把 - 漢字私註
説文解字
説文解字注
握也。握者、搤持也。『孟子・注』曰、「拱、合㒳手也。把、以一手把之也。」
从手巴聲。博下切。古音葢在五部。
康煕字典
- 部・劃數
- 手部四劃
『唐韻』博下切『集韻』『正韻』補下切『韻會』補瓦切、𠀤巴上聲。『說文』握也。『孟子』拱把之桐梓。『楚語』烝嘗不過把握。
又『廣韻』持也。『增韻』執也。『戰國策』左手把其袖、右手揕其胷。『史記・殷本紀』湯自把鉞、以伐昆吾。『前漢・王溫舒傳』擇郡中豪敢往吏爲爪牙、皆把其陰重罪、而縱使督盜賊。
又『釋名』把、播也。所以播除物也。
又『唐韻』『集韻』『韻會』𠀤蒲巴切、音杷。與爬通。『前漢・貢禹傳』農夫捽草把土。《註》把、手掊之也。又『郊祀志』掊視得鼎。《註》掊、手把土也。
又批把、樂器、推手前曰批、引手後曰把。詳批字註。
又姓。『廣韻』本𣏌東樓公之後、避難改焉。西魏有襄州刺史把秀。
又『正韻』必駕切、音霸。與弝通。『禮・曲禮』左手承弣。《疏》弣、弓把也。『釋文』把音霸。手執處也。
『正字通』把與杷別。【韻會小補】通作杷。引【漢書】譌本、合把杷爲一、非。
音訓・用義
- 音
- ハ(漢) ヘ(呉)⦅一⦆
- ハ⦅二⦆
- ハ(漢) ヘ(呉)⦅三⦆
- 訓
- にぎる。とる。⦅一⦆
- 官話
- bǎ⦅一⦆
- bà⦅三⦆
- 粤語
- baa2⦅一⦆
- baa3⦅三⦆
⦅一⦆
- 反切
- 『廣韻・上聲・馬・把』博下切
- 『集韻・上聲下・馬第三十五・把』補下切
- 『五音集韻・馬第十七・幫・二把』博下切
- 聲母
- 幫(唇音・全清)
- 官話
- bǎ
- 粤語
- baa2
- 日本語音
- ヘ(呉)
- 訓
- にぎる
- とる
- 義
- 手に握る、持つ、執る。
- 事物を掌握する、把握する。
- たば。物を束ねたもの。
- つか。柄。取つ手。
- 量詞。物の束、柄や取つ手のある物、一握りの量、手の動作、火に用ゐる。
- 概數を示す。おほよそ。
- 自轉車や手押し車のハンドル。
- 見張る。見守る。
- 與へる。
- 子供を抱へて排泄させる。
- 介詞に用ゐる。處置する對象を示すなど。
- 把子は、束、ひとつかみ、義兄弟、芝居で用ゐる武器、殺陣などの意。
⦅二⦆
- 反切
- 『集韻・平聲三・麻第九・爬』蒲巴切
- 『五音集韻・麻第十七・並・二爬』蒲巴切
- 聲母
- 並(脣音・全濁)
- 官話
- pá
- 日本語音
- ハ
- 義
- 爬に同じ。搔く。
⦅三⦆
- 反切
- 『康煕字典』引『正韻』必駕切 (去聲、音霸、與弝通)
- 官話
- bà
- 粤語
- baa3
- 日本語音
- ハ(漢)
- ヘ(呉)
- 義
- 弝と通じ、ゆづか。
- つか。柄。取つ手。
- 把子は取つ手の意。
補註
取つ手の意について、音を⦅一⦆(上聲)とする資料と⦅三⦆(去聲)とする資料がある。
- 藤堂は「把手」を去聲に讀むとする。
- KO字源は、柄、取つ手の意には上聲に讀むとし、刀把、劍把を例示する。
- 現代漢語で把手の把は上聲に讀むらしい。但し、取つ手の意の他に、握手の意もある。
- 現代漢語で把子の把は上聲に讀む場合と去聲に讀む場合があるらしい。
- 上聲に讀んで、束、ひとつかみ、義兄弟、芝居で用ゐる武器、殺陣などの意。
- 去聲に讀んで、取つ手の意。
解字
白川
形聲。聲符は巴。巴は把手の形。把はその把手を持つ意。
『説文解字』に握るなり
とあり、掌を以て握り持つことを把握、掌握といふ。
鳥獸のやうに、手足を捉へることを把捉といふ。
藤堂
手と音符巴の會意兼形聲。巴は、人が俯せて腹這ひになるさま。腹や手などの面を押し當てる意を含む。把は、掌をぴたりと當てて握ること。
落合
巴字條參照。甲骨文は、坐つた人の手を強調した形で、その初文の巴とされる。
漢字多功能字庫
- 『戰國策・燕策三』
臣左手把其袖、右手揕其胸。
- 《睡虎地秦簡・法律答問》簡205
甲把其衣錢匿臧(藏)乙室。
控制(支配、制壓、抑制、制御)を表す。『晏子春秋・諫下十九』然則後世誰將把齊國。
見守ることを表す。宋・孫光憲『北夢瑣言』卷三洎荊州失守、復把潼關。
括つて成つた束のものを稱して把といふ。宋・蘇軾〈新釀桂酒〉酒材已遣門生致、菜把仍叨地主恩。
介詞に用ゐる。唐・李白〈清平樂〉應是天仙狂醉、亂把白雲揉碎。
量詞に用ゐる。(補註: 把手のあるものの數、一握りの量、抽象物、動作の回數に用ゐる。)『儒林外史』第47回兩把黃傘、八把旗、四隊踹街馬。
屬性
- 把
- U+628A
- JIS: 1-39-36
- 常用漢字