解 - 漢字私註
説文解字
判也。从刀判牛角。一曰、解𢊁、獸也。佳買切。又戸賣切。
- 四・角部
説文解字注
判也。从刀判牛角。㑹意。佳買切、又戸賣切。十六部。一曰、解𢊁、逗、曡韵字、獸也。見《𢊁部〔𢊁字條〕》。按大玄、『論衡〔是應〕』觟䚦、解𢊁字之假借也。四字皆在十六部。
康煕字典
- 部・劃數
- 角部・六劃
『唐韻』『正韻』佳買切『集韻』『韻會』舉嶰切、𠀤皆上聲。『說文』判也。从刀判牛角。『莊子・養生主』庖丁解牛。『左傳・宣四年』宰夫解黿。『前漢・𨻰湯傳』支解人民。《註》謂解𢧵其四支也。
又『博雅』散也。『玉篇』緩也。『易・解卦註』解、難之散也。『正義』解有兩音、一古買反、謂解難之初。一諧買反、謂旣解之後。故【序卦】云、解者、緩也。險難解釋、物情舒緩、故爲解也。『前漢・張耳𨻰餘傳』今獨王𨻰、恐天下解也。《註》謂離散其心也。
又『玉篇』釋也。『儀禮・大射禮・解綱註』解、猶釋也。『文心雕龍』百官詢事、則有關刺解諜。解者、釋也。解釋結滯、徵事以對也。
又『廣韻』脫也。『禮・曲禮』解屨不敢當階。
又『博雅』說也。『史記・封禪書』船交海中、皆以風爲解。《註》皆自解說、遇風不至也。
又『廣韻』講也。一曰釋詁也。『禮・經解疏』解者、分析之名。
又樂曲解。『古今樂錄』傖歌以一句爲一解、中國以一章爲一解。王僧䖍啓云、古曰章、今曰解。解有多少、當是先詩而後聲也。
又『字彙補』削也。『魯語』晉文公解曹地、以分諸侯。
又止也。『前漢・五行志』歸獄不解、兹謂追非。
又開也。『後漢・耿純傳贊』嚴城解扉。
又達也。『莊子・秋水篇』無南無北、奭然四解。
又解構、猶閒構也。『後漢・隗囂傳』勿用傍人解構之言。又猶會合煩辱也。『淮南子・俶眞訓』孰肯解構人閒之事、以物煩其性命乎。
又道家有尸解術。『史記・封禪書』爲方僊道、形解銷化。『集解』尸解也。『問奇集』『金壷字考』攺音假、非。又梵言目帝羅、此雲解脫。荆溪淨名記、若正用功、解可作古買切。功成日、解應作戸買切。强分二音、亦非。
又解解、戟多之貌。『揚子・太玄經』次七、何戟解解遘。
又『集韻』『韻會』下買切『正韻』胡買切、𠀤音蟹。義同。
又『增韻』物自解散也。『孔安國・尚書序』逃難解散。《註》解音蟹。
又『廣韻』曉也。『禮・學記』相說以解。《註》解物爲解、自解釋爲解、是相證而曉解也。『魏志・賈詡傳』太祖與韓遂、馬超戰渭南、問計於詡。對曰、離之而已。太祖曰、解。《註》謂曉悟也。
又『博雅』迹也。『爾雅・釋獸』𪊽、其跡解。《註》其跡名解。
又地名。『左傳・昭二十二年』王師軍於解。《註》洛陽西南有大解、小解。又『史記・甘茂傳』今公與楚解口地。『索隱』秦地名。『正義』解口、猶開口也。
又州縣名。『一統志』春秋爲晉之解梁城、戰國屬魏、漢爲解縣、屬河東郡、五代漢始置解州、治解縣、元屬平陽路、明因之。
又姓。『廣韻』自唐叔虞食邑于解、後因氏。又複姓。『姓苑』北魏有解枇氏、後攺爲解氏。
又『說文』解廌、獸也。『史記・司馬相如傳』弄解豸。《註》解豸、似鹿、一角、一名神羊。古者決訟、令觸不直者。唐御史法冠、一名解廌冠、取其能觸邪也。『晉書・輿服志』作獬豸。『王充・論衡』作觟𧣾。
又與嶰通。嶰谷、谷名。『前漢・律歷志』取竹之解谷。『孟康曰』解、脫也。一說昆侖之北谷名也。
又與澥通。『前漢・揚雄傳』江湖之雀、勃解之鳥。
又與蟹同。『呂覽・恃君篇』大解、陵魚、大人之居。『山海經』作大蟹。
又『唐韻』尸賣切『集韻』『韻會』下解切、𠀤蟹去聲。亦判也、散也、曉也、獸也、地名也。
又『玉篇』接中也。『周禮・冬官考工記』弓人爲弓、茭解中有變焉、故挍。《註》茭、弓檠也。茭解、謂接中也。
又支節也。『前漢・賈誼傳』所排擊剝割、皆衆理解也。《師古註》解、支節也。
又與懈同。『詩・大雅』不解于位。《註》解、怠惰也。『禮・月令』民氣解惰。又與邂同。『正字通』解后、卽邂逅、言彼此不期而遇也。『六書正譌』別作邂、非。
