敔 - 漢字私註
説文解字
説文解字注
禁也。與圉禦音同。『〔爾雅〕釋言』禦、圉、禁也。『說文』禦訓祀、圉訓囹圉、所以拘罪人。則敔爲禁禦本字。禦行而敔廢矣。古假借作御、作圉。
一曰樂器。椌楬也。形如木虎。按此十一字後人妄増也。『〔禮記〕樂記』椌楬《注》謂柷敔也。椌謂柷、楬謂敔。柷形如桼桶。敔狀如伏虎。不得併二爲一。《木部》椌云柷樂也。楬下不云敔樂者、敔取義於遏。楬爲遏之假借耳。敔者所以止樂、故以敔名。上云禁也、巳包此物、無庸別舉。用此知凡言一曰者、或經淺人増竄。
从攴吾聲。魚舉切。五部。
康煕字典
- 部・劃數
- 攴部・七劃
『廣韻』魚巨切『集韻』『韻會』偶舉切『正韻』偶許切、𠀤音語。『說文』禁也。一曰樂器、椌楬也、形如木虎。『爾雅・釋樂・註』敔如伏虎、背上有二十七鉏鋙、以木長尺櫟之。『釋名』敔、衙也。衙、止也、所以止樂也。『書・益稷』合止柷敔。『周禮・春官・小師』鼓鼗柷敔。
- 部・劃數
- 攴部・十劃
『正字通』籀文敔字。『石鼓文』其𢾵其叓。
集韻
- 四聲・韻・小韻
- 上聲・語第八・語
- 反切
- 偶舉切
『說文』禁也。一曰樂器、椌楬也、形如木虎。
或作梧。
音訓・用義
- 音
- ギョ(漢) ゴ(呉) 〈『廣韻・上聲・語・語』魚巨切〉[yǔ]{jyu5}
白川は「まもる」と訓ずる。
KO字源は字義を「いましむ」「とどむ」とする。
藤堂は樂器の意のみを示す。
樂器の名。音樂を止めるときの合圖に用ゐる。音樂を始めるときの合圖に用ゐるのは柷。
解字
白川
吾と攴の會意。吾は祝禱を收めた器の上に、の形の大きな蓋を置いて、その呪能を守る意。これに攴を加へて、その呪能を刺戟することを示す。
『説文解字』に禁なり
とし、吾聲とするが、吾がその初文。
まもることを扞敔といひ、金文の《毛公鼎》に王の身を干吾せよ
のやうにいふ。
『説文解字』にまた一に曰く、樂器、椌楬なり
とあり、柷敔、柷圉と呼ばれるもので、虎形の器の上に鑿齒狀の刻みを入れ、それをささらで撫でて音を出す。素朴な樂器。神事に用ゐた。
藤堂
攴(動詞の記號)と音符吾の會意兼形聲。吾は、口と音符五から成り、談話が×形に交叉すること。語の原字。敔は、ごつごつと交互に上下すること。
落合
金文には吾に守ることを意味する用法が見え、その義では衙や敔が繁文。
漢字多功能字庫
金文は攴に從ひ吾聲。攴は手に棍棒を持つ形。古くは敔と禦は同詞異形で、扞禦、防禦を表す。
《段注》敔爲禁禦本字、禦行而敔廢矣。
『一切經音義』禦、古文敔同。
早期金文では敔の從ふ吾は二つの五の重なる形に作り、後期になつて口を加へた。
金文では扞禦を表す敔を吾に作る。毛公鼎以乃族干(扞)吾(敔)王身
。
敔は金文では多く人名に用ゐる。敔簋敔乍(作)寶簋。
屬性
- 敔
- U+6554
- JIS: 2-13-67
- JIS X 0212: 33-47
- 𢾵
- U+22FB5