貳 - 漢字私註
説文解字
- 貳
副、益也。从貝弍聲。弍、古文二。
- 六・貝部
康煕字典
- 部・劃數
- 貝部五劃
『唐韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤而至切、音樲。『說文』副益也。『書・周官』貳公弘化。《傳》副貳三公。『周禮・天官・小宰』掌邦之六典、八灋、八則之貳。《註》貳、副也。『禮・少儀』乗貳車則式。《註》貳車、副車。
又與二同。『易・坎卦』樽酒簋貳。《註》一樽之酒、二簋之食。『禮・曲禮』雖貳不辭。《註》貳、謂重殽膳也。又『坊記』惟卜之日稱二君。《註》二、當爲貳。
又『爾雅・釋詁』貳、疑也。《疏》貳者、心疑不一也。『書・大禹謨』任賢勿貳。『詩・大雅』無貳爾心。『左傳・閔元年』閒攜貳。《註》離而相疑者、則當因而閒之。
又『左傳・隱元年』旣而大叔命西鄙北鄙貳於己。《註》鄙、鄭邊邑。貳、兩屬也。
又『左傳・隱二年』王貳于虢。《註》王欲分政於虢。
又『玉篇』代也、敵也、𠀤也。
又姓。『廣韻』『後秦錄』有後魏平陽太守貳塵。
異體字
簡体字。
不詳。
いはゆる新字体。
音訓
- 音
- ニ(呉) ジ(漢)
- 訓
- ふたつ。そふ。そへる。そむく。ならぶ。
解字
白川
形聲。弍聲。貝は鼎の省形。鼎銘を刻することを則、劑といひ、圓鼎は則、方鼎を劑といひ、盟誓、契約を約劑といふ。弍に從ふのは、戈(刀)を以て刻銘し、その副本を作る意。それで副貳、貳益の意となる。
『周禮・秋官・大司寇』大史、內史、司會及六官皆受其貳而藏之。
(大史、內史、司會及び六官、皆其の貳を受けて之を藏す。)とは副本の意。
『周禮・天官・酒正』大祭三貳、中祭再貳、小祭壹貳、皆有酌數。
とは副貳の器をいふ。
金文の《琱生𣪘》に、分數的な表示として、「其の貳」「其の參」を用ゐる例がある。
字は盟誓の副貳の意であるが、のちに疑貳、違背の意となつた。
藤堂
貝(財貨)と音符弍の會意兼形聲。弍は弋(棒杭)と二で、二本竝んだ棒を示す。
漢字多功能字庫
金文は貝に從ひ弍聲。弍は弋聲に從ふ。古く貨幣の貝を意符とし、本義は數字の二。
金文はあるいは戌に從ひ、戌は斧鉞の形を象り、戈と同じく武器で、偏旁として通用する。弋と戈は偏旁とするとき形が近いため往々にして混同された。
貳は貣に二を加へて成り、張世超は貳は貣から派生して成つたとする。金文にまた戈と二と肉に從ふ異體がある。
金文での用義は次のとほり。
- 數詞二を表す。琱生簋
公宕其參、女(汝)則宕其貳。
宕は度と讀み、占有を表す。公が三分の一を有し、汝が半分を占有するの意(王占奎、林澐)。 - 派生して、一途でなく異心あるの意。中山王方壺
不貳其心。
屬性
- 貳
- U+8CB3
- JIS: 1-76-40
- 贰
- U+8D30
- 貮
- U+8CAE
- JIS: 1-76-41
- 弐
- U+5F10
- JIS: 1-38-85
- 當用漢字・常用漢字
関聯字
- 二
- 貳を二の大字に用ゐる。