翰 - 漢字私註

説文解字

翰
天雞赤羽也。从聲。『逸周書』曰、大翰、若翬雉、一名鷐風。周成王時蜀人獻之。矦幹切。
羽部

説文解字注

翰
天雞也。也字依『御覽』補。『〔爾雅〕釋鳥』鶾、天雞。鶾本又作翰。《鳥部》鶾、訓雉肥翰音者。則此作翰是。天雞、樊光云一名山雞。赤羽。各本有也。非。今刪。自翨至翠五字皆主謂鳥。其鳥彊羽、赤羽、故其字从羽不从鳥。从羽倝聲。矦榦切。十四部。『〔詩・小雅〕小宛・傳』云、翰、高也。謂羽長飛高。此別一義。『〔同・同〕桑扈』、『〔同・大雅〕文王有聲』、『〔同・同〕崧高』、『〔同・同〕板』傳皆云、翰、榦也。此謂『詩』以翰爲楨榦字也。同音假借。『逸周書』曰。此『漢〔藝文〕志』周書七十一篇。周史記也。以別於『尙書』之『周書』。故謂之『逸周書』。文翰若翬雉。一名鷐風。周成王時蜀人獻之。文或作大。誤。『王會篇』文。今本作蜀人以文翰。文翰者若皐雞。孔晁云、鳥有文彩者。『太平御覽』皐作皇。郭注『爾雅』皐作彩。許作翬雉。疑有誤。按許引『王會』者六。《魚部〔鰅字條〕》周成王時揚州獻鰅魚。《鳥部〔鸞字條》周成王時氐羌獻鸞鳥。《艸部〔苢字條〕》芣苢其實如李。令人宜子。『周書』所說。《禸部〔𥝋字條〕》周成王時州靡國獻𥝋𥝋。《馬部〔馼字條〕》𩢌、吉皇之乗。周成王時犬戎獻之。《犬部〔狡字條〕》匈奴有狡犬。内四條文義略同此。此不當有「一名鷐風」四字橫梗於其中也。四字當在「蜀人獻之」之下。「一名」當作「一曰」。一曰者、別一義也。『〔詩・大雅〕常武』曰、如飛如翰。毛云、疾如飛、摰如翰。鄭云、翰、飛鳥之豪俊也。此鷐風曰翰之證。『釋鳥』、《毛傳》皆云、晨風、鸇也。『易林』晨風文翰竝舉。無緣文翰一名鷐風。譌舛顯然矣。

康煕字典

部・劃數
羽部・十劃

『廣韻』『集韻』『韻會』𠀤侯旰切、音旱。『說文』天雞赤羽也。【逸周書】曰、文翰若翬雉、一名鷐風。周成王時獻之。

又『玉篇』飛也。『易・中孚』翰音登于天。《註》翰、高飛也。

又『易・賁卦』白馬翰如。《疏》鮮潔其馬、其色翰如。『禮・檀弓』戎事乘翰。《註》翰、白色馬也。

又『詩・大雅』維周之翰。『爾雅・釋詁』翰、榦也。

又『前漢・揚雄傳』故藉翰林以爲主人、子墨爲客卿以風。《註》翰、筆也。『文選・李善註』翰林、文翰之多若林也。

又『廣韻』胡安切『集韻』『韻會』『正韻』河干切、𠀤音寒。義同。『正韻』翰有平去二音。凡稱書翰者、謂以羽翰爲筆以書。平去二音皆通。

『正字通』【爾雅】作鶾、亦作㲦。

音訓

カン(漢) 〈『廣韻・去聲』侯旴切〉[hàn]{hon6}
はね。とぶ。しろい。ふで。

解字

白川

形聲。聲符は。倝は高い旗竿に吹き流しの靡く形。

『説文解字』に天雞なり。赤羽。と鳥名とするが、『詩・大雅・常武如飛如翰(飛ぶが如くぶが如し)、『詩・小雅・小宛翰飛戾天(たかく飛んで天にいたる)など、高く飛ぶ意に用ゐる。

羽、筆毛の意にも用ゐる。

藤堂

と音符(芯が強い)の會意兼形聲。

漢字多功能字庫

金文はに從ひ聲。これは翰の異文。晉公盆晉邦隹(維)雗(翰)、永㝩寶。翰は讀みて榦となし、晉國の楨榦(支柱、基幹)、棟梁を表す(參: 『商周青銅器銘文選』)。古書にまたこの用法が見える。『詩・大雅・崧高』維申及甫、維周之翰。毛傳翰、榦也。

小篆はに從ひ倝聲。石鼓文では𩙶に作り、飛に從ひ倝聲。羽と飛は義の近い形符。本義は赤い羽根の雉で、また錦雞と稱する。『爾雅・釋鳥』鶾、天雞。郝懿行疏鶾、當作翰。今所謂天雞、出蜀中者、背文揚赤、膺文五彩、爛如舒錦、一名錦雞。『説文解字』翰、天雞赤羽也。(後略)

引伸して高く飛ぶことを表す。

鳥の羽毛を表す。『廣韻・翰韻』翰、鳥羽也。

また廣く毛を指す。

古代にはあるいは羽毛を筆としたので、翰を筆の別名とする。

「翰」(錦雞)の羽毛は色艷が華麗で、故に翰を以て文采(華やかな色彩、文才)、文辭(文章字句)を比喩する。

また借りて文章、書畫を指す。三國魏・曹丕『典論・論文』是以古之作者、寄身於翰墨、見意於篇籍。

このほか、「翰林」は文翰の林のことで、文學の士の集まる場所を指し、後に「翰林院」を文學の士を集める官署となす。

屬性

U+7FF0
JIS: 1-20-45