禦 - 漢字私註
説文解字
祀也。从示御聲。魚舉切。
- 一・示部
説文解字注
祀也。从示御聲。後人用此爲禁禦字。疑舉切。五部。古只用御字。
康煕字典
- 部・劃數
- 示部・十一劃
『集韻』牛據切『韻會』『正韻』魚據切、𠀤音御。扞也、拒也。『易・蒙卦』利禦𡨥。《註》爲之扞禦、則物咸附之。『左傳・隱九年』北戎侵鄭、鄭伯禦之。
又止也。『易・繫辭』以言乎遠、則不禦。《疏》謂無所止息也。『左傳・昭十六年』孔張後至、立於客閒、執政禦之。《註》禦、止也。
又『廣韻』魚巨切『集韻』偶舉切『韻會』魚許切『正韻』偶許切、𠀤音語。義同。
又『說文』祀也。
又古通御。『詩・邶風』亦以御冬。『毛傳』御、禦也。
亦通語。『史記・東越傳』禦兒侯。『正義』禦、今作語。
又『韻會』禦亦作圄、守之也。
亦作圉。『前漢・王莽傳』不畏强圉。又『莊子・繕性篇』其來不可圉。
○按『說文』圄、守也。圉、令圉也。禦、祀也。今文圄爲囹圄字、圉爲牧圉字、禦爲守禦字、相承久矣、而禦祀義不復見。
集韻
- 四聲・韻・小韻
- 上聲・語第八・語
- 反切
- 偶舉切
『說文』祀也。
- 四聲・韻・小韻
- 去聲・御第九・御
- 反切
- 牛據切
止也。或作衙。
音訓
- 音
- ギョ(漢) 〈『集韻・去聲・御・御』牛據切〉[yù]{jyu6}
- ギョ(漢) 〈『廣韻・上聲・語・語』魚巨切〉
- 訓
- ふせぐ
解字
白川
形聲。聲符は御。御は禦の初文。
『説文解字』に祀るなり
とし、御聲とする。
卜文、金文に、字を、御につくり、また禦につくるものもあり、みな同字。午は杵形。これを拜して神を降ろし、御へ、災禍を御ぐ儀禮を意味する。それで御は神事的な儀禮や神聖のことに關して用ゐる。故にまた神示の意で示を加へるが、字義は守禦、防禦を主とする限定的な用法となつた。
藤堂
示(祭壇)と音符御の會意兼形聲。御はもと卩(人)と午(杵)の會意で、人が杵を上下させ、固い穀物に逆らつてそれを搗きならすさま。のち、それに彳印と止印(足)を添へて御字となり、手強いものを制御しおさへる動作を示す。禦は、手強いものの進入をおさへ止める祭禮を示す。
落合
甲骨文は、坐つた人の卩を意符、絲束を表す午を聲符とする形聲字(の形)。主に厄災を禦ぐ祭祀の名として使はれてをり、意符として示を加へた字形もある。また外敵の攻擊を防禦する場合にも用ゐられてをり、その場合には、進行を意味する行や、道具を手に持つた形の攴を加へた異體字が使はれることもある。そのほか卩を女に替へた異體などがあり、また午を禦の意に假借することもある。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 人や收穫などに降り掛かる災厄を禦ぐ祭祀儀禮。《英藏》97
疾肩、禦于妣己眔妣庚。
- ふせぐ。防禦する。外敵を禦ぐこと。《合補》8969
其呼戍禦羌方于義𫦄、[屮戈]羌方、不喪衆。
- 御使
- 使者として使はすこと。また使はされること。この場合には「もちゐる」の義なので、御と釋する。《合集》25
辛巳卜貞、令衆御使。
- 茲御
- 命辭の内容がその通りになつたことを示す驗辭。受動的な内容に用ゐられることが多い。「もちゐる」の字義であり、御と釋する。
金文で、進行を意味する足の形の止と道の形の彳を加へて、御の字形となつた。
甲骨文の主たる字義である防ぐの意については、篆文で示を加へた禦の字形が作られてゐる。
に止だけを加へた卸も同源字。
漢字多功能字庫
甲骨文、金文は、示と午と卩に從ふ。御は人が杵を持ち事を治めるさまに象り、示を增して祭祀と關聯あることを表す。
甲骨文、金文では、祭名に用ゐる。「禦妣辛」は禦祭を妣辛に行ふの意。乍冊益卣用乍(作)大禦于厥且(祖)匕(妣)、父母
。
屬性
- 禦
- U+79A6
- JIS: 1-21-90
關聯字
御、禦に從ふ字を、漢字私註部別一覽・卩部・御枝に蒐める。