戉 - 漢字私註
説文解字
斧也。从戈𠄌聲。『司馬法』曰、夏執玄戉、殷執白戚、周左杖黃戉、右秉白髦。凡戉之屬皆从戉。臣鉉等曰、今俗別作鉞、非是。王伐切。
- 十二・戉部
説文解字注
大斧也。一本奪大字。非。斧所以斫也。从戈𠄌聲。王伐切。十五部。俗多金旁作鉞。『司馬灋』曰、夏執玄戉、殷執白戚、周𠂇杖黃戉、又把白髦。『周書・坶誓』作秉白旄。此作把白髦者、葢『司馬法』之文有不同也。『毛詩・傳』曰、秉、把也。《手部》曰、把、握也。髦者、旄之叚借字。凡戉之屬皆从戉。
康煕字典
- 部・劃數
- 戈部(一劃)
『唐韻』『集韻』『韻會』𠀤王伐切、音越。威斧也。杖而不用、明神武不殺也。『司馬法』夏執玄戉、殷執白戚、周左杖黃戉、右秉白旄。『周禮・夏官・大司馬』左執律、右秉戉。《註》律、所以聽軍聲也。戉、所以爲將威也。
又星名。『前漢・天文志』東井西曲星曰戉。『又』傷成戉。《註》賊傷之占、先成形於戉也。
又『正韻』魚厥切、音月。義同。○按【說文】等書切喻母。而【正韻】獨切疑母。蓋北音以疑爲喻也。
小篆从戈𠄌聲。俗加金作鉞、則專取乎飾、其去古益遠矣。此古今字書之變。
音訓
- 音
- ヱツ(漢) ヲチ(呉) 〈『廣韻・入聲・月・越』王伐切〉[yuè]{jyut6}
- 訓
- まさかり
解字
白川
鉞の初文で象形。
藤堂
象形。まさかりのやうな形をした古代の武器を描いたもので、丸く抉つた形をしてゐる。
落合
象形。刃先が丸い鉞の象形。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 鉞。甲骨文には祭祀の供物として記されてゐる。《懷特氏等所藏甲骨文集》1461
丙申卜、叀茲戉、用于河。
- 祭祀名。《合集》6610
貞、求、戉于祖乙。
- 地名またはその長。第一期(武丁代)に多く見える。《合補》1971
貞、勿呼鳴從戉使眉。
鉞は戉に意符として金を加へた繁文(戉亦聲の形聲字)であり、篆文で作られた。
漢字多功能字庫
甲骨文、金文は、斧鉞の形に象る。古の武器の一種で、鉞の初文。
甲骨文では多く假借して歲となし、年を表す。《合集》37849今戉(歲)受禾
。
金文での用義は次のとほり。
- 本義に用ゐ、斧形の武器を表す。虢季子白盤
睗(賜)用戉、用政(征)䜌(蠻)方。
- 國名に用ゐる。越王不壽劍
戉(越)王不壽自乍(作)用僉(劍)
。
屬性
- 戉
- U+6209
- JIS: 1-56-90
關聯字
戉に從ふ字を漢字私註部別一覽・戉部に蒐める。