吾 - 漢字私註
説文解字
説文解字注
康煕字典
- 部・劃數
- 口部・四劃
- 古文
- 𠮣
『唐韻』五乎切『集韻』『韻會』『正韻』訛胡切、𠀤音梧。『說文』我自稱也。『爾雅・釋詁』吾、我也。『左傳・桓六年』我張吾三軍、而被吾甲兵。『楚辭・九章註』朱子曰、此篇多以余吾𠀤稱、詳其文意、余平而吾倨也。
又『廣韻』御也。執金吾、官名。『前漢・百官公卿表』中尉、秦官、武帝太初元年、更名執金吾。《註》師古曰、金吾、鳥名也、主辟不祥。天子出行、職主先導、以禦非常、故執此鳥之象以名官。又『後漢・百官志』執金吾掌宮外戒司非常水火之事、月三繞行宮外、及主兵器。吾猶禦也。《註》應劭曰、執金革、以禦非常。
又『集韻』棒名。『古今注』金吾、車輻棒也。漢官執金吾、吾、止也、執金革禦非常也、以銅爲之、黃金塗兩末謂之金吾、御史大夫司隷校尉亦得執焉。○按顏應二說、及古今注凡三義、各不相同、今𠀤存之。
又昆吾、國名。『詩・商頌』昆吾夏桀。《箋》已姓。
又地名。『前漢・揚雄傳』武帝廣開上林、南至宜春鼎湖、御宿昆吾。《註》晉灼曰、昆吾、地名、有亭。
又鍾吾、國名。漢爲司吾縣。『左傳・昭二十七年』公子燭庸奔鍾吾。『前漢・地理志』東海郡司吾縣。
又番吾、番音蒲、卽漢蒲吾縣。『史記・蘇秦傳』秦甲渡河踰漳、據番吾。《註》徐廣曰、常山有蒲吾縣。正義曰、疑古番吾公邑也。
又余吾、蠡吾、朱吾、已吾、皆縣名。『前漢・地理志』上黨郡余吾縣、涿郡蠡吾縣、日南郡朱吾縣。『後漢・郡國志』𨻰留郡已吾縣。
又伊吾、地名。『後漢・西域傳』伊吾、舊膏腴之地。
又余吾、水名。『前漢・匈奴傳』北橋余吾。《註》師古曰、於余吾水上作橋。
又『正字通』伊吾、除哦聲、亦作咿唔。
又姓。『廣韻』漢有廣陵令吾扈。又複姓。五氏、徐吾以鄕爲氏。鍾吾、昆吾以國爲氏。由吾、由余之後。又古有肩吾子、隱者。
又『正字通』借爲支吾。與枝梧通。
又『集韻』『類篇』𠀤牛居切、音魚。『晉語』暇豫之吾吾。《註》吾讀如魚、吾吾、不敢自親之貌。
又山名。『史記・河渠書』功無已時兮吾山平。《註》徐廣曰、東郡東阿有魚山、或者是乎。
又『廣韻』五加切『集韻』牛加切、𠀤音牙。允吾、縣名。『前漢・地理志』金城郡允吾縣。《註》應劭曰、允吾、音鈆牙。
又『讀書通』童通作吾。『管子・海王篇』吾子食鹽二升少半。《註》吾子、謂小男小女也。『正字通』古本管子作童。
- 部・劃數
- 口部・二劃
『集韻』吾古作𠮣。註詳四畫。
音訓義
- 音
- ゴ(漢) グ(呉)⦅一⦆
- ギョ(漢) ゴ(呉)⦅二⦆
- ガ(推)⦅三⦆
- 訓
- われ⦅一⦆
- ふせぐ⦅一⦆
- 官話
- wú⦅一⦆
- yù⦅二⦆
- 粤語
- ng4⦅一⦆
- jyu4⦅二⦆
- ngaa4⦅三⦆
⦅一⦆
- 反切
- 『廣韻・上平聲・模・吾』五乎切
- 『集韻・平聲二・模第十一・吾』訛胡切
- 『五音集韻・上平聲卷第二・模第九・疑・一吾』五乎切
- 聲母
- 疑(牙音・次濁)
- 官話
- wú
- 粤語
- ng4
- 日本語音
- ゴ(漢)
- グ(呉)
- 訓
- われ
- ふせぐ
⦅二⦆
- 反切
- 『集韻・平聲一・魚第九・魚』牛居切
- 『五音集韻・上平聲卷第二・魚第七・疑・三魚』語居切
- 聲母
- 疑(牙音・全濁)
- 官話
- yú
- 粤語
- jyu4
- 日本語音
- ギョ(漢)
- ゴ(呉)
- 義
- 吾吾は、親しまざるさま、疎遠にするさま。
⦅三⦆
- 反切
- 『廣韻・下平聲・麻・牙』五加切
- 『集韻・平聲三・麻第九・牙』牛加切
- 『五音集韻・中平聲卷第四・麻第十七・疑・二牙』五加切
- 聲母
- 疑(牙音・全濁)
- 等呼
- 二
- 粤語
- ngaa4
- 日本語音
- ガ(推)
- 義
- 允吾縣。前漢昭帝の始元六(紀元前81)年、金城郡に置かれた。今の甘肅省永靖縣の西北(zhwp:金城郡)、青海民和回族土族自治縣内(百度百科:允吾县)。
其の他
瑞獸の騶虞をまた騶吾に作る。汉典は官話發音をzōu wúとするが、古今文字集成引『漢語大詞典』は虞の音(yú)に讀むとする。漢語多功能字庫は粤語發音をjyu4とするが、虞と同音。
解字
白川
五と口の會意。五は木を交叉して器を蓋するもの。口は祝禱を收めた器の形。その器に固く蓋して、祝禱の呪能を守るもので、敔る意。
金文には五を二重にした形のものがある。
《毛公鼎》(下揭)に王身を干吾せよ
とあつて、干吾は攼敔の初文。吾を一人稱に用ゐるのは假借。
金文の《也𣪘》に吾が考
といふ語が兩見し、所有格の用法。主格、目的格には我を用ゐることが多い。
藤堂
口と音符五(交叉する)の會意兼形聲。語の原字だが、我とともに一人稱代名詞に當てる。
古くは主に主格、所有格に用ゐ、我を目的格に用ゐるが、否定文では吾を目的格に用ゐる。
落合
甲骨文では五と同じく祭祀名に用ゐられてゐる。
金文には守ることを意味する用法が見られ、その義では衙や敔が繁文。
漢字多功能字庫
金文は口に從ひ五聲。毛公鼎では二つの五が重なる形と口に從ふ。一人稱代名詞に借用する。
早期金文は五字の中央に縱劃を飾筆として加へる。金文での用義は次のとほり。
- 一人稱代名詞。『爾雅・釋詁』
吾、我也。
沈子它簋卲告朕吾考
朕、吾が連用され、自稱の複詞。金文に多く見え、また朕と余の連用が見える。少虡劍朕余名之、胃之少虡
。 - 通じて敔となす。毛公鼎
以乃族干吾王身
の干吾は捍敔のことで、文獻では捍禦につくる。吾、敔、禦は同音で通用し、捍衞、守衞を表す。『左傳・襄公廿六年』扞禦北狄
。
屬性
- 吾
- U+543E
- JIS: 1-24-67
- 人名用漢字
- 𠮣
- U+20BA3
関聯字
吾に從ふ字を漢字私註部別一覽・五部・吾枝に蒐める。