清)
- 等呼
- 一
- 官話
- bēn
- 粤語
- ban1
- 日本語音
- ホン(漢)(呉)
- 訓
- いさむ
- はしる
- 義
- 虎賁は勇士の謂ひ。歷代、武官の官名に用ゐる。
⦅四⦆
- 反切
- 『集韻・上聲上・吻第十八・憤』父吻切
- 『五音集韻・上聲卷第八・吻第三・奉三憤』房吻切
- 聲母
- 奉(輕脣音・全濁)
- 等呼
- 三
- 官話
- fèn
- 粤語
- fan5
- 日本語音
- フン(漢)
- ブン(呉)
- 訓
- いかる
- 義
- 怒る。憤る。
- 湧き出る。湧き起こる。
⦅五⦆
- 反切
- 『集韻・去聲上・問第二十三・𥻔』方問切
- 『五音集韻・去聲卷第十一・問第三・非三糞』方問切
- 聲母
- 非(輕脣音・全清)
- 等呼
- 三
- 官話
- fèn
- 粤語
- fan5
- 日本語音
- フン: KO字源に據る。
- 義
- 敗れる。覆敗する。賁軍。僨との通用とされる。奔にも同音同義があり、『集韻』は其方と通ずるとする。
- ⦅三⦆の異音。『集韻』
有勇力也。『周官』虎賁氏、劉昌宗讀。
⦅六⦆
- 反切
- 『廣韻・上平聲・微・肥』符非切
- 『集韻・平聲一・微第八・肥』符非切
- 『五音集韻・上平聲卷第一・微第六・奉三肥』符非切
- 聲母
- 奉(輕脣音・全濁)
- 等呼
- 三
- 官話
- féi
- 日本語音
- ヒ(推)
- 義
- 姓。漢初の賁赫(zhwp)、後漢の賁休など。
⦅七⦆
- 反切
- 『集韻・平聲二・文第二十・分』方文切
- 『五音集韻・中平聲卷第三・文第三・非三分』府文切
- 聲母
- 非(輕脣音・全清)
- 等呼
- 三
- 日本語音
- フン(推)
- 義
- 『集韻』
飾也。
⦅八⦆
- 反切
- 『集韻・平聲二・元第二十二・翻』孚袁切
- 『五音集韻・中平聲卷第三・元第七・敷三飜』孚袁切
- 聲母
- 敷(輕脣音・次清)
- 等呼
- 三
- 日本語音
- ハン(推)
- 義
- 賁禺、賁隅、あるいは番禺(zhwp)は、地名。『集韻』
『山海經』桂林入樹、作賁隅。
⦅九⦆
- 反切
- 『集韻・平聲二・𠜂第二十七・班』逋還切
- 『五音集韻・中平聲卷第四・山第十・幫二班』布還切
- 聲母
- 幫(重脣音・全清)
- 等呼
- 二
- 官話
- bān
- 日本語音
- ハン(推)
- 義
- 斑を古く賁に作る。(『集韻』)
⦅十⦆
- 反切
- 『集韻・入聲上・屋第一・六』力竹切
- 『五音集韻・入聲卷第十三・屋第一・來三六』力竹切
- 聲母
- 來(半舌音・次濁)
- 等呼
- 三
- 官話
- lù
- 日本語音
- リク(推)
- 義
- 賁渾あるいは陸渾は、地名(zhwp)。『集韻』
賁渾、地名。
解字
白川
形聲。聲符は𠦪の省文。
『説文解字』に飾るなり
と訓じ、𠦄聲とするが、聲が異なる。
『京房易傳』に五色成らざる、之れを賁と謂ふ
とあり、雜彩の飾りをいふ。
西周期金文の賜與に「𠦪𫸭(賁韔、弓袋)」「𠦪較」などがあり、花模樣や、貝飾を施したものであらう。𠦪は華の象形、貝を以て飾つたものを賁といふ。
藤堂
貝と音符奔(噴き出る、膨れる)の略體の會意兼形聲で、大きく膨れた綺麗な貝。華やかで大きい意を含む。また奔に通じて、勢ひよく噴き出る、驅け回るなどの意を表す。
屬性
- 賁
- U+8CC1
- JIS: 1-76-44
- 贲
- U+8D32
關聯字
賁に從ふ字を漢字私註部別一覽・貝部・賁枝に蒐める。