又『廣韻』古隘切『集韻』『韻會』居隘切『正韻』居拜切、𠀤皆去聲。『類篇』除也。一曰聞上也。『韻會』發也。『唐制』進士由鄕而貢曰解額。又『國史補』外府不試而貢者、謂之拔解。『宋史・選舉志』天下之士、屛處山林、令監司守臣解送。又『職官志』入額人一任實滿四年、與解發赴銓。『正字通』凡官司解報、杻解、皆此音。『韻會』讀若懈、非。
又與廨同。『玉篇』署也。『商子・墾令篇』高其解舍。『左思・吳都賦』解署棊布。《註》言非一也。
又『集韻』口賣切、楷去聲。解垢、詭曲之辭。『莊子・胠篋篇』解垢同異。『音義』又音楷。
又叶舉履切、音几。『古詩』著以長相思、緣以結不解。以膠投漆中、誰能別離此。
又叶居縊切、音記。『楚辭・九章』愁鬱鬱之無快兮、居戚戚而不解。心鞿羈而不開兮、氣繚轉而自締。
又叶訖力切、音棘。『詩・魯頌』春秋匪解、享祀不忒。皇皇后帝、皇祖后稷。
又叶舉下切、嘉上聲。『僧皎然・題毗沙天王像』憶昔胡兵圍未解、感得此神天之下。
『俗書正誤』解从刀、牛。俗从羊作觧、非。
異體字
或體。
音訓義
⦅一⦆
- 反切
- 『廣韻・上聲・蟹・解』佳買切
- 官話
- jiě
- 粤語
- gaai2
- 日本語音
- カイ(漢)
- ケ(呉)
- 訓
- とく
- さとる
⦅二⦆
- 反切
- 『廣韻・上聲・蟹・蟹』胡買切
- 官話
- xiè
- 粤語
- haai6
- 日本語音
- カイ(漢)
- ゲ(呉)
- 訓
- さとる
- 義
- 解廌は神獸の名。
⦅三⦆
- 反切
- 『廣韻・去聲・卦・懈』古隘切
- 官話
- jiè
- 粤語
- gaai3
- 日本語音
- カイ(漢)
- 義
- 人や物を送る意。押解、發解、解送、解餉、解犯など。
⦅四⦆
- 反切
- 『廣韻・去聲・卦・邂』胡懈切
- 義
- 曲解。(『廣韻』)
- 邂と通ず。
解字
白川
『説文解字』に判つなり
とあり、のち牲體を解く意となり、またすべてものを解釋する意となる。釋も獸爪(釆)を以て獸屍(睪)を解く意。
藤堂
角と刀と牛の會意で、刀で牛の身體や角をばらばらに分解することを示す。
落合
會意。甲骨文は角、𦥑、牛に從ふ。牛の解體を表した字で、牛の角を兩手で取り外す樣。
甲骨文では、祭祀儀禮の一種を表す。動物を解體することか。《合集》18388…酉卜…羊解…。
字形は古文で𦥑が解體の際に用ゐる刀に替へられ、更に篆文で配置が變へられて解の字體になつた。
漢字多功能字庫
甲骨文は角と牛と𦥑に從ふ。金文は、解子甗では甲骨文と同形、解子鼎では𦥑を攴に替へ、中山王鼎では替へて刃に從ふ。戰國竹簡の字形は、あるいは中山王鼎と同形、あるいは刃を刀に替へる。商承祚は、卜辭の𦥑があるいは省いて刀の形と近い書き方をされ、後に刀と混同したとする。それぞれの字の構形の義は通じ、いづれも牛角の解析を指す。『説文解字』解、判也。从刀判牛角。一曰解𢊁、獸也。
按ずるに「解𢊁」は讀んで「觟䚦」となし、王充『論衡』觟䚦者、一角之羊也。性知有罪、皋陶治獄、其罪疑者、令羊觸之。
に見えるが、解の本義とは關係ない。
甲骨卜辭辭殘では、疑ふらくは本義に用ゐ、解剖を指す。《合集》18388羊解
。
金文での用義は次のとほり。
- 氏名に用ゐる。解子甗
解子乍(作)旅獻(甗)。
馬國權は、解は古い地名で今の河南省洛陽に在り、周成王の弟の叔虞の裔の食邑となし、後に氏となした。所謂「解子」は解を封地とする公卿大夫のこと。 - 通假して懈となし、懈怠を指す。中山王鼎
夙夜篚(匪)解(懈)。
『詩・大雅・烝民』夙夜匪解、以事一人。
『韓詩外傳』は「夙夜匪懈」に作る。
戰國竹簡では本義に用ゐ、離析(分離)を指す。《上博竹書八・王居》簡3邦人其𣻐(沮)志解體。
「解體」は肢體の解散を以て民心の離叛に喩へ、全句で、國人は意志(意志、意慾)を毀壞し、人心は離叛するの意。『左傳・成公四年』四方諸侯、其誰不解體。
屬性
- 解
- U+89E3
- JIS: 1-18-82
- 當用漢字・常用漢字
- 觧
- U+89E7
- JIS: 1-75-27
關聯字
解に從ふ字を漢字私註部別一覽・角部・解枝に蒐める。