每 - 漢字私註
説文解字
- 每、𡴋、あるいは𣫭に作る。
艸盛上出也。从屮母聲。
- 一・屮部
康煕字典
- 部・劃數
- 毋部三劃
『唐韻』武罪切『集韻』『韻會』母罪切『正韻』莫賄切、𠀤音浼。『增韻』常也、各也、凡也。『三蒼』曰、每、非一定之辭。『詩・小雅』每懷靡及。『莊子・外物篇』聖人躊躇以興事、以每成功。『郭象註』事不遠本、故其功每成。
又雖也。『爾雅・釋訓』每有、雖也。『詩・小雅』每有良朋。《箋》言雖有良朋也。
又貪也。『前漢・賈誼傳』衆庶每生。《註》孟康曰、每、貪也。『敘傳』致死爲福、每生作旤。
又姓。每當時、漢人。見『印藪』。
又『廣韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤莫佩切、音妹。數也。一曰田美也。『左傳・僖二十八年』原田每每。《註》每有枚、昧二音、義同。
又『集韻』『正韻』謨杯切『韻會』謀杯切、𠀤音枚。義同。
『正字通』【古尚書】昧昧、與梅梅、媒媒、每每通聲。古人以聲狀義類如此。
- 部・劃數
- 屮部五劃
『集韻』母罪切。每本字。『說文』艸盛上出也。从屮母聲。引【左傳】、原田𡴋𡴋。《徐鉉曰》今別作苺、非是。又事屢也、凡也、雖也。隸作𣫭。
『正字通』𡴋有平上去三聲。別詳母部每字註。
- 部・劃數
- 毋部三劃
俗每字。
- 部・劃數
- 屮部七劃
『正字通』俗𡴋字。
異體字
いはゆる新字体。
音訓
- 音
- (1) マイ(呉) バイ(漢) 〈『廣韻・上聲・賄・浼』武罪切〉
- (2) マイ(呉) バイ(漢) 〈『廣韻・去聲・隊・妹』莫佩切〉
- 訓
- (1) つね。つねに。ごと。ごとに。いへども。むさぼる。
- (2) かず
解字
白川
象形。婦人が祭事のために簪飾を加へてゐる形に象る。これに手を加へた形は敏、糸飾りを附けると繁となる。金文に每、敏を、「いそしむ」意に用ゐる。
説文解字に艸盛んにして上に出づるなり
とするが、草の茂盛をいふ字ではない。
每每(草盛の貌)はもと莓莓に作るべき字。
また、常に、數々の意に用ゐるのは、引伸の義。
藤堂
三叉印(髮を結つたさま)と音符母の會意兼形聲。母と同系であるが、特に、次々と子を産むことに重點を置いた言葉。
次々と生じる事物を一つ一つ指す指示詞に轉用された。
落合
甲骨文は、女と、來の上部のやうな形または屮から成る會意字。妻に字形が近く、原義は頭部に飾りをつけた女性と思はれるが、甲骨文では假借して物事が上手くいかない意にのみ用ゐる。「くいる」と訓じ、悔の初文。《甲骨拼合集》453辛亥卜、今日辛、王其田、弗悔。
後代には「つね」「ごと」の意に轉用されたため、「くいる」の意については篆文で心を加へた悔字が作られた。
漢字多功能字庫
甲骨文、金文は、女に從ひ、頭上に笄を加へた女を象る。既婚の婦女の姿を表す。孫雲鶴は母の異體字ではないかと疑ふ。『禮記・內則』女子十有五年而笄。
『古列女傳・魏曲沃負』十五而笄、二十而嫁
。
甲骨文の用法は二つあり、一つは母と同じく用ゐる。もう一つは、讀んで悔となし、悔吝の意。
金文での用義は次のとほり。
- 捷疾の意を表し、後には敏につくる。何尊
叀王龏德谷(裕)天、順(訓)我不每(敏)。
- 假借して牧となす。中山王圓壺
昔者先王慈愛百每(牧)
の百牧は群臣のこと(參・李學勤、李零)。一説に「百每」は讀んで「百謀」となし、「百慮」の意。説文解字謀字條に慮難曰謀。
とある(參・張政烺)。
屬性
- 每
- U+6BCF
- JIS: 1-86-42
- 人名用漢字
- 𡴋
- U+21D0B
- 𣫭
- U+23AED
- 𡴕
- U+21D15
- 毎
- U+6BCE
- JIS: 1-43-72
- 當用漢字・常用漢字
關聯字
每に從ふ字
- 毓
每聲の字
- 誨
- 敏
- 𠧩
- 脢
- 梅
- 晦
- 䍙
- 侮
- 悔
- 海
- 娒
- 䋣
- 畮
- 鋂