析 - 漢字私註
説文解字
破木也。一曰折也。从木从斤。先激切。
- 六・木部
説文解字注
破木也。斯下云析也。柀下云一曰析也。『詩』多言析薪。一曰折也。以斤破木。以斤𣃔艸。其義一也。『魏都賦・注』引『說文』析、量也。與今本異。從木從斤。先激切。十六部。
康煕字典
- 部・劃數
- 木部・四劃
- 古文
- 𣂔
『唐韻』先擊切『集韻』『韻會』先的切『正韻』思積切、𠀤音錫。『說文』破木也。『詩・齊風』析薪如之何、非斧不克。一曰折也。
又分也。『書・堯典』厥民析。『孔安國傳』丁壯就功、老弱分析也。
又剖析。『晉・陶潛・移居詩』疑義相與析。
又『史記・律書』寅曰析木。
又國名。『書・禹貢』崐崘析支渠搜。
又地名。析城、屬冀州。
又邑名。『左傳・僖二十五年』秦取析矣。
又『尸子』虹蜺爲析翳。
又『類篇』相支切、音斯。『周禮・天官・醢人』饋食之豆𦜉析。
又草名。張揖曰、析似燕麥。
又平聲。『唐韻』息黎切。『史記・五帝紀』析支、渠廀。『索隱』作鮮支、渠搜。鮮析音相近、古讀鮮爲斯。
又息例切、音近賜。『後漢・西羌傳』濵于賜支。《註》賜支者、禹貢所謂析支者也。
- 部・劃數
- 斤部・四劃
『玉篇』『集韻』𠀤古文析字。註詳木部四畫。
音訓
- 音
- セキ(漢) 〈『廣韻・入聲・錫・錫』先擊切〉[xī]{sik1/cik1}
- 訓
- さく。わかつ。とく。
解字
白川
『説文解字』に木を破くなり
とし、また一に曰く、折るなり
といふ。
析薪とは採薪をいふ。『詩』に採薪の俗を發想とするものが多く、それらは多く祭事、祝頌の詩で、豫祝の意を持つものである。
藤堂
落合
會意。斧の象形である斤と、木または未に從ひ、斧で木を切る樣子を表してゐる。成り立ちは折に近く、また字義も共通してゐるので、殷代には未分化だつたかも知れない。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 地名。殷金文の圖象記號にも類似形が見える。《合補》7262・後半記時
貞、毋往。在正月、在師析。
- 祭祀名。《合集》22213
戊戌、析、侑牢。
漢字多功能字庫
木と斤に從ふ。斧で木を切り分けることを指し、本義は切り分けること。戰國文字ではあるいは片に從ふ。片は木の右半分から成り、偏旁として木と同義に用ゐる。隸書でも𣂔の書き方が保留された。魯峻碑の字形を參照すべし。
金文での用義は次のとほり。
- 本義に用ゐ、切り分けることを指す。格伯簋
格白(伯)取良馬乘于倗生、氒(厥)賈(價)卅田、則析。
は、格伯は倗生の四頭の馬を取り、その價値は田三十枚、證券を割いて證據とする、の意。 - また地名や人名に用ゐる。析君戟
𣂔君墨䏿之郜(造)𫒊(戟)。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 東方の固有名詞に用ゐる。《合集》14295
東方曰析、風曰劦。
東方の固有名詞を析となし、東風の固有名詞を劦となす、の意。 - 地名に用ゐる。《合集》24359
才(在)析。
戰國竹簡での用義は次のとほり。
- 地名に用ゐる。《清華貳・繫年》簡84
與吳人𭌓(戰)于析。
- 「析言」は讀んで巧言となす。《上博竹書三・仲弓》簡20
孚(愎)過捍𣂔、難以納諫。
過失を堅持し巧言を擁護する、臣下の諫言を受け容れ難い、の意(季旭昇)。 - 秦簡の「析」を讀んで「皙」となし、白皙(肌の色の白いこと)を指す。《睡虎地秦簡・封診式・賊死》簡60
男子丁壯、析(皙)色、長七尺一寸、髮長二尺。
傳世文獻での用義は次のとほり。
- 本義の用例。『詩・齊風・南山』
析薪如之何。匪斧不克。
- 切り分けることを表す。『呂氏春秋・行論』
宋人易子而食之、析骨而爨之。
引伸して、分開(分ける、別々にする、別々になる)、離散(ばらばらになること)を表す。『廣韻・錫韻』析、分也。
- 『論語・季氏』
邦分崩離析而不能守也。
- 『荀子・王霸』
上詐其下、下詐其上、則是上下析也。
分析、辨析(辨別分析する)を表す。
- 『莊子・天下』
判天地之美、析萬物之理。
- 『史記・平準書』
故三人言利事析秋豪矣。
また解除を表す。
- 『文選・宋玉・風賦』
清清泠泠、愈病析酲。
李善注引應劭曰酲、酒病。析、解也。
- 『漢書・禮樂志』
百末旨酒布蘭生、泰尊柘漿析朝酲。
また地名に用ゐる。『左傳・昭公十八年』冬、楚子使王子勝遷許於析、實白羽。
また草名に用ゐる。『漢書・司馬相如傳上』其高燥則生葴析苞荔、薜莎青薠。
屬性
- 析
- U+6790
- JIS: 1-32-47
- 當用漢字・常用漢字
- 𣂔
- U+23